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とばっちり①~女学院

附属病院の最上階は優雅な朝を迎え入れるのが日課であった。


のんびり検査入院しているクランケ。インターネットを開示するやいなや。


血圧もあがらんとばかり目ん玉をひんむいてしまう。

「なっなんだ!」


怒りは瞬間湯沸し器のごとき


わなわなっ


唇が震え言葉が接げない


さらに手が震えてしまう。

ぶるぶる


携帯を取り出したい。


怒りで指先が思うに任せない。


「畜生!あの編集長の野郎~」


ただではおかない!


ナメタ真似してくれた


「この俺をナメやがった」

天下のテレビ時代の寵児の俺様を


「誰様と思っていやがるんだ。零細雑誌のひとつやふたつ」


脚本家のツテをフル稼働させ報復したい


腹の虫は収まらない。


朝方はたいして気分も悪くはないが


「頭に血がのぼってしまった」


検査入院には珍しくナースコールをする。


閲覧インターネットにシンデレラ姫のゴシップが堂々と流されていた。


「血圧が…頭がふらついてきたぞ」


担当ナースが駆けつける頃にはベッドの上で気絶をしていた。


附属病院の外来診療もてんやわんやだった。


担当ナースは寄ると触るとゴシップ(噂)である。


見たぁ~


見たわ


「えっ?本当に?」


これって


先生でしょう?


「先生だってばぁ~」


朝一の患者さんからゴシップ雑誌を見せてもらったのは内科診療のナースであった。


「ヒェ~そんなバカなぁ~」


信じられない!


酔狂な声


嫉妬からか


診察室に響き渡ってしまう。


隣近所の診察室のナースや患者さんは何事かと顔を出した。


「どれどれ」


見せてもらったゴシップ雑誌をペラペラめくる。


ナースが見るグラビアはページの至るところに裸女(ヌード)がこれでもかと飾られていた。


若い女性はまず手にしない男性向きアダルト大衆雑誌の類いである。


「もっもう!これって大問題。病院長に掛け合って雑誌に文句言わなくちゃ」


ナースは息巻く!


しかしアダルト系の雑誌を若い女の子がどの面さげて院長に?


もう!


「そりゃあ私だって恥ずかしいわ」


パイッ~


待ち合いのソファに投げ捨ててしまった。


女学院の職員室である。


その中心に教頭先生が深刻な顔つき。


回りを若い教員が5~6人で雁首揃え悩み顔であった。

教師らの前にゴシップ雑誌の巻頭記事が開かれていた。


「我が校の他の生徒に悪影響でございます。もう困らせないでいただきたい」


とんでもない問題が発覚ではないか。


やがて


うるさいPTAが女学院にやんやの苦情を指摘してくるであろう。


対応を担当する教頭は頭を抱えてしまう。


「だからですよ。私は反対したんです」


あんなわけのわからぬテレビ局のシンデレラなんたら。


「素人ならなんでも受け入れるオーディションがそもそもいけないんですよ」


教員らも同様


口々に愚痴ってしまう。


「女学院からは芸能人なんか輩出してはいけないのでございます」


芸能界はウソっぱちな世界ではないか。


一般公募と名を打ってあっても素人には無関係なオーディション。


優勝やグランプリを獲得する女の子は"出来レース"なのである。


選ばれた女の子は例外なく可愛いのである。


ゆえにいずれか芸能プロダクション所属の"タレントの卵"なのである。


「当初でございます。我が女学院がグランプリと聞いて"ヒヤッ"としたんですよ」


教育熱心な教頭は芸能人が多いる高校に電話を入れ相談している。


今を思えば校則を楯にしてまで芸能人NGを出しておけばよかった。


芸能人がいるとなれば女学院の名前が宣伝になり受験生が増えるとスケベ心を出したことを後悔しきりである。


「弱りました。我が女学院にダーティなイメージがついてしかりでございます」

生徒の不祥事であれば父兄を呼び出し厳重注意。


ならば…


生徒にゴシップが降りかかるとならば。


学校当局としては如何がいたすべきか。


教頭は再び芸能人輩出学校に電話を掛けてみるのである。


蜂の巣を突っついた震源地。


ゴシップ雑誌はたいした発行部数を刷っているわけではない。


今週は"売れ行き好調"と見込んで約30倍の発行としていた。


強気の編集長である。


いくら増刷しても完売はなされる!


あくまでも強気で踏む。


芸能ゴシップ好きな日本人は必ず我が雑誌を買う。


"捕らぬタヌキの皮算用"は掲載ゴシップに自信ありの裏返しでもある。


「これだけの材料が揃えばマスコミは騒ぎ立ててくれる」


注目されれば証拠写真はいくらでも高値をつけて売り捌けた。


こうして第一弾が放たれた。


次週に備えた第二弾はバージョンアップされ衝撃を与えるのである。


「思えばあのタレコミのおかげだよなあ」


インターネットを検索すれば雑誌の売り上げが驚異的な数字を示していく。


三流ゴシップ雑誌にしては売れに売れている。


出版社の電話はひっきりなしに鳴り響き取材の申し込みが殺到であった。


編集長は天にも昇る境地である。



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