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青春真っ盛りのナース

「あらっヤダ!」


内科外来診察室。


定時になり受付のカーテンをサッと閉める。


「先生っ患者さんは終わりました」


ナースと医科大学院生は仕舞い支度を始める。


ナースは世話好きなのであれこれと気を使います。


「先生っちょっと前を向いて」


ネクタイが曲がってます。

「ちゃんと伸ばして」


直しますわ


「先生は背が高いので少し屈んでくださらないと」


私はうまく直せません。


「あれっそうでしたか。おかしかった?ごめんごめん」


医師の白衣からちょっとしか覗かないネクタイ。


曲がるもなにも傍から見たらおかしくはないのである。


恋人気分のナースには服装が気になって仕方がない。

自分で直します


「あれっそう?曲がっていたかな。恥ずかしいなあ」

鏡を見ようか


ナースがピシャリと言葉を繋ぐ。


「あんっ先生ったら。ちゃんと私が直してさしあげますから」


甘ったれた黄色い声は女子高生のごとし。


わざとらしくうわずる声をナースは出した。


診察室を退室時間が来る。

ナースは嬉しくてたまらない顔である。


憧れ男性にキスを許したばかりの18歳の青春。


新調の"紫レース・ランジェリー"


彼に見てもらった。


嬉しい!


かっこ悪いが診察室ベッドで抱きしめてくれた


18歳のナースは


雲の階段を


幸せの階段を


あがり絶頂である。


診察室の蛍光灯をすべて消すと男の胸に顔を押しあてて目を閉じた。


「もうっ大きな赤ちゃんなんだから」


かわいい木槿(むくげ)猫のようにじゃれついてくる。

心地よい香水の匂い。


漆黒の髪。


抱きしめたら可愛い女の子である。男のハートをバキュ~ンと射ぬくだけの魅力はある。


今は胸にギュッと抱きしめて至福の時だと思えばよりいっそうかわいい女の子。

「さあ仔猫ちゃん。時間が来たから研修に参りますよ」


「私っ先生と」


甘い気持ちのナース


「手をつないで研修室まで行きたいなあ」


仲良のよいふたりは手を繋ぎ最上階の研修室へ向かいたい。


甘えん坊さん


18歳の女の子


離れたくない。


甘えん坊さんのナースは駄々をこねてしまう。


チュ~


暗闇の中で甘い口づけをかわす。


「研修教育が終わったら食事を一緒にしようか」


デートの約束をしてもらう。


胸元からしぶしぶ離れる。

「先生とふたりだけ」


医療関係者のその他大勢にナースの私もポツンでは怒っちゃうもん!


イチャイチャしながらもようやく暗闇の診察室から廊下に出る。


ふたり仲良く揃って光りのある場所に出る。


次の瞬間だった。


「あっ!アチャア~」


ナースは汚点をみて青ざめた。


真っ白のはず医師白衣


口紅のキスマークがほんのりとあった。


いかに仔猫が胸元でじゃれていたか。


「私が口紅を」


ひやひや~


すぐに白衣を新調しなければならない。


ドタバタ


あわてふためく


ナースは犯人である


「あっ先生っ。ちょっと」

うん?


「顔にも口紅が…」


白衣を取り替えたと思えば。


顔を見合せ大笑いした。


「君の口紅ぐらいは勲章として認めてもらいたな!アッハハ」


口紅が勲章?


口紅をつけた犯人ナース


恥ずかしいやら


照れくさいやら


「先生の意地悪さん」


顔をナースに近くして洗顔をしてもらう。


優しいナースに素敵なクランケは従う。


「またキスしたくなっちゃうなあ」


脳裡に紫色がパッと浮かんでしまうのである。


嫌だぁ~


「私も…」


あらあらっ


いつまでもお熱いこと



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