レイラの家族旅行
レイラの実家の普段の様子を書いてみたかったので
子供の頃、行った動物園の記憶をヒントに書いてみました。
レイラ・ノアside
私は、カレン・ノア博士とノア財団総帥のエルウィン・ノアの【娘】として記録上は登録されているけれど、実際は、とある魔道技術師によって造られた【戦闘用ホムンクルス】だ、もっともホムンクルスと言っても、外見も寿命も人間と大差は無い、ただ、戦闘用として調整されていただけで、筋力の瞬初力と動体視力が桁外れで、フェリオとなら、互角に渡り合える実力はある。
でも、コミニケーションは苦手で言葉も口数が少ない、これは、私が戦闘に特化したタイプのホムンクルスだから、そう言えば、私が人間で言う10歳の誕生日を迎えたときに、カレン博士から、二種類の錠剤を渡された事があった。それは、一つは私が普通の人間として暮していけるように、私の能力を無力化するもので、もう一つは、能力を引き出す為のものだった。そして、お母さんは私に優しく、この二種類の薬の事を教えてくれた。
『レイラ、良く効いて欲しい、この薬は、それぞれ効果が違っていて、一つは君の能力を封じて、私やお父さんと同じように普通の人間に成ることの出来る薬で、もう片方の薬は、レイラ、お前の力を最大限に引き出すためのもので、そして、これには、かなりの苦痛と感情の抑制が掛かってしまう、だから、私個人としては、前者の方を選んで欲しいのだが・・・・・・ 強制はしない、お前の意思でどちらを選ぶのか決めて欲しい』
『はい、お母さん・・・・・・』
そして、私は良く考えた末、後者のほうを選んだ、その後は、エレノア参謀たちと一緒に保安部の頃から、治安維持活動を中心に今日まで来た。ふと、これまでの事を考えていたら、義父のエルウィン・ノアが私や義母に『二人に話があるから、少し会えないだろうか?』と連絡をしてきたので、私は隊の予定を確認して休暇を取ることにした。勤務中は感情が抑制される反面、日常は口数は少し他人に接するのは幾分かマシになっている、これも、私の能力がより戦闘向きになってしまうので、お母さんが日常面で不便のないように、抑制剤を考案してくれたので、なんとかコミニケーション不足にはなっていない。それに、久しぶりに家族と会いたいと私も思っていたので了承をした。
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カレン・ノアside
今日はエルウィンが珍しく休暇を取ってきたので、私も彼に合わせて休みを取った。まぁ、このまま休みを取らずに兵器の開発プランを考えていてもいいが、流石に娘をほったらかして休みを取らずに仕事馬鹿と言われるのも癪に障るので、丁度いい事だと思う。レイラは、私が何度かホムンクルス研究をしていた、ある男が幼くしてよう逝した、自身の妹の名を付けて軍の依頼で造り上げたが、見返りに一体だけ、人間に近い存在にする事を条件に造り上げたそうだが、彼女が自我を持つ前に不慮の事故で亡くなり、私が彼女を娘として引き取った。カレンは私たちにとって、かけがえの無い存在だ、そして、夫のエルウィンも、彼女が選んだ選択は私に達夫婦とっては、ある意味正しいものだったかもしれないが、私はあの子には普通の生活を送って欲しいと思ってたが、最近は私が開発をした抑制剤のおかげで人としてのコミニケーションはできるようになったが、それまでの薬は、一つ間違えれば、彼女から感情さえも奪いかねないものだった。
ふぅ、嫌な事はこの際、一時忘れて、今日を愉しむ事にしよう。何時も着ている白衣から、ラフなスーツに着替えると、外出用の落ち着いたデザインの眼鏡を掛ける、ちなみに仕事のときの眼鏡は割かし地味なデザインのヤツだ。まぁ、職場に私がおしゃれをして仕事をしていても、外野の気が散るだろうし、私自身、余り、エルウィンと付き合うまで仕事を優先していたせいもある。リフィア曰く『カレンさん、カレンさん、おしゃれをしないと人生損をしていますよ』と言われたことがあった。
「あ、お母さん」
「その、ワンピース似会っているな? レイラ、丁度良かった、今度、流行の服でも見に行こうか? 最近のやつ(服)も中々、いいものが出ているそうだ。そろそろ、お互いに合う服を買い込んでおこうか?」
エルウィンと待ち合わせに指定した場所は、ヤワト王朝の国立公園で、停戦合意がなされてからは、徐々に街には活気を取り戻していた。これも、現在行方不明の国王の隠し財産が発見され、戦後復興の資金に当てられたことと、葉月どのやサクヤ王女の手腕が存分に発揮されて、ゆっくりではあるが、平穏な日々が人々に戻ってきた、もちろん、ノア財団も裏で資金提供を行っていて、我が夫の辣腕にはしたたかさを覚えるが、まぁ、【近所付き合いは頻繁にしたほうが色々便利になる】がエルウィンの持論だから、よしとしよう。
そして、やく、30分遅れでエルウィンがラフな格好でやってきた、身なりは何処にでもいる平凡な成人男性だ、コートにジーンズ姿で伊達めがねで上手く変装している。辺りには、ブンヤの姿は無いどうやら上手く撒いたようだ。
「お、二人とも、おしゃれに決め込んだ来だね?」
「うん……」
「ああ、エルウィンも、その服、よく似合ってるぞ」
三人そろったところで、幻獣園に向かう事にした、幻獣園とは、平たく言えば動物園のようなものだが飼育されている動物がドラゴンとかそういった生き物が飼育されていて、この国の観光名所にもなっている。此処にいるのは大半が大人しい性質の幻獣ばかりで、けっこう人気のスポットに選ばれている。
レイラがまだ小さいときには動物園には連れて行けたが、ここは始めてくるので、私も興味がある場所だ。
「まぁね、じゃあ、そろそろ行こうか? 幻獣園の動物達も俺も興味があるしね。特にドラゴンとか貴重な種類は中々見れないしね」
「ドラゴン、うん、見たい」
「そうだな、自然界の王を見てから、他の幻獣を見に行くのもいいだろう」
竜種は主に二つの種類に分類される、一つは人語を解し、この世界で文字通り頂点に立った種族で、彼らが築き上た文明の名残が各種族にさまざまな影響と恩恵を与える事になった、竜人族と現在自然界の頂点に立つ竜の二種類に分かれる、詳しい事は、まだ解っていないが、竜人族と竜の進化の枝分かれで彼らは別々の種族になってしまったかのように、対象的だ、一つは高度な文明を築き上げ、もう一つは野生の頂点に君臨し近代兵器でなければ倒すのは、かなり難しい存在だ。
「それにしても、巨大な竜だな? なんでも、密漁で親竜が死んで卵が発見されたときに、偶然羽化をして、ここで育てられて、自然で生きていく術を教えてから、自然に放したのだけれど帰巣本能で此処に帰ってきてそのまま住み着いたらしい、子供が成長したら、野生に放すらしいね」
「お父さん、他の子(竜)達はどうなったの?」
「ああ、大丈夫、皆、自然に戻って、ドラゴンの数は増えてきている、この子は生まれたときに人間を見てしまったので、人間を親と思い込んで、人間に懐いてしまっているので、野生には戻れないそうだ」
と、レイラに詳しく説明をするエルウィン、心なしか、レイラに接する態度が私のときに比べて、かなり穏やかだったりもする、こんな時でしか穏やかになれないとは、やはりお偉い人間にはなりたくないと背中がそう言っている。だったら、いっそのこと誰かに任せて隠居でもどうだ? と、言ってやったが「いや、若いときに苦労は買ってでもしろと言うだろう? だから、高く買ってやった」と笑い飛ばしていた。
ドラゴンを改めて見ると、のんびりとしていて、あの恐ろしげな姿は何処にもない、ドラゴンが怒るのは文字通り逆鱗に触れたときくらいなものだ。寝ている姿は大人の竜でも意外と可愛いものだ。
次は、どの幻獣を見ようかと考えていたが、園内を時計回りにみてまわり、麒麟や獏に鵺等を見て回った、それぞれの幻獣の説明はどれも丁寧で私も思わずメモをするくらいだった。
午前中にあるていどの幻獣を見終えて、園内のカフェで昼食をとり、くつろいでいると、レイナスとリフィアの姉弟ペアにイリア司令とフェリオペアと偶然会ってしまったり、さらに、フィーナ・ヴァイン陛下のお忍びデートに遭遇したりと結構、デート率が高かったりもした。
「ふむ、騎士団員との遭遇率も高かったな? まぁ、デートスポットにはうってつけな所だしな」
「ああ、特に誰と出会っても不思議は無い」
「うん」
レイラはアイスをゆっくりとスプーンで舐めながら、私の独り言に頷き、エルウィンは私に同意する。彼はコーヒーにケーキを私は、パンケーキに紅茶とそれぞれ注文した食べ物を味わっていた。さてと、次は魔獣のサーベルタイガーの子供でも見に行くとしようか。
私達は魔獣のサーベルタイガーの子供の子供とふれあえる広場へと移動した。
広場には子供や幻獣の各種幼獣がそれぞれ、飼育委員の指導の可愛がられていた。サーベルタイガーの子供は大きな子猫みたいに仕草が可愛く、レイラも丁寧に体を撫でてあげたり、餌をあげたりしている、エルウィンも魔獣フェンリルの子供を撫でて、餌をちらつかせて遊んでいたら、あれよあれよというまに、沢山の幼獣たちに囲まれて、身動きが取れなくなっていた。普段の彼からは絶対に見れない光景なので、こっそり写真を撮っておいたのは秘密にしておこう、取り合えずプライベートのノートパソコンの壁紙にでもしておくとしよう。
そうこうしながらも楽しい一日を終えた。
次回不定期ですが更新をがんばります。