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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
2章 1周年記念ライブ編
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68話 百合散歩

「じゃあ行こうか……と言いたいところだけど、ここは人通りが多いから手を繋ぐと迷惑だね。もう少し進んだところから手を繋ごうか」

「お、おう」


 久しぶりの手繋ぎデートだってのに、やけに冷静に状況を分析している薫。こっちは一人で緊張してるってのに……。

 一本先の道まで歩いてから、手を繋ぐことにした。


「さぁ、出発しようか」


 手を差し伸べる薫は、まるで白馬の王子様だ。性格は捻くれているけど。

 フルーツパフェとは揉めるのに私とは連携取れるんだな。まぁ……プロ意識の違いな気もするけど。


 手を繋ぐとふと頭によぎるのは昨日のこと。りんごちゃんにキスされた、あの瞬間だった。


「どうしたんだい? 体調が悪いなら……」

「い、いや! 大丈夫だから!」

「そ、そうかい」


 とてつもない罪悪感に襲われた。薫とは別に(今は)付き合っているわけじゃないのに、何でこんな気持ちになるんだ……。

 ええい! こんな気持ちを払うために何かないか、何か!


「あ! い、『いちごホーム』って店があるぞ。いちごに見せたら喜ぶかな? はは……」

「……あぁ、写真でも撮ったらどうだい?」


 しまった! 今の薫にフルーツパフェの話題はタブーだった! なんのためにフルーツパフェと別行動していると思ってるんだよ!


「い、いやいい! そんなことより歩こう。さっきからいくつかの視線を感じるしな」

「気がついていたかい。さすが明日香だね」


 フルーツパフェのおかげか、褒められるハードルが幾分か下がっている気がする。それはそれで複雑だ。

 それにしても変だ。人口密度では金閣や清水寺に負けていないのに、なぜか私たちに声をかけてくる人がいない。feliz黒Tシャツを着てこればわかりやすかったかな……。


 そんな状況に当然気がついている薫が私にこそっと声をかけてきた。


「名古屋の人は奥手なのかな?」

「……マネージャーを見ている限りそうは思えないけど」


 視線は感じる。でもこの視線……どこか棘があるような気がするんだよな。まるで敵を見ているかのような……。


「明日香、お店に入ろう。室内の方が効果があるかもしれない」

「お、おう! でもどこに?」

「マネージャーからの指示で『まんだら〜け』という店に入れとのことさ」


 マネージャーから指示? ……って右耳にイヤホンしてる! それでやり取りしてたのかよ。……あれ? 私は?


 なんか納得のいかないモヤモヤを抱えながらも、私たちはオレンジ色のお店、『まんだら〜け』に入店した。

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