二日後にオフ会を控えた俺とネッ友の悩み事
「はぁ、オフ会かぁ〜大丈夫かなぁ」
これは二日後にオフ会を控えた俺の悩み事。
俺の名前は灰原 綾、ゲームと陸上が好きな普通の大学2年生。そんな普通の大学生である俺に、ある日転機が訪れた。
「はぁ!!オフ会ッ!?何考えてんだアイツは!?」
3年間、ネットの中で関係を続けてきたネッ友こと天ムスが突然、『そろそろ私達も3年間の付き合いになるんだし、オフ会してみようよ!』と誘ってきたのだ。
勿論、俺としては3年間ゲームや文面で関わってきた天ムスが、オフ会を誘ってくれるのは嬉しい。だが、突然の出来事過ぎて少々頭が混乱している。
何を隠そう、俺はネッ友こと天ムスに恋をしている。
顔も見た事がない、どんな人なのかも分からない。だけど俺には、天ムスがすごく天真爛漫で頭が悪くて、でも一緒にいると楽しくて、とても優しい人と言う事を知っている。
だけど!それでも!
「急に会うってなると緊張しちゃうじゃんッ・・・・・!!」
タイムリミットは約二日間。
二日後のこの時間には天ムスと対面している。そう考えるとすっげぇ緊張する。
「よし、先ずは服装から考えよう!」
だがしかし、ここで問題が発生する。
生まれてこの方、碌にお洒落なんて考えずに生きてきた。家ではジャージ、外でもジャージ、大学でもジャージ、青春とは無縁な服装だ。
⭐︎⭐︎⭐︎
一先ず、家にある自分がお洒落だと感じた服を着てみた。
鏡の前でポーズを取ってみる。
「・・・・・・・・・大人しく妹に頼ろう」
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妹に賄賂を渡し、服装を考えてもらったので一先ず服装問題は解決。そして髪型の方も、当日妹にセットしてもらう事になった。出来た妹だぜ・・・・・・
「服装と髪型問題解決っと。だけどなぁ、あと一つ問題残ってるんだよなぁ・・・・・・」
そうあと一つ、問題が残っている。
俺は昔から、とても代謝が良い。それが悪い事だとは俺は思わない。だけど、そのせいで大量に汗をかく。
昔、初恋の女の子から言われた。
『綾君って、汗多くて気持ち悪いね・・・・・・』
その言葉は今でも俺の頭の中に残って、次第にこの代謝の良さがコンプレックスになっていった。
「天ムスがそんな酷い事を言ってくるとは俺も思わないけどなぁ・・・・・・」
やっぱり、俺の中ではあの言葉がフラッシュバックする。今更、『ごめん!汗っかきだからオフ会行けない!』なんて言えるわけないし、そんな事を言って天ムスとのオフ会が無くなるのは絶対嫌だ。
「はぁ、タオルと着替えは持ってくか・・・・・・」
独り言を口にし、持っていく物を準備しているとふと、スマホに着信が来ている事に気づいた。
『灰被り!私オフ会楽しみにしてるから!』
その着信を見ながら俺はふっと笑みが溢れた。
⭐︎⭐︎⭐︎
「はぁ〜、オフ会する事になっちゃった・・・・・・」
これは二日後にオフ会を控えた私の悩み事。
私の名前は天上 司、ゲームと水泳が好きな可愛い大学生2年生。そんな可愛い大学生である私は、緊張しながらも3年間も続く関係のネッ友こと灰被りにオフ会を提案したのだ。
緊張故にゲロを吐きそうになりながらも、彼からの返事を待って5秒。彼から、肯定の返事が来た。
胸の奥から込み上げてくる嬉しさを鎮めながらも私は、冷静に考えて、色々計画を立てた。
そう、私はネッ友こと灰被りに恋をしている。
顔も見た事がない、どんな人かも分からない。だけど私は知っている。彼はヘタレチキンで、だけど元気いっぱいで、一緒にいると元気がもらえて、とても、とてもとても、優しい人。
自分でオフ会を誘おうって決意したのも、このまま何の進展もないのは嫌だと思ったから。でも、いざオフ会を誘ってみて、まさか肯定されるとは思ってもいなかったし、同時に誘いに肯定してくれてとても嬉しかったけど。
だけど、それでも!
「急に会うってなると緊張しちゃうぅっーーー!!」
猶予は約二日。
二日後の今の時間にはもう灰被りと対面している。そう考えると嬉しさ反面、緊張で吐きそうになってくる。
「うん!先ずは服装から考えてみよっ!」
だがここで問題が発生した。
「彼がどんな服装が好みなのかわからない・・・・・・」
⭐︎⭐︎⭐︎
ボーイッシュ系、カジュアル系、シンプル系、地雷系?
「いや、地雷系はないかなぁ〜」
一通り、自分に似合いそうな色々な種類の服を着て見て思った。私は可愛いからどんな服着ても似合うなって。
てへっ!
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「う〜ん、服が決まらない〜」
(灰被りの趣味、もっと聞いておけば良かった)
まさか灰被りとオフ会をするなんて前の私じゃ考えもしなかっただろうし。
自分に似合う服装がないかスマホで色々と検索していると、ふとラブコメのキャラの画像が目に入った
「そういえば、灰被りこの前このラブコメキャラが可愛いって言ってたな・・・・・・」
今話題の純愛系のラブコメ。
そういえばこのキャラの服、私持ってたな・・・・・・。
「決めたっ!この服で行こっ!」
ラブコメのキャラの服でオフ会に行くって思うと、何だか微妙な気持ちになったが、それでも彼が好きって言っていたキャラの服で行ったら、彼がどんな反応をしてくれるかと考えるとそんな気持ちも吹っ飛んだ。
「服も髪型も決まったし、残すは・・・・・・」
服も髪型も決まり、とても順調に進んでいると思ったけど。問題が一つあった。
「私ちゃんと目、見て話せるかなぁ」
私には一つだけコンプレックスがある。
それはコミュ障な事だ。
それなりに可愛かった私は当然彼氏だって出来た事もある。だけど、いざちゃんと話そうとするといつも頭が真っ白になる。
目を見て話せなかったり、反応が薄かったり、話題をふらなかったり、このせいで付き合ってた人にも振られた。
『お前と話してても反応薄いし楽しくねぇだよ』
今でもこの言葉がフラッシュバックする。
私にとってこのコンプレックスはトラウマでもある。
「例え私がいつも通り話せなくても、灰被りはそんな酷い事は言わないと思う。だけど・・・・・・」
私に深く深く突き刺さっているこの言葉は、灰被りと会う事に恐怖を植え付けてくる。
灰被りが優しい人って脳で理解してても、体が会いに行く事に恐怖を抱いている。
ネットだったら大丈夫、でもいざ会って話そうっとなると少し怖くなってくる。灰被りをオフ会に誘った事に後悔はない。だけど、やっぱりまだ怖い。
その時、前に灰被りが話していた話を思い出した。
『俺さぁ、昔から代謝が良いんだけどそれが理由で初恋の女子に気持ち悪がられた事あったんだよ』
その話を聞いて私はその時、灰被りにそんな事を言った初恋の女子に怒りを覚えたと同時に、灰被りにも同じような悩みがあるんだなと、なぜか安心感を覚えた。
その話を思い出した私は、スマホをとって灰被りにメールを送った。
『灰被り!私オフ会楽しみにしてるから!』
メッセージを送りスマホを閉じようとした時、スマホから着信音がした。画面を見ると短く、だけど何故か安心感を覚えるようなメッセージが来ていた。
『俺とお前は似たもん同士だ。だから明日も着飾らずに来いよ』
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二日後、遂に俺は天ムスとの待ち合わせ場所に来ていた。天気は晴れ。とても心地よい風が吹いたと同時に、どこからか、俺を呼ぶ声が聞こえてきた。
「灰被り・・・・・・さん、でしょうか?」
「ブフッ!!」
普段タメ口であり、時々俺を煽ってくる天ムスがしおらしく話してきて思わず笑ってしまった。
天ムスはというと、俺が笑った事に対して頬を朱く染めながら俺の背中をぺしぺしと叩いてくる。そんな愛らしい姿にドキッとしてしまったというと事実は墓まで持っていくとしよう。
「はじめまして、天ムス」
「はじめまして・・・・・・灰被り」
少し恥ずかしそうにしながらも俺の目を見てはっきり答えてくれた天ムスを見て俺は少し嬉しくなった。
「なんか、色々悩んで損したな」
「私も、色々悩んで損した気分」
お互い、思っていた事を告げると、俺たちは何かが吹っ切れたように笑った。
「行くか、天ムス」
「はいはい、あ〜も〜ほんと色々悩んで損したっ!」
そう言いながらも俺に笑顔を向ける天ムスは俺にとってとても眩しく、同時に可愛らしかった。
これからバンバン小説書きます!!




