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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
2章 1周年記念ライブ編
88/143

88話 満員御礼!

 トイレからロッカールームへ戻り、ライブの衣装に着替える。

 チラッと横目で薫の胸を見る余裕があるから、思っているより緊張はしていないかもしれない。


「えっ!? 本当ですか? ありがとうございます!」


 マネージャーが珍しく大声で電話をしている。なんだなんだとfelizもフルーツパフェもざわつく。


「どうしたんだい、マネージャー」

「みんな聞いて! 今回のライブ、当日券がすべて売れて44000の満員よ!」

「ま、マジ!? よっしゃー!!」


 厳しいかと思われた44000完売。それをまさかの達成ということでロッカールームは大盛り上がり。

 でも何で突然売れたんだろうか。私が疑問に思うくらいだ。当然のように薫もあごに指を当て、考えこんでいる。


「何かあったのかな? 私たちは特に何もしていないのに……」

「それがね、今回VIPルームにウチの社長と、アップるが来るらしいのよ! まぁ……アップる見たさの人も当然いるでしょうね」


「アップる」というワードがマネージャーから発せられた瞬間、隣でりんごちゃんが微かに震えた気がした。憧れ……なのかな?


「なるほど……少し不本意な形だけど、ポジティブに捉えようか」

「そうよ! むしろ今日ここでアップる以上のパフォーマンスを見せたら、私たち一気にトップアイドルじゃない!」

「おお〜、みかん天才〜」

「わ、私は緊張しちゃうかも。アップるさんの前でライブだなんて……」


 みんなそれぞれの想いを口にする。私個人としては、アップるや社長に見られるのは光栄だ。でも……少しだけ疑問が残る。なんでアップるが私たちのためなんかにわざわざ愛知に足を運んでくれたんだろうか。


「明日香? 顔色が悪いけど大丈夫かい?」

「ん? あ、あぁ。考え事していただけだから大丈夫」

「そうかい? それならいいんだけど……」


 危ない危ない。このまま自分の中の疑問に押しつぶされて、中途半端にライブを迎えるところだった。サンキュー薫。今回は素直に感謝するよ、心の中だけで。


「あ、もう時間! さぁあなた達、行ってきなさい!」

「「「「「はい!!!!!」」」」」


 始まる……私たちの、1周年記念ライブが!

 メインゲートからまず出るのは……私たち、feliz!


「「feliz、ミュージック、スタート!」」


 この瞬間、私たちはまだ知らなかった。

 このライブが後々、伝説のライブとして語り継がれることを。そして、このライブが私たちの夢への、確かなステップアップポイントになることを!

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