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第22話~首都ヴァルゼラート〜陥落前編~

描写と話の回数の修正をいたしました。



イリア・キサラギSide


少佐をいや、レイナス君を保護し司令部に事の顛末を有りのまま報告した、何故か他の皆にレイナス君の事を話したら【まさか有り得ん、なにかの間違いだ!】とか【成る程、逸れがあの男の結末か……】と納得する等反応はまちまちだった。

逸れはさておき私は今ヴァイン副局長と通信をしている、レイナス君の件を含めて最終報告をしている途中だった。


《キサラギ中尉は大至急【聖槍】のドックへ向かって下さい、ゼウラニアス帝国がアレを奪取しようとする筈です》


聖槍は新造戦艦〔ホーリー・クレイブ〕のコード名だ形状は翼を広げた鳥の様な流線型のフォルムで艦首に槍のように突き出た紋章砲を装備している。


「ハッ、了解いたしました、これより聖槍の防衛にあたります」


《いえ、貴女方は聖槍の受領した後、ギザ方面に向かって下さい》


しかし、紋章艦の使用は国王陛下の任命と局長の承認が無ければ動かせない、もし勝手に使用すれば反逆罪で私が罰せられる。


《おや、こちらの手違いでしたか? 私はてっきり貴女に聖槍の受領の件の事が伝わっていると思ってましたが?》


「……申し訳ありません、私は、今この件を知りました」


《解りました、では、改めて聖槍を宜しくお願いします、イリア・キサラギ中尉》


私は無言で敬礼をして、通信回線を閉じた。


****


ドラニア帝国軍空中巡洋艦〔トロメキア〕〜Side


ミネルヴァ・V・アースロイルSide


しかし、いきなり転属早々実戦か、そんな事は昨日の時点で覚悟していた、我が帝国軍の第三・第五の二個艦隊壊滅の報が私の所にも伝わってきたこの戦い…… ヴァリア公国は敗北する、そう、私は確信していたウィルト、理由は簡単な話しだ今の戦力で首都の防衛は不可能だろう。


「北側からヘカトンケイルが六匹に、東洋諸国連合の海上機動艦隊、その数およそ三百隻余り、エウレニア帝国軍のあの空中要塞天空の玉座とその護衛の空中艦隊……か?」


「艦長、大聖堂騎士団副局長ヴァルゼラート殿から通信が入って来ました」


「ああ、こちらに繋いでくれ」


やがて、私より少し年下の若い男性が通信モニターに現れる、彼がヴァイン副局長だろな。


《貴女が、V・アースロイル中佐ですね? 申し訳ありませんが緊急の任務をお任せしても宜しいでしょうか? 我が騎士団の最新鋭艦の護衛を貴女方にお任せ致します》


「最新鋭艦の護衛を? しかし逸れは貴方方の最高機密事項の筈では?」


そう、最新鋭艦の事は最重要扱いのAAA扱いの為他国の人間にその護衛を任せるのは非常識極まり無い。


《普通なら貴女のおっしゃる通りですね、しかし今はそんな事は余り重要ではありません、なお一時的に貴女は大聖堂騎士団の臨時防衛戦隊指揮官に為ります、聖槍の護衛をお願いいたします、ドックは第505建造ドックです》


「はっ、了解いたしました、聖槍は必ず守り通します、これより本艦は第505建造ドック上空の防衛に当たります」


しかし、首都の防衛艦隊の数は少ないな? 成る程、首都に住んでいる住人を逃がして。首都をギリギリの所で放棄するのか。


「ヴァルゼラート国王陛下の苦渋の決断か……」


つまり、首都は敵に渡すが国民は誰ひとりとして渡さないと言うことか。


***


レスター・エルンストンSide


俺は今、大聖堂騎士団の最大の拠点ヘイルダムに来て各軍の指揮を採っている、首都の国民は既に大半が南部の地方に疎開しているが、半獣人等の混血の種族は避難が完了していない、そこで巨大空中輸送艦ホエール級を複数用意した、港に3隻に空港に5隻、郊外の平地に2隻だしかし避難民の数が多い。


「やはり、これだけの避難民の数が多いのは親父の人望が一番の理由に挙がるな?」


親父は昔から、人々に尽くしてきた、れは今も変わっていない、そのため我が公国に亡命者や流れ着く者が後を絶たない。


「所で、アマテラスの発進はまだなのか?」


「はい、空港に溢れ返ってる半獣人達をアマテラスに乗艦させている、との事です」


あのお姫様もか、しかし此処でアマテラスの発進が遅れたら、確実に戦闘に巻き込まれるぞヴァインは今は特務で空中戦艦〔グラン・ディオーネ〕に乗艦していて最前線にいる、俺がサクヤ姫の説得をしないといけないな。


****


サクヤSide


通信モニターの呼び出しでレスター局長が私を指名してきました、私が通信に出ると彼は少し怒っていました。


「申し訳ありません、レスター局長ようやく避難されて来た方々の本艦への誘導が終わりました」


《サクヤ姫、アマテラスには早くギザ方面に発進してくださいと何度もご要請しましたのですが?》


レスター局長は少し感心しながらも、あきれた表情で、そう告げてきた。


「はい、ですが私も彼等と同じ亡命者です、私だけ先に避難したくはありません」


私は自分の本心を包み隠さずに、彼に伝える良く母様から【サクヤ、困ってる人は助けるのですよ、そうすれば必ず自分や他の人も幸せになれます。】と良く子供の頃教えて下さいました。


《やれやれ、仕方がありませんね、余り無茶はなさらないで下さい、彼方にもしもの事が有ればエレノア参謀が悲しみます、あと、そちらに何人か応援をまわしますので、彼らもアマテラスの指揮下に臨時で加えてください》


「はい、アマテラスは輸送艦の司令艦としてフェンリル艦隊と共に脱出致します」


敵はもうすぐ此処まで来る、ならグズグズして居られないフェンリル艦隊も恐らく無傷では済まない。


(母様、私は少し自分の戦いを…… 自分にしか出来ない事をします)


そう、これは【私】の戦いでも在るのです。


***


レイナス・ウォードSide


シルフィード号と言う戦艦を降りて、ボク達はドーム型のドックに入ったそしてボクの目に入ってきたのは、大きな鳥の様な戦艦だった。


「うぁーっ、大きいな」


「レイナス君、早くこの艦に乗りなさい、全く、貴方は避難船の方に乗るように手配しておいたんです

、でも、間に合わないから、こっちに、早く来なさいっ」


リフィア姉さんが、ボクを急かして、姉さんが割り当てられた姉さんの自室に案内してくれた。


「レイナス君は、此処にいてね? いい絶対にこの部屋から出ちゃダメよ!」


初めて出会った時よりも、リフィア姉さんの目は厳しい物で少しだけ怖かった。


「うん、姉さんが戻るまで此処にボクは居るよ」


「レイナス君、一人じゃあ大変だから。フェリオ君も一緒で良いわね?」


えっ、フェリオさんがボクと一緒に? どうして?と姉さんに聞いたらフェリオさんは艦のクルーとしての立場はまだ決まって居ないそうなんだ、だからボクと一緒に居るのが良いのか。


「リフィアさん、分かりましたレイナス君は僕が守ります」


むっ、ボクだって自分の身位自分で守れます! ・・・・・・って、なんで、ボクはフェリオさんにライバル心を燃やしてるんだろ? ふと目をベッドの横の棚にやると写真立てが飾ってあった。


(リフィア姉さんと一緒に居る人は誰何だろ? 恋人かな? 逸れにしてもかなり目付き悪い人だな?)


「フェリオさん、この写真の男の人は誰ですか?」


「えっ、それは……」


その時、艦内にイリア艦長の声がスピーカー越しに響き渡る。


《こちら、紋章艦〔ホーリー・クレイブ〕艦長イリア・キサラギです、現在、北の国境にヘカトンケイルタイプの生体兵器を6体確認と連絡が司令部より有りました、海上にもゼウラニアス帝国と東洋諸国連合の海上艦隊が首都ヴァルゼラートに向けて接近中との事です、しかし我が艦は今だ完成はしておらず残念ながらギザ方面に脱出せよとの命令を受けました、従って本艦はこれよりギザ方面に脱出します》


ギザ方面に脱出するんだ…… でも、イリア艦長達なら、大丈夫な気が何と無くした何故だかは解らないけどそんな気がするんだ。


***


ミカSide


私達は、第505建造ドックの上空で待機しているある、ロバート・ミュラー少尉の艦がフェアリー・ウィンドウ隣に、中央はフィーナ副隊長のフェアリー・ウィンドウがいる、その他には海上に小型艦に空中護衛艦が数隻いる程度ね明らかに戦力不足だわ。

ロバート・ミュラー曹長はこの前の会戦で昇進して、本人は【数合わせ】で出世したとか言っていたけれど、実際、撤退戦では煙幕を使っての国防軍の援護を勤めて、その功績で尉官に出世した、から正当な評価だわ。


「ミカ艦長、司令部より緊急入電です」


「内容は?」


なんだか嫌な予感がする、こんな時は良く当たるのが腹立たしい。


「はい、ヘカトンケイルタイプが北部より進行中、現在、アレスさんが一人で迎撃中、それから、ドラグニア帝国のミネルヴァ中佐が護衛艦隊を率いて間もなく増援に来られるそうです」


ヘカトンケイルタイプが六体ですって!?


「まさに、前門の虎後門の狼……ね?」


「か、か、艦長~」


ルイセ少尉が、例の如くウルウル目線だ私は彼女の顔を見据えてニッコリと笑顔で一言だけ。


「大丈夫♪ 私がきちんとギザまで、みんなを連れて帰るわね♪」


どうして、こうもルイセ少尉のウルウル目線に弱いんだろ? 私は。


***


アレスSide


しかし、ヘカトンケイル六体とは、まさに大盤振る舞いだな? 並ば僕も全力を挙げて足止めをしよう、本来ならこの程度は秒殺だが、やはり僕の残された時間は少ない…… だがもう少し【今】を目一杯生きてみたい、それが今の僕の唯一の望みだ。


「感傷に浸り込むのは後だな、まずは、一つ目」


真上からヘカトンケイルの一匹に狙いを絞り込み、ブラストを甲羅に撃ち込む甲羅は一瞬で大穴を開ける、更にそこにファイヤーボールを 叩き込み奴の肉を焼き払う。


「かなり残酷な殺り方だが、手段を選んでる時間は無い」


次は生体レーザーを撃とうしている奴の、砲口にブラストを撃ち込み誘爆を誘った。


(後、残り四匹だ……)


その時司令部から連絡が入った。


《アレス様、対大陸破砕弾頭弾の小型爆弾をこれより使用します、その場から退避して下さい》


「ばかな、あれは、使ってはいけない兵器だ、もしあんな物を使ったら。」


対大陸破砕弾頭は天空の玉座の切り札の一つで、文字通り大陸を一撃(・・・)破壊できる…… その開発者は昔の僕だ。


「まさか、データが残っていたのか? でも全てのデータは僕が消去した筈……」


レスター局長がその疑問に答えてくれた。


《アレス様の懸念もお分かりになります…… アレは遺跡で偶然我が国の国防軍の遺跡調査隊が偶然発見しました逸れを私が知ったのは、アレの小型化が成功し極秘の内に実戦配備した後でした》


彼の表情が苦渋に満ちる、僕がもっと早くに、七千前にしなくてはいけなかった事だ……。


「……被害の規模は、どの位ですか?」


《はい、恐らくは半径約五十キロが灰燼となります…… この事は既に国王陛下もご承認済みです》


「判りました、この件は貴方方にお任せ致します」


素早くその場を高速飛行で離脱し、信号を司令部に送る。

そして、まるで巨大な火の玉が目の前で破裂し全てを閃光の彼方に飲み込んだ。


(僕がこの悪夢を生み出したんだ…… あの時もっと早く彼女の様な【人】に会っていれば……)


そんな、昔の出来事を今更の様に僕は思い出していた。

アレスの過去を少しだけ出しました。


次回戦闘が中心となります。


執筆がんばります。

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