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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。

"交尾"

掲載日:2026/04/09

君の切開された、紅い内側に触れるたび

液躰音が、真っ白なタイル張りのこの部屋にはこだまする


その度に、君は汗ばんだ顔を僕に向けて吐息を漏らす

息の熱さが頬を何度も濡らしたが、躰の内から溢れた、誘うような絡み付く熱気に及ぶ程のものでは無かった



麻酔が効いてきたらしく、君は手術台の上で夢の世界の言葉を、呂律の回らない舌でうっとりと語り出す


良い音楽だ

僕は君の肉に指を差し込むと、確かめるように躰音の中を探った


君は苦しげに瞼を降ろした表情で背筋を引き攣らせ、死にかけた蛇のように身をくねらせる

あまり苛めても悪い

僕は手近な肉を摘み、軽く引き伸ばすと、メスでゆっくりと引き切った



まずは舌に載せる


苦味───或いは臭みなのかも知れない

雑味が強く、『生食には適さない』と瞬時に解った


間の悪いことに、君はもう麻酔に慣れてしまったらしく、ぼんやりと顔を起こし、僕を真っ直ぐ視詰めて居た



「お前が『食べたい』って言ったのにさあ」


「………なんで、そんな不味そうに食べるの?」


君の瞳が、濡れて居る

僕は少々の狼狽を覚えながらも、「直ぐに最良の調理など、視付かる訳が無いさ」と返した


もう一切れを、切り取る

君が「それは」「どう食べるの」と身を乗り出して聞き始めたので、僕は更に狼狽えた



「揚げたりとか……」

「臭いの?」


言えなかった


そもそも、幾ら麻酔が効いて居ても、あまり傷口を広げたり出血を増やすべきでは無い

君を宥める必要が在った



「なんか、調味料とか───」

「美味しくないの?」


気不味い沈黙が続いた為、僕は観念すると「………待って」「君も」「僕を食べてよ」と服をはだけ、いそいそと君の躰を縫合した


君の表情が、みるみる明るさを取り戻す

縫合が終わるや否や、君は僕に飛び付いてメスを取った



「あっ………」


「待って!()ず麻酔とかさ……」


床に組み敷かれた僕を、舌舐めづりの顔が視下ろして居る

そもそも君は麻酔の扱いを把握して居なかったし、使ってもく()れ無かった

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