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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
2章 1周年記念ライブ編
53/143

53話 薫の焦り

 ーーーー同時刻、別室ーーーー


 明日香は今、りんごさんと組んでいるんだったか。と、私は静かに思い出す。

 りんごさんはこの合同ライブにおいての懸念事項の一つ。どうにかして明日香には自信をつけさせてもらいたいものだね。


「1つ質問をしてもいいかな?」

「は、はい! 何でしょう?」


 私の向かいの席に座っているメロンさんに声をかける。突然のこと……というつもりはなかったけど、メロンさんにとっては驚くようなことだったようだ。


「君たちが今まで行ってきたライブで、りんごさんやみかんさんはどのように参加していたのかな? 失礼ながら、統率が取れているようには見えないからね」

「えっと……みかんちゃんが突っ走って、それの後に私とイチゴちゃんが何とかついて行って、りんごちゃんはステージの端っこで棒立ち……って感じかな」


 やはりか。メロンさんのこの話が本当なのだとしたら、今度のライブはかなりの問題を孕んでいるということになる。


「色々と手を打たないとまずい……ということだね」

「で、でもみんな一生懸命なんですよ?」

「もちろん。そうでないと困るよ」


 一生懸命になるのは当然だ。その上で私たちのファンが納得してくれるものを提供できるかどうか、それにかかっている。


「そうだ、メロンさんのスマホにライブの動画、残っていたりしないかい?」

「あ、一応ありますけど……」


 そう言ってメロンさんは大きな胸を揺らせながら私にスマホを向けてくる。

 画面に表示されたのはセンターで自分勝手な踊りをするみかんさんと、それをフォローするメロンさん、みかんさんがそう来るなら自分も……と思っているのか、イチゴさんも統率の取れた動きとは言えない。そしてようやく、画面の端にりんごさんが映った。はっきり言って何もしていないね。


 この映像を見て、ポジティブな面を一つ見つけた。それはお客さんが存外に喜んでいることだ。みかんさんのファンも、りんごさんのファンも、それぞれが喜んでいる。


「なるほど、これがある意味でフルーツパフェの武器となっているわけか」

「い、一応みんな喜んでくれているので、私たちとしてはこれでいいのかな……と思っているんですけど、どうですかね?」

「……次のライブは22000人は自分たちの味方だとしても、もう22000はfelizのファンだ。それも喜ばせてくれるライブをしてくれないと困るね」

「そ、そうですよね。ごめんなさい、問題だらけのチームで」


 そう、問題だらけだ。私たちfelizと比べて、万人受けするわけではないようだね。

 今回は合同ライブ。どうにかしてもらわないとこのライブ……失敗もあり得るよ。

 ほんの少し、暗雲がかかった気がした。

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