92話 ICL、始動
連載再開です!
1周年記念ライブを大成功で終えた私たち。
アップるが現地に来てきたこと、藤ちゃんのアナウンスが流れたこと、りんごちゃんのパフォーマンスなど、felizとは関係のないところでバズり、今回のライブは瞬く間に拡散。
人気SNSのTwatterでは私たちのライブの切り抜きに86万いいねが付くなど、大バズりを見せている。
外部的な要因が強い気がするけど……なんだかトップアイドルに一つ、近づけた気がする!
さて、私たちの夏休みも終わりを迎え、秋へと本格的に移り変わりゆくこの時期、私たちはあいも変わらず小会議室に集められた。
実はあのライブから少しのオフがあって、ライブ後に集まるのは初めてだ。だから何を言われるのか楽しみだったりする。
今部屋には私と薫の2人きり。マネージャーを今か今かと待っている状況だ。
「なぁ薫、何の集まりだと思う?」
「さぁ……ただ、いつもより浮き足立ってしまうね。あれだけ話題になると」
そう、そうなんだよ! 今私たちとフルーツパフェは話題沸騰中のアイドル! 事務所としてもアップるに次ぐアイドルにするべく、力を入れてくれるはずなんだ!
「2人ともおはよう〜」
ガチャっとドアを開けたマネージャーの方を一瞬で見つめる。その視線にマネージャーはたじろいだ。
「な、なになに? 何の期待の眼差し?」
「無理もないだろ、こんな話題になっているんだから……いや待てよ。いつもこうして期待して大したことないのが定番だ。薫、一旦落ち着こう」
「明日香に落ち着けと言われる日が来るとはね。そうだね、冷静になろうか」
過度な期待は禁物だ。そんないきなりゴールデン番組に呼ばれるわけでもなかろうに。
「いきなり盛り上がっていきなり萎んで……若さね」
くっ……とマネージャーが何かを悔やんでいる。何なんだ、いったい。
「まぁそれはそれとして、あなた達ICLって聞いたことある?」
「アイシーエル? 聞いたことないな」
「私もないね。何の略語だい?」
「Iはアイドル、Cはチャンピオン、Lはリーグよ」
つまりICLはアイドルチャンピオンリーグってことか。
「大晦日から元旦にかけて、日本一のアイドルを決める祭典、ICLの開催が決まったわよ!」
「おお〜。アップるが出るの、楽しみだな」
「それだけじゃない。別事務所の12星座シスターズやトライデントも出るならどこが一位に輝くか分からないよ」
アップるが出たらアップるだろ、まったく。
「……はぁ、あんた達はもう……」
「なんだ? マネージャーの推しアイドルは出られないのか?」
「出るわよ! あんた達felizがね!」
「え…………」
「「ええっ!?」」