第18話~再会~
新キャラを登場させました。
さゆりとけいのご仕様のご許可をレフェル様に頂きました。
ストーリの修正とキャラの一部の差し替えを行いました
エレノア・アリアドネSide
アマテラスの艦内の謁見の間に向かうそれにしても、この船は軍艦とは違い静かな雰囲気やな、静寂の二文字しか浮かばへん、とにかく王族がしようする船やから、内部は和式の宮廷みたいや、やがて女官のさゆりに案内されて、謁見の間に着いた、まず、うちが驚いたのは護衛が全く居ない事とサクヤ姫が先にうちを待っていた事や、それだけうちを信頼していると言う事や、勿論、この艦内に大それた事を考える愚かしいものは居らんやろう、なんせ、この艦は王族専用の座乗艦で、いわば空の宮中や王族に忠誠を心から誓って居る者しか乗ることは出来ん。
「お待たせ致しまして、大変申し訳ありません、姫様」
「いえ、私が早く来てしまいました、お久ぶりですね、紅姫、うふふ」
姫様の側に控えて居た海原艦長が、うちにヤワト王朝の皇后様より預かった手紙をうちに丁重に渡す
それを内容は恭しく受け取って中身を拝見した、それは、うちの予想を超えている物だった。
「これは……本当ですか? 姫様」
「はい、手紙の通りです、概ねその手紙の通りです」
手紙の内容は以下の通りや。
『紅姫、お久しぶりですこの手紙を貴女が読まれてると言う事は無事サクヤは貴女に会えたと言う事の証になりますね。
ついに、我が国は西洋圏の諸国に戦を始めるつもりですその前にサクヤを利用する者達から、サクヤをこの国から逃がす事を私は決めました。
貴女の居るヴルゼリア公国にご迷惑をおかけ致しますが、なにとぞ我が娘サクヤをお願いいたします。
紅姫もお元気で、サクヤの母、シズカより~』
「紅姫、母の手紙には何と書かれて、いました? わたしは、手紙は絶対に、貴女に直接渡すまでは
開けてはいけませんと念を圧されていましたので」
姫様の目は真っ直ぐに、そして穏やかだが、強い意志でうちを見据えてる。
シズカ様は、ヤワト王朝に嫁いだ妖狐族の巫女で、確か今の暗愚の国王、まぁ、名前はどうでもいい
うちの国王に対する評価も暗愚ランクで最低より3位上レベルではっきり言って
お世辞にも絶対王位継承をさせると碌な事にならない人物第5位に入るほどの暗愚ぶりや
まぁ、今のところ、獣人族やうちみたいな混血に害をなさないだけマシなほうやろ。
尤も、サクヤ姫が生まれたのも半分この暗愚の道楽のせいでもあるが、内心の動揺を抑えて姫様に
手紙の内容を一部だけ、姫様にお伝えする。
「はい、姫様を私に頼みますと、そう書いてありました」
「母様……」
サクヤ姫が、お顔を伏せて、静かに泣いている、うちは優しく姫に声をかける。
「ご安心下さい、う…… いや、私が全責任をもって、姫様の意志を騎士団と国防軍上層部に、お伝えいたします。また、サクヤ姫様のと共に我がヴァルゼリアに亡命をされた方々の安全は我々大聖堂騎士団が全責任を持って行いますので、ご等分は日常におかれましては、ご不便をおかけいたしますがご理解を改めてお願い申し上げいたします」
それから、一週間は忙しい日が続いた、局長と副局長に相談して警備隊の手配と亡命の受け入れ準備に、極東諸国連合軍との戦いの準備に追われた、うちの仕事は姫様のお相手が主になっていた。
そんなある日の事、突然、イリア隊長が、とんでもない思いつきを言い出した。
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ミラージュウルフ執務室Side
イリア・キサラギSide
「サクヤ姫との対談お疲れ様、エレノアさん、所でサクヤ姫に外出はどうでしょう?
いくら設備がきちんとしてある迎賓館でも、あれだけ物々しい警備が常に在ってはサクヤ姫も
窮屈かな? とは思うのだけれど?」
「が、外出!? 体長、アンタ正気か? 確かに、ミオみなたいな物騒なのはあれっきり
姿を見せんけれど、やっぱり、外出はリスクが大きいから、うちらだけじゃあ警備はカバーで出来んから反対や」
うちは反対をしたのだけれど、うちらの隊長が『年頃のお姫様が、軍艦に缶詰なんて不健康です、護衛は私達が完璧にすれば大丈夫ですよ、だからエレノアさん! 是非、姫様の外出を進めて下さい』ほとんど勢いのままにのノリやった、もちろんうちは全力を挙げて反対した、しかし副局長や局長が『大丈夫、警備隊にはうってつけの人物を付けるから異国の町並みをサクヤ姫に楽しんでもらいなさい』の一言でうちは敗北した。
そして、一つの問題が上がったサクヤ姫は洋服をもっていなかった。
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ヴァルゼルイア公国迎賓館Side
サクヤSide
ふぅ、困りました……私は【洋服】と言う西洋圏の服は着たことは無いのです、でも折角、紅姫がヴァルゼルイア公国の市内を案内してくださるので、私のためにご用意して下さいました【洋服】に袖を通すことにいたしましょう。
それにしても、少し生地がふんわりとしていますね? 着物に比べて着易いのですが、肌が少し見えてしまうのは、少し恥ずかしいです。
しかし侍女のさゆりとけいの二人が『騎士団が万全の警備体制で、姫様をお守り致します』と言ってますし。
それに、三人がせっかく選んでくれた『ドレス』と言う装束も素敵ですが海原艦長は少し不満そうでした、何でも『何処に賊が居るのか解らないのに、街に出るのはどうかと……』言ってました。
「この、どれすと言う衣装はかなり薄いのですね?」
「姫様の十二単に比べれば、薄いですよ姫様」
「そうです、姫様には、物もお洋服もお似合いです♪」
二人とも何だか、嬉しそうですでも何故私がお洋服の『試着』をしなければいけないでしょう? 私にも服を選ばせて欲しいです。
アルテミスさんが選んでくれた服は、どれも可愛いリボンや飾りがありました、着替え終わってから彼女に、そそまま可愛い仕草でくるりとまわって見て下さいと言われて、してみたのですが舞を披露しようとしましたが、その場に居た皆さんに止められてしまいました、どうやら、ヤワトの舞を踊るには適さない装束のようです。
さゆりSide
さて、姫様の支度も整いました、後は私達もお供のご用意をしなくてはだめですね。
(ああ、姫様のドレス姿はレア物でした…… 流石、イリア隊長にアルテミス殿、ぐっじょぶです、そして、サクヤ姫の尻尾がふあふあ揺れてますっ、極めつけは頭の耳が緊張気味のせいで辺りに耳を動かしています)
「さゆりさん、サクヤ姫をお持ち帰りしても宜しいでしょうか?」
「ダメですよ、アルテミスさん、姫様は私の物ですよ♪」
「あの…… さゆりちゃん?」
お二人には姫様から私達の服まで、ご用意して頂きましたが、これだけは絶対に譲れませんね。
さあ、異国の街にお出かけです~♪
ふふふっ、三日後が愉しみですね。
***
三日後、迎賓館Side
エレノア・アリアドネSide
さて、迎賓館正面の入り口の前で、姫様の一行をお待ちしてる、警備はその殆どが騎士団の精鋭で固めてるから、かなり気合が入った警備体勢やな。
「なぁ、アルテミス? そろそろ、今回の目的聞かせて貰おうか?」
「どうかしたの? エレノア、ぐえっ」
うちは彼女の首に腕を回して、ヘッドロックをかけて、アルテミスを問い詰める。
彼女が居る場合は大抵、碌な事が絡んでないからや。
(ネタは上がってのや、白状してや?)
(あははっ、目が笑って無いわね? エレノア)
引き攣った笑顔で誤魔化そうとしても、そうは問屋は下ろさんで?
「うふふ、相変わらず、皆様と仲が良いのですね? 紅姫」
二人で声のする方を見るとサクヤ姫が、笑顔でこちらを見ていた。
「姫様、そのドレスは、どうなさいました?」
クスクスと笑ってから、『はい、イリア様とアルテミス様に選んで頂きました』とうちに告げる反則や、可愛いフリフリとリボンが付いた子供向けのドレス姿に正直、圧倒された。
「//// ど、どう、似合っていますか? 紅姫」
「//// ハイ、トッテモ、オニアイデス、ヒメサマ」
思わず言葉がロボットみたいに固まるしかも上目遣いで、うちの方を見るから危うく意識が陥落するとこやった。
***
アルテミス・ガーネットSide
(さて、此処までは予定通り、後は何事も無く無事に終わると良いのだけれど)
「それでは、今日一日姫様の護衛を努めるアルテミス・ガーネット中尉です」
「エレノア・アリアドネ中尉です、警備は全責任をもって当たります」
私達達は、私服でサクヤ姫の護衛に当たる事になってる、今日、体調不良のイリア隊長に変わってフィーナ副隊長達はルートのチェックをしている、サクヤ姫のドレス姿を見たエレノアさんは少し固まっていた、サクヤ姫のドレス姿は恐るべき破壊力だわ、貴重なお姿だから、後で写真をとらせてもらいましょう。
さて、予定通り街に車で出かける、さゆりとけいとサクヤ姫の三人はまるで姉妹みたいだわ。
****
サクヤSide
これが、母様や他の方々が仰っていた西洋の町並みですね?
まるでお城みたいな建物が沢山あります。
「この通りは、首都ヴァルゼラートの大通りです姫様、あちらの建物が王立記念美術館でその奥の商業区域になります」
紅姫が教えてくれた通りに目を向けると、沢山の半獣人が行き来していた。
「そういえば、私達は耳や尻尾を隠さずにしてますが、大丈夫なのですか?」
東洋諸国なら、迫害の対象になる純血・混血を問わずに、紅姫がその事を詳しく教えてくれた。
「そうですね、我が国は他種族を無意味に差別はしません、しかし中にはやはり差別を平気でする者達もいますが、暖かく受け入れております、確か十代前の王様が、半獣人のお妃様をお迎えした時に『これからは私は妻に素晴らしい者を迎えた、これからは種族を問わずに誰もがこの国で暮らせるのだ』と宣言しましたので、獣人やその混血の人々も今では、一ヴァルゼリア市民として暮らしています
逆に旧習に囚われている者も居ますが、そちらの方が今は逆に良い目では見られません」
(我が国も、この国の様に、なれるのだろうか?)
私の想いが表情に出たのだろう、紅姫が優しく話しかけてくれる。
「はい、必ず姫様の願い通りになります」
「エレノアさんの言う通りです、サクヤ姫」
この国に来る前に、色々教えてくださった、爺やの一言に忘れていた事を思い出した、紅姫は私が無理に父に頼んで処刑の代わりに、国外追放された事を。
「……」
急に私が黙ってしまったので周りも静かになってしまった。
「姫様、気分転換に外を歩きませんか? せや運転手、この辺りで車止めてや」
突然、車を止める、紅姫が通信機で誰かと話をしてから、紅姫から外、つまり町並みを歩く事を提案された。
「エレノアさんっ、正気ですか? 後で、隊長や局長にものすごく怒られますよ?」
「大丈夫や、この辺りにフェリオやサラ将軍の隊も警備してる、それに、もう連絡済みや」
紅姫は、まるで悪戯っ子みたいな無邪気な顔をして笑っていた。
***
エレノア・アリアドネSide
さて、安全は確認済みやけど万が一があったら姫様に申し訳がたたん、うちがトップバッターで車から降りると、しばらくして再度安全が確認されて、サクヤ姫が車から降りるうちが姫様を連れて行きたかった場所に案内する。
目の前に、この国一番の銘菓店{シャングリ・ラ}が見えてきた、フェリオはこの店に何時かのジャンボ・パフェ食べ尽くし事件のせいで出入りが禁止されてる、まあ、うちがフェリオにたまに隊長に内緒でプリンを買って帰る約束で勉強会をする、バレそうな時はアルトの野菜お菓子が効果てき面やな。
「此処は、お菓子のお店ですか? 紅姫様?」
「うぁーっ、お菓子が沢山あります~♪」
さゆりさん…… けいさん、アンタ等仕事忘れてへん?
「姫様、どのお菓子をお食べになられますか?」
「はい、この大きなアイスクリームとか飾り付けが色々可愛いのが良いです♪」
姫様…… それは、フェリオが食べ尽くした【挑戦メニュー】何ですけど…… 此処は絶対にダメと言わないと後が色んな意味で恐ろしい。
「すみません、姫様、そのメニューは今は置いて無いんです」
「そうなんですか?」
(あの巨大なジャンボ・パフェは姫様に完食出来へんで、絶対、姫様が泣き出すから)
この店で、一番美味しい、チョコパフェを進めておいた、アルテミスが半泣きでこちらを観ていた、理由は姫様の尻尾が子犬みたいに振っていたからや、気持ちは分かるけど絶対にモフモフはさせへんで綾人。
そして、シャングリ・ラを出ようとした時、遠くのビルの屋上が光っていた。
(スナイパーや!)
しかし、うち等より、速くローブ姿の少年がうち等の前に立ちはだかり、片手を前に広げて銃弾を砂に変える。
「ふぅ、間に合って良かったです」
「君は、一体誰や? 見た所魔術師の様やけれど?」
こんな芸当はまず、高位の魔法使いにしか出来ない、しかもかなりの高位の魔術しか魔法使いやろう。
「とりあえず、【黒い賢者】と言っておきます、改めてよろしくお願いいたしますね」
「黒い・・・・・・賢者やて・・・・・・?」
多分、本人やな、七千年の間正体不明の大魔法使いや、噂では【最強の龍王】と伝えられてる。
「まあ、元最強ですね、今は力の使い過ぎで、ヘカトンケイルを止める事がやっとですよ?」
あの、ヘカトンケイルがやっとやて!? ……どんだけ凄いんやこの人は?
「アレスと言う名前があります、エレノアさん」
おまけにうちの心まで読んでるし。
「ア、アレス先生!?」
声のする方向を見ると、フェリオが、ガクガク、ぶるぶる震えてる脅え方は…… 隊長よりかなり脅えてる。
「そんな事より、姫様の安全を優先やフェリオ此処は任せる、ええなっ」
「は、はい、エレノア参謀」
「フェリオ君、僕も居ますよ、後で色々話しを聴かせて下さい」
二人に構わず、姫様を車に押し込む様に乗せると迎賓館に猛スピードで向かう。
***
迎賓館Side
エレノア・アリアドネSide
無事、迎賓館に到着して、姫様を客室にお連れする、しばらくして姫様が口を開く。
「紅姫、できれば、私の所に還って来て欲しかった……」
「姫様?」
顔を伏せ泣きそうな声でうちに語りかける姫様正直、うちは迷ってる姫様の所に居るか、皆の所に戻るかの二択が正直苛立つ。
すると姫様は、顔を上げ笑顔で語りかけてる。
「紅、……いえ、エレノア・アリアドネ様、どうかお元気で騎士団の皆様に今日は【ありがとう】とお伝えください」
「はい、姫様も身体にお気をつけ下さい、姫様、無礼を承知で申し上げます」
「何でしょう、エレノア様?」
思い切って姫様に伝えたい事があった。
「姫様は、うちを憎んでいませんか?」
「いえ、あの時私が父に貴女の助命を頼みました、だから貴女が無事に生きていて本当に良かった」
「//// あの…… エレノア様、私にも、私の【想い】を受け止めて下さる方はいますでしょうか?」
恥ずかしがって、うちに聞く姫様に笑顔で一言だけ答える。
「もちろん、姫様に相応しい方は必ず現れます」
と一言言って臣下の礼をして謁見の間を後にした。
次回頑張ります。
誤字を修正しました。