第6球 八乙女光一による美少女紹介!
新たに二年生の宗谷博之が野球部に加わった、次の日の朝のHR前。
雄馬は大きなため息を付いていた。
「宗谷先輩が入ってくれたのはいいものの、後6人も集めなきゃだしなー。でもいい加減、勧誘すんのもうざがられてるし……はぁ、どうすっかなーマジで……」
宗谷を入れて最低でも後6人が必要だ。
だが、連日勧誘しに各クラスに行くも、いい返事は一つもない。
それどころか、しつこいと邪険にされてしまい話も聞いてくれなくなってしまった。
本格的に打つ手がなく、机の上で頭を悩ましていると、能天気な声が降ってくる。
「よっ大将、入学したばっかりだってのに暗い顔してんな。なんだ、もう誰かに告って撃沈でもしたか?はっはっは」
人をムカつかせる言い方で声をかけてきたのは八乙女光一だった。
(つーか大将って俺のことか?)と突然呼び方が変わって疑問を浮かべていると、光一はポケットからメモ帳を取り出して、
「しょうがねえなぁ、特別に俺が集めた青北美少女を教えてやろうじゃないか」
「どうでもいいわ」
「まあそう言うなって」
嫌そうな態度を取る雄馬を無視して、光一は机の上に写真を広げる。
「青北は女子のレベルもかなり高いんだけどさ、その中から俺の一押しを紹介しよう。まずは三年生からだ。3年3組 野薔薇静香。生徒会副会長で、成績は常にトップスリーに入ってる。おおらかな性格で面倒みもよく、周りからは聖母しずか様と称えれているらしい。しかしドジっ子の部分もあり、そこがギャップでたまらないだとか。見た目はもちろんSランク、端正な顔は勿論、圧倒的なボリュームを誇るおっぱいは青北1と言ってもいいだろう」
「うわ……確かに大きいな」
野薔薇静香の写真を見て、雄馬もその大きさに驚く。
確かに、彼女の胸ははちきれんばかりに実っていた。
雄馬の反応に光一は「そうだろうそうだろう」と頷き、二人目の写真を出す。
「では次は二年生だ。二年生といったらやはりこの人、冬月えりな。青北高校冬月理事長の孫であり、一年生にして生徒会長に抜擢され、文武両道、才色兼備の完璧超人。天が二物どころか全てを与えた漫画の世界の住人だな。はぁ~いつ見てもお美しい」
恍惚とした表情で体をくねらせる光一を気持ち悪い目で見ながら、雄馬も写真に目を落とす。
「そういえば見たことあんな」
「ばか、入学式で挨拶してくれただろ」
と言われたので、記憶を掘り起こす。
校長らの眠たい挨拶が続く中、登場しただけで歓声をわかせた生徒だ。
雄馬もえりなの事は覚えていた。
「ったく、まあいい次いくぞ」
あまり反応を示さない雄馬に呆れながら、光一は最後の一枚を取り出す。
「一年生はむずかしい、先に紹介した二人のように完成された子はいなかったが、原石はたくさんいた。その中でも俺が推したいのは、一組の春野うららちゃんだ。小動物を思わせる可愛い顔に、太陽のような笑顔。そして耳がとろけそうになる声をもっている。あの声で頑張って!とか応援されたらもう死ぬまで頑張れるね俺は。発育は……今後に期待といったところだろう」
うららの写真を持ちながら、雄馬は「へー」と続けて、
「春野ってそんなに可愛いんだ」
「なんだ、大将もすでに春野ちゃんを知ってるのか?」
「知ってるもなにも、毎日会ってるし」
「あ?」
スンと光一の顔が真顔になり、雄馬の肩をガシッと掴んで揺らす。
「おいどういうことだ進藤!てめえまさか俺の、いや俺達のうららちゃんに手え出してねーだろーなぁ!?」
「ちげーよ。春野は野球部のマネージャーなんだよ。んで、入学式から一緒に野球部作ろうとしてんの」
「なん……だと!?」
驚く光一。
雄馬はにやりと笑う。
「ということだ八乙女、野球部に入ったら毎日春野から頑張れって!って応援してくれるぜ。どうだ、いいと思わないか?」
うららを餌に光一を誘う雄馬。
光一は「う~~~ん」と悩むそぶりはするが……。
「くっ……悩む。それはすごく悩む!だが悪い大将、俺はやっぱりスポーツよりアオハルを取りたい!!」
「んだよ。じゃあもういいや、どっかいってくれ」
「急に冷たくなったな。ていうかお前、俺が折角美少女たちを教えてやったってのに全く食いついてこなかったな。なに?もしかしてあっち系なの?」
身体を隠しながら一歩引く光一を、雄馬は半眼で睨みながら、
「気持ち悪いことぬかすなよ……女に興味があるとかないとかの問題じゃなくて、俺は野球のことしか頭にねーんだよ。さっきまでもずっと悩んでたしな」
「うわあ、こんな野球馬鹿ほんとにいるんだな。スポコン漫画の世界だけだと思ってたぜ」
「おーい席についてー、HR始めるよー」
光一がひいていると、担任の三里先生がやってきた。
生徒達が全員着席したのを確認すると、三里先生はみんなに報告する。
「今日の五時限目は体育館で部活紹介をやるから、昼休みの後忘れないように体育館に集合してね。興味がある部活があったら、今日から体験入学もできるから」
「部活だって~」
「何部に入ろうかな~」
「冬月様が部活をやっていたら、絶対そこに入ってたんだけどなぁ」
なに部にするか女子が楽し気にきゃっきゃ話しているとき、雄馬はふと閃いた。
(部活紹介……これだ!)
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