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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
2章 1周年記念ライブ編
82/143

82話 夢を見つけて

 りんごちゃんの隣で私もダンスのレッスンを始める。

 少なくとも私は8割〜9割の力で踊っている。だというのに、涼しい顔で踊っているりんごちゃんは私のダンスを一回りも二回りも上回っていた。

 重なる……テレビ越しに見る、アップるのダンスに!


「す、すごいね。そんな実力があるならトップアイドルになれるだろうに」


 ここで私はちょっと踏み込んでみることにした。この2日間、なぜりんごちゃんが自分の力を隠しているのかを考えていた。

 でも、結論は出なかった。私がバカすぎるだけなのかもしれないけど。


 確かりんごちゃんはあの時、「自分の力がバレるのを恐れている」的なことを言っていた。バレたら何かあるのかな。よくわかんない。


「トップアイドルに……そうかもしれませんね」


 特に謙遜もなく、りんごちゃんは肯定した。自分の実力が確固たるものである自覚はあるみたいだな。


「なら何でその力を隠したいんだよ。私にはちょっと……理解できない」

「同じですよ」

「へ?」

「私も、明日香さんが理解できません。何でトップアイドルを目指すのか。別にいいじゃないですか、今いるファンと仲間を大事にして、現状維持で」


 現状……維持?

 そんなこと、私には認められない。

 いつかトップアイドルになる。そのために実家を飛び出して東京に来たんだ。そしてアイドルになれた。そこそこの知名度を得た。あと3ステップくらいなんだ。それなら目指すだろ、トップを!


「ダメなんだよそれじゃあ。トップアイドルは私の……夢だから」

「明日香さん……」

「りんごちゃん、りんごちゃんの夢は何? 何のためにりんごちゃんはアイドルになったんだ?」

「私の……夢?」


 考えたこともなかった。といった表情だ。


「……お節介かもしれないけど、私はりんごちゃんに全力でやってもらいたいし、トップを目指して欲しい。そして……夢を見つけて欲しい、かな」


 気がつけばこのレッスン室から、キスをしてしまった二人という雰囲気はどこかへと消え去っていた。

 今この部屋に漂うのは、ひとえにトップを目指す私と、夢を探しているりんごちゃん。


「夢を見つける……ですか」

「うん。このライブで見つけられたらいいと思う。……もうすぐ集合時間だから私はシャワーを浴びて上へ行くよ。じゃ、またすぐ後で」


 カッコつけてシャワー室へ向かう。そして言い放った言葉を振り返って……


「なんて偉そうなんだよ私はーーー!!!」


 なんかちょっと恥ずかしくなるのでした。

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