決戦前夜
すみません、先月投稿予定が今月にもつれ込みましたm(__)m
反ゼウラニアス連合軍集結座標~side
レスターside
今、反ゼウラニアス連合軍のほとんどの戦力がこの海域に集結している。
恐らく、これが最後の戦いになるだろう。
ヘイルダムを旗艦として、此処まで来たが、いよいよ此方も【最強の盾】を使う事になったので、旗艦をヘイルダムから弟のヴァインの新座乗艦【シュヴァリエ】は艦隊さて、再編中に就役した空中戦艦で、強力なレールガンを4門艦首前部に搭載し更に内蔵式レーザー砲やホーミングミサイルに光子魚雷を装備している。
そして最大の特徴は戦況の分析能力に長けている事にある。これで、あらゆる状況下での戦闘指揮が可能になった。
しかし、その一方で各列強国もまた、反ゼウラニアスを掲げ軍備増強を推し進めている。
特に紋章皇国やドラグニア帝国はその姿勢が顕著に表れていて、紋章皇国はウィンディーネ級戦艦の退役に伴い新たな重戦闘艦【ライン級】の増産を推し進めていた。正式名称は次世代型機動戦艦ライン級と呼ばれる空中戦艦で紋章皇国の仮想敵国だった、ドラグニア帝国のドラシェル級親衛隊所属艦に対抗して、旧ロイル派が建造していた艦だったが、先の解放戦で事実上ロイル派が崩壊した事により、隠し建造ドックの存在が判明し密かに建造が進められていた。それが分かったのはこちらの諜報員が得た情報で判明した。
(恐らくこの戦いが一息ついたら、世界は軍備拡大に向かって迷走し始める。そして我がヴァルゼリア公国にその勢いを止める手立てはない)
今回の戦乱でヴァルゼリア公国はかなり国土が荒廃し復興までに時間が掛かる。そして紋章公国も内乱で復興を急いでいるものの、内部では穏健派と強硬派に別れ今はお互に協調してはいるが、この戦乱後に内部分裂する予想が出来た。
そして、ドラグニア帝国もいずれは軍事大国として世界に台頭し始める事も……。
そして、それが確信に変わる一本のプライベートの回線が俺の休む部屋に繋がれた。相手は弟のレスターだった。
「ヴァイン、どうしたんだ?」
<うん、紋章公国からの援軍とドラグニア帝国の援軍についてなんだけれど……>
やはり、その案件で連絡をしてきたか? 俺は部屋のポッドで温めていたインスタントコーヒーをマグカップに注ぐと椅子に座って彼の話を聞く事にした。
「やはり【動いた】か?」
〈うん、紋章皇国からは【皇王親衛第13艦隊】が、そして、ドラグニア帝国からは【皇帝親衛第15艦隊】が間もなくこちらに到着する事になっているらしい〉
どちらも精鋭の艦体だな? 恐らくこの戦いで出来る限り戦果を上げたいのだろう。
紋章皇国のティルム皇王やドラグニア帝国皇帝アルゼリアスも苦い決断を強いられたのかもしれない。
とにかくこの二国の監視を今後も継続していかねば……。
「ところでお前の方で何か変わった事はあるか?」
〈変わった事? ……そうだね。あくまでも【噂】程度の話しなら、出てきているよ〉
「では聞かせてくれ」
ヴァインは「分かった」と言って、その【噂】を話し始める。噂では戦後を見据えてドラグニア帝国の強硬派が軍備再建と旧帝国時代の領土をゼウラニアスに交渉で【割譲】まぁ、彼等に言わせれば【返還要求】らしいが、それをより確実にする為に、この決戦でかなりの戦果を上げるために半ば強引にアルゼリアスに【提案】したらしい。そして彼もその要求を渋々飲んだそうだ。
それがほんとう事実だとすると、状況はかなり不味い展開になりつつある。
「なぁ、俺達はもしかしたら、戦乱の釜の蓋を開けたのかもな……」
<そうだね…… でも、彼等はもう止まらないよ。自分たちの勝利を手にするまで、僕たちの抵抗を潰すまでは決して止まらない。それじゃあ、僕の要件はこれで終わりだよ、それじゃあ>
「ああ、解った。中々、ハッピーエンドとは程遠いな」
そう言いながら、通信を終える。そうだな…… とにかく厄介な案件だな? 俺はそう思いながら、コーヒーを飲んでいた。
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反ゼウラニアス連合軍総旗艦シュヴァリエ~side
ヴァインside
通信を終え、僕は戦況図をにらみつけていた。
今のところ予定通りに各国の反ゼウラニアス連合軍の討伐艦隊は指定座標に集結している。
明日には、いよいよ決戦となる。
そして、この戦いの後、我がヴァルゼリアは盟主国としての地位を失い次の盟主国の座を巡っての戦いが
始まるかもしれない。
だが、それは【今】ではない。もう既に各国はかなりの兵力をゼウラニアスとの戦いで消耗している。
何所にもいきなり他国と事を構えるだけの余裕はないだろう。
(それにしても、アルゼリアス…… 彼の目的は何なんだ? 生き残った魔人族の中でも穏健派の彼が上級種族主義者の抑える事すら出来ないとは。とにかくこの件は調査の報告待ちだな?)
そう言えば、元ゼウラニアス軍の将軍のリガティはアルゼリアスの懐刀だったな?
彼女に聞けば何かわかるかもしれない。彼女に少し確認をしてみるか。
確か、彼女のプライベート回線のコードは……っと、これだ。
コードを入力して、しばらくすると仮想画面にリガティが現れる。
〈ヴァイン陛下、どうかなさいました?〉
「うん、君に聞きたいことがあってね。本題を短刀直入に聞くよ、アルゼリアス彼は何故、彼とは相いれない上級種族至上主義者に協力をしているんだい?」
<それは…… そうですね。陛下なら、お話してもよいでしょう。ですがこの件は他言無用でお願いを申しげ致します>
「ああ、わかったこの件は誰にも他言をしないと約束をしよう」
その言葉に安どしたのか彼女は語りだす。それは、僕を驚かせるには十分な内容だった。
なにしろ、僕はアルゼリアスと言う男を勘違いして見ていた。
そう、野望を持った典型的な英雄だと言うそんな感じの男だったと。
しかし実際は僕の予想を超えるものだった。
〈では、これはあくまでも噂の範疇の話しなのですが、アルゼリアス様には人間の女性と付き合っていると噂がありました。しかし、その噂を確認した者はおらず、この件は何時しかただの噂として終わったのですが、それを疑った者たちから強引に盟主になる事を強要されたそうです。その後、アルゼリアス様はゼウラニアス帝国の盟主になっておられますが、私も詳しい経緯はしりませんが、恐らくラグ老師なら……あるは〉
そう言葉を濁らせる。リガティ、確かに、あの老人なら、何かしらの事情は知っていそうだが、彼は口が堅く絶対に忠誠を誓っている主の事は喋らないだろう。
ラグ老師は上級種族主義者の中でも極めて穏健派で唯一ゼウラニアスの【良心】とさえ言われている。
そして、忠誠を誓った相手にはこれまで一度の裏切もなかった。
そんな老人が匿ったのなら、探し出すのは困難だし、第一、探し出す事をするのは連中と何ら変わりはない。
「判りました。この件はこれで終りにしましょう」
<判りました。それでは失礼いたします>
「こちらこそ、時間を取らせてすみませんでした」
お互に敬礼をして通信を終える。この件は特に気にするまでもないか。たかが一人の女性を追い回すほど
悪趣味な事に時間を掛ける程、我がヴァルゼリア公国の軍隊は暇ではない。
それに、ドラグニア帝国に不穏な動きがある以上、不必要な要素を増やすのは得策ではない。
だが、最近あの国に不穏な動きがあるのも事実だ。
「さて、どうしたものか……」
たぶん、兄も僕と同じ事を考えている筈。しかし今は内部に敵を増やすべきではない。
そう思いながら、僕は戦後のこの世界の事を考えていく。
そして、僕たちの懸念が現実になったのはもっとあとの事だった。
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ドラグニア帝国の秘匿ドック~side
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此処は、ドラグニア帝国の秘匿ドック、此処で密かに建造されていた【新型艦】が密かに出撃をしようとしていた。この出撃が後のゼウラニアス帝国首都【アルヴァロン】消失に繋がる事になる。
そして、この日、秘匿ドックより10隻の戦闘艦と3隻の特務艦が出撃した。
ドッグ内は恐ろしく静まり返り、見送る人影もなく、また華やかな軍楽隊の演奏もなかった。
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ゼウラニアス帝国首都【グランドパレス】~side
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グランドパレス、旧ゼウラニアス帝国の首都としてかって栄えた都市であったが、現在は寂れ過去の繁栄の面影もなかったが、アルゼリアスの台頭で戦略的にも無視できない要塞型都市にへと変貌を遂げていた。
反ゼウラニアス勢力は度々この首都に爆撃を行おうとしていたが各都市の強固な対空装備の前にただ一度も成功してはいなかった。
それだけに、彼等はこの時、慢心をしていた。自分たちの首都が攻撃を受けるとは夢にも思ってもいなかったのである。
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ゼウラニアス帝国首都【グランドパレス】上空~side
???side
<全艦、間もなくゼウラニアス帝国首都グランドパレスに近づきます>
<了解、引き継いで続き周囲警戒を怠るな>
<了解>
彼等は目的地がゼウラニアス帝国首都【グランドパレス】だと知って緊張をしていた。
既に友軍艦は各帝国秘匿拠点から順次出撃し、彼等もまた各拠点を目指していた。
そのうちの小規模艦隊が彼等だった、彼等の受けた任務は【新兵器】の使用であり、それを実行する彼等にはその兵器の詳細は告げられていなかった。
そして、目標は5の主要都市すべてに兵器を使用せよと命じられていた。命じたのは……皇帝アルゼリアスと命令書に本人の直筆のサインで書かれてあった。
内容はゼウラニアス帝国本土の主要都市への新型兵器を使用しての攻撃、つまり、敵本土への奇襲攻撃を成功させることにあった。この、攻撃が成功すれば適側に心理的な打撃が与えられ、戦局は一気にこちら側に流れ込んでくる。
是が非でも成功させなければならない作戦である。
そして、これが後に新たな戦乱の引き金になる事をこの時、彼等は知る由もなかったのだった。
そして、新兵器は恐ろしく静かに起動を始める。
「目標上空に異変なし、投下高度オールクリアー」
「よし、投下せよ」
「了解、投下します」
そして、この日、ゼウラニアス帝国本土の主要都市、5つがこの地上より消滅した……。
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ドラグニア帝国皇帝親衛第7艦隊最新鋭機動艦旗艦グランドバハムート~side
ランスロットside
私はその報告を、グランドバハムートの司令官室で秘匿回線で受け取った。
ウラニアス帝国本土の主要都市5つがわが軍の特務部隊の独断攻撃で消滅……
明らかな戦時条約違反だった。
それを知った私は、驚きのあまり言葉を失った。
そして、一つの可能性を考える。すなわち、我が帝国国内の対話を良しとしない勢力が陛下の名を独断で使い【行動】を起こしたのではないか……?
と、考えた。しかし、これといった証拠がない。恐らくは、データーを改竄したか、もしくはデーターそのものが最初から記録されていなかったか? の、どちらかだろう。
私は部下に今判っている事を全て聞くことにした。
「それで、ゼウラニアス帝国の消滅した都市や被害はどれほどの物なのか判るか?」
「それが、ゼウラニアス側も混乱をしていて、様々な情報が飛び通っていて、今のところ詳しい事は何も……」
私の質問に部下は表情を曇らせて、そう答えた。実際、このやり取りをしている最中も誤報や憶測が飛び通い、ゼウラニアス帝国側も情報を掴めてはいなかった。
そして、最悪な事に、ゼウラニアス帝国側の穏健派もこの無差別攻撃でほぼ全員が行方不明となり
和平交渉や戦後の交渉が不可能になってしまった。
そして、お互にこの事態の調査や一時休戦と言う選択肢も得られないまま、双方、軍を進める。
もう、お互に聞く耳さえ持たない! と、言った空気が立ち込める中、両軍は最後の戦いに突入しようとしていた。
次回更新を頑張ります。




