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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
2章 1周年記念ライブ編
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86話 ライブ直前

 空っぽの豊田スタジアムを見るのは2回目だ。しかし、前回と違ってピッチに生い茂る新緑の芝は無くなり、代わりに無機質なプラスチック製の板が敷き詰められていた。ライブ仕様、ってことだろう。

 本番の日に向け、まだまだ工事は進んでいる。今は私たちの入場口から伸びる簡易ステージを作っているみたいだな。


 今日は巨大な2つの電光掲示板も光っており、私たちを捉える準備はバッチリといった様子だ。


「すごい大きいね……」

「ふ、ふん! こんなの大したことないんだから!」

「みかん強がってる〜。へいへ〜い」

「…………」


 フルーツパフェの面々は初めての豊田スタジアムに大盛り上がりといった様子だ。りんごちゃんを除く。


「さぁ、まだステージはできていないけど、とりあえずピッチ上でのリハーサル、やるわよ!」

「「「「「「はーい」」」」」」


 ぞろぞろとピッチに降り立って、顔をあげてみる。

 このスタジアムを本拠地とするサッカーチームのために、座席は真っ赤に染まっている。ピッチに立って改めて思ったけど、ここからの景色はまるで赤い壁だ。感じるプレッシャーは、とんでもないものになる。


 そんなプレッシャーから目を背けるように、私たちはリハーサルをそつなくこなした。


 りんごちゃんは、今日も本気を見せようとはしない。このライブで、本気を見せることはないんだろうな……。






 そして中1日を挟み、ついに……1周年記念ライブの日を迎えた。


 トヨタキャッソーホテルで目を覚まし、ちょっとしたVIP気分で朝食を食べる。

 フルーツパフェのみんなも、薫もそこまで緊張しているようには見えない。うん、いい感じな気がするな。


 ライブ直前、本来は選手のロッカールームとなる部屋で私たちは最後のミーティングを始めた。

 段取りの最終確認、動きの微調整、映像とのシンクロ。色んなことを確認して、最高のコンディションでライブを迎える。


「あ、ちょっとトイレ……」

「私も。行ってきます」


 天からのチャンスか、りんごちゃんもトイレに行くみたいだ。

 ちょっと、踏み込んでみようかな。ライブ直前だけど、りんごちゃんが本気を出せるように。

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