94話 組分け抽選会
「組分けはいつ行われるんだい?」
ICLのルールの一部を軽く説明してもらって、薫は落ち着きを取り戻して質問した。
「ふふ……今からよ!」
「今ぁ!?」
だから集めたのよ、とマネージャーは言いたげだ。
マネージャーは小型のテレビを持ってきて電源を入れ、リモコンでチャンネルを合わせた。
するとウチの事務所の社長やアップる、12星座シスターズ、トライデントといった錚々たるメンバーが衣装を着て舞台に立ち、抽選券が舞っているやたらレトロな4台の装置の横に立っていた。
『さぁ〜あ! ついに第1回ICLの1次リーグの抽選が始まります! この4つの装置には皆様から見て左からポット1、2、3、4のアイドルの名前が書いてあります。順々に引いていき、組み合わせが決定します!』
テレビで何度も見た有名な司会者が盛り上げかつ説明を行なっている。つまり私たちは左から3番目の装置の中で舞っている紙に名前があるってことだな。
「おいおい、もう決まるのかよ……」
「ずいぶんと駆け足な展開だね。もしかしてマネージャー、私たちの出演はもっと前から決まっていたんじゃないのかい?」
「そうよ? でもこっちの方が面白いでしょう?」
このマネージャーは……!
まぁいいさ。ここまできたらもう見守ることしかできないんだ。せいぜいアップると当たらないように祈っておくよ。
『ではAグループから行きましょう! Aグループポット1は〜?』
謎のドラムロールが流れ、アップるの藤ちゃんが紙舞う球体に手を突っ込んだ。そして掴んだ紙を離さずに手を引っ込める。
『では藤ちゃん、開けちゃってっ!』
『……Aグループ、ポット1。……アップる』
「なっ!?」
いきなりアップるか! 頼む、Aグループだけはやめてくれ!
「ふふ」
「ん? なんか笑ったか? 今」
「いや、なんでも手に取るように明日香の感情がわかるからつい、ね」
なんだよ……ちょっとだけドキッとするだろ、その言葉。
その後クジが引かれてゆき、なんとかAグループにてアップると衝突するという最悪なシナリオは回避できた。
『Cグループポット3……feliz!』
「おっ! 薫、Cグループだってよ!」
「ちゃんと見ているよ。Cか……ポット1はウェザーガールズ。ポット1の中では1番知名度は低いかもね」
「あぁ、でも……」
「もちろん、私たちなんかよりはずっと知名度は高い。厳しい戦いになるのは当然さ」
出るからにはトップアイドルへの足掛かりを作りたい。だから私たちは……ウェザーガールズにも勝つ!
(追記)7/30の更新はお休みさせていただきます。申し訳ありません。




