パラレルIF~白黒王子と幼い頃に出会っていたら~
もしも、の話。
※本編とは何の関係もありません。パラレルだと思ってください。
白の王子ヴァイスと、黒の王子アスワドは、ラインバルド国の幼い王子達です。
二人は腹違いで同い年の兄弟。でも仲良しです。
「なあヴァイス、ハラちがいって、なんだ?おいしいのか?」
「それはな、アスワド。半分だけ血がつながっているってことだよ」
「半分だけ?…むずかしいな。どうやったらそんなことができるんだ?」
「……」
アスワドはちょっとだけお馬鹿さんなのかも。ヴァイスはそう思いましたが、口には出しませんでした。
「アスワド、おなかすかないか?」
「ああ、ぺこぺこだ。でもヴァイス、食事の時間はまだまだ先だろう?」
「台所に行ってメイドに『やあ今日もきれいだね』っていえば、おやつもらえるよ」
「……」
ヴァイスはちょっとだけ女たらしなのかも。アスワドはそう思いましたが、口には出しませんでした。
ある日、そんな二人のところに、遠い国から女の子が遊びに来ることになりました。アルハイム国のロザヴィー王女です。
どんな女の子なんだろう。二人はワクワクして待ちました。
やってきた女の子は、くるくるした蜂蜜色の金髪に、お空を溶かしたような青い目の、とても可愛らしい子でした。素敵な笑顔でにっこり笑います。二人は一目でロザヴィーを大好きになってしまいました。
「ロザヴィー、バラの花を見に行こうよ」
「うん。白くん、これいいにおいね。わたし、お花だいすき」
「ロザヴィー、ネコ、さわるか?」
「うん。黒くん、この子フカフカ!とってもかわいいね」
二人の王子は、どちらもロザヴィーともっと仲良くなりたいと思いました。
ロザヴィーと二人っきりで遊べたらいいのに。
ヴァイス王子とアスワド王子は、生まれて初めてお互いを邪魔者だと感じました。
「アスワド、お前、あっちにいけよ。ロザヴィーはぼくと遊ぶんだから」
「ヴァイスこそ。ロザヴィーはオレと遊ぶんだ」
自分を挟んで言い争う二人の王子を見て、ロザヴィーは狼狽えてしまいました。
「白くん。黒くん。おねがい。けんかしないで」
「「じゃあロザヴィーはどっちが好きなんだよ!?」」
二人は同時に聞きました。ロザヴィーはちょっと困った顔をしています。
「二人とも、同じくらいすきよ。今日はじめて会ったけど、二人ともたいせつな友だちだもの」
「「ええ~」」
二人とも面白くありません。
『友達』より、もっともっと仲良くなりたいと思ったのです。
「じゃあロザヴィー、大人になったら、ぼくとケッコンしてくれる?」
「あっずるいぞ、ヴァイス。ロザヴィー、オレと」
我先にと押し合う王子達。
ロザヴィーは無意識に後ずさりしています。
「あの、ごめんね?わたしもう、リュイのおよめさんになるってやくそくしてるから」
「「リュイってだれだよ!!」」
またまた二人の声がハモりました。
「ん~?リュイはわたしの、おさななじみだよ。リュイはねえ、きしになって、わたしを守ってくれるんだって」
そう言って、ロザヴィー王女は、帰って行ってしまいました。
残された二人の王子は、固く誓い合いました。
真のライバルを倒すまでは、協力していこうと。
「ロザヴィーの国は遠いからな。次、いつ会えるか分からないぞ」
「わすれられるのはいやだな」
「リュイとか言ってたな」
「おさななじみなんかに負けたくないな」
「父上に言って、ロザヴィーをオレたちのコンヤクシャにしてもらうっていうのはどうだ?」
「そうだな。子供どうしの口やくそくより、こうそく力は上だろうからな。なんだアスワド、お前じつは頭いいな」
「ヴァイスも、意外といちずだな」
二人は、腕を組み合わせて、にっこり笑いました。
幼い王子達の闘いはこれからです。