幕閉じ
はじめまして、bsgと申します。よろしくお願いします!!
なんだか眠いな…
普段寝起きはいいほうなんだけど、今はとても眠い。
どこかで自分を呼んでいる気がするけど、よくわからない。
それが自分の名前かどうかも判断がつかないし、答える気も起きない。
「…」
記憶も少しおぼろげだ…
俺ってさっきまで何してたんだっけ…?
※ ※ ※
「お疲れ様でしたー」
「おう、今日はもう帰るのか」
「ああ。今日はちょっと用事があってな」
夕方というには暗すぎる天気を眺めながら、俺、笹井健八はそそくさと会社を後にしようとしていると、電子タバコを片手に幼馴染であり同僚の村井が声をかけてきた。
「なんだー?笹井クンもついにコレかぁー?」
空いてる手の小指を立ててニヤつく同僚に聞こえるように舌打ちをし、
「今日はゲームのアプデなんだよ。用がないならもう帰るぞ」
「はいはい、そんなこったろうと思ったよ。まあでも、お前も今年で27なんだしさ。そろそろ彼女でも作ってみたらどうなんだ?」
「うるさいボケ。お前も人のこと言えないだろ」
万年彼女なしの煽りあい程虚しいものはないな。
溜息一つ、
「じゃーな、帰るわ」
「おう、気をつけて帰れよ」
帰り道、そろそろ冬が来そうだな、と歩きながらポッケに手を突っ込み考える。
朝起きて、会社へ出勤し、夜まで残業、帰って少ない時間でゲームをして過ごす。
休日もだらだらゲームをして日曜日の夜に呪いを込めて目覚まし時計にスイッチを入れる。
「なんか良いことねーかな」
独り言ちてしまうのも無理はないだろう。
それでも今日は大好きなゲーム『TOF(Team Of Field)』の大型アプデ記念日だ。少なくない時間を注ぎ込んだということもあり、即席チームでランク入りしたこともある。
「酒とツマミ買ってさっさと帰ろ」
一人暮らしが長いせいか独り言が増えてきた気がするな…
とぼとぼと帰り道にあるスーパーを目指していると、
「どけっ!!」
「は?」
後ろから突然ぶつかってきた男に反応出来るはずもなく、バランスを崩した俺は横に押しのけられた勢いのまま車道に飛び出してしまう。
ああ、なんだか世界がゆっくりだな。
目の前にはそれなりのスピードが出ているタクシー、運転手の顔も後ろに乗っている女性の顔もはっきりと見える。結構笑える顔してんじゃん。B級映画の大根役者にも見習ってほしいくらいだぜ。
ドン!!
今後タクシーを顔面で受け止めるような奴が出てこないように今ここで伝えることがあるとしたら、耳鳴りは止まらないしたぶん目が潰れちゃ…いや、なんでもない。
「…!、……!!」
周囲がうるさい。
(あー、いってぇー…)
意識があやふやだ。
なんだか眠いな…
普段寝起きはいいほうなんだけど、今はとても眠い。
どこかで自分を呼んでいる気がするけど、よくわからない。
それが自分の名前かどうかも判断がつかないし、答える気も起きない。
意識が、暗転する。




