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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
2章 1周年記念ライブ編
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85話 ついにスタート

 私たちはレッスンにレッスンを重ねた。

 来る日も来る日も、レッスン室に閉じ込められて。

 今思えばあれはマネージャーたちの対抗手段だったのかもしれない。マネージャーたちにはなぜか甘えたり反抗できちゃうからな、トレーナーと違って。


 そして月日は流れ……ついに1周年記念ライブ、2日前となった。

 私たちは今、新幹線で名古屋に向かっている。


「いやー、なんか湧いてくるものが違うよな。確固たる自信というかさ」

「トレーナーのレッスンでついたのは自信だけじゃないさ。必ず基礎力は上がっている」


 薫の言う通り、確実にステップアップしている。トップアイドルになるために、着実に一歩一歩を踏み出しているんだ。


「マネージャー、チケットの売れ行きはどうだい?」

「今37500枚売れたわ。今日の12時からチケット価格が安くなるから、多分もう少し伸びるとは思うけど……」


 44000がマックスで、今37500か。あとの6500枚が売れるかどうか。もう私たちにできるのは祈ることくらいだな。


「何よ! 満員じゃないわけ?」


 バーンと(無い)胸を張って新幹線で仁王立ちするみかんちゃん。迷惑だから座ってね。


「仕方ないさ、聞いている通り、豊田スタジアムへのアクセスは良いとは言えない。そういう理由で来場を躊躇う人もいるだろうからね」

「そういえば明日香ちゃんと薫さんはスタジアムに行ったんだよね」


 メロンちゃんがあざとくほっぺに指を当てて思い出すように尋ねてきた。


「うん。いいスタジアムだったよ。ただ広すぎて緊張しないか不安だけどな」

「それは今日のリハーサルでなんとかしよう」

「ふふっ、そうだね」


 お気づきの通り、私たちfelizと、みかんちゃんたちフルーツパフェは厳しいレッスンを通じてそこそこ仲良くなれた。

 最初のころの衝突に怯えていた日々を過ごす必要がなくなり、個人的にはめちゃくちゃ安堵している。


 ただ、心残りが一つだけある。それは……今も静かに窓の外を見ているりんごちゃんが、とうとう本気を出すことなくここまで来てしまったことだ。

 何で力を見せることを恐れているのかはわからない。私には納得できない。持っているものがありながら、それを使わないだなんて。


 そんな心残りを抱えつつ、私たちは名古屋に着いた。そこから地下鉄に乗り、豊田市へ。

 さぁやるぞ……私たちの1周年記念ライブ、スタートだ!

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