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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
2章 1周年記念ライブ編
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52話 りんごちゃん

 1周年記念ライブの話が出た次の日、早速6人で動き出す……と思いきや、マネージャーたちが持ってきた作戦はメンバーの仲を深めるというものだった。

 2:2:2に分けて、それぞれの部屋で親睦を深めるというもの。そして今日の私の相手は……


「えっと……よろしく」

「あっ……よろ……し……く……お願い……します」


 ワンフレーズ毎にどんどんと俯いていく後ろ向きガール、華志月りんごちゃんだった。

 仲を深める……何で難しいミッションなんだ。

 この小さな第6会議室に軟禁されて仲良くするという強引な方法で仲良くなれるのだろうか。ちなみに軟禁されてから数分が経ったけど、まだ一度も目が合わない。


「りんごちゃんはさ、何でフルーツパフェでアイドルになろうと思ったの?」


 素朴な疑問を投げかけて仲良くなろうと試みたけど、果たして答えてくれるだろうか。

 りんごちゃんは俯いたまま、口をモゴモゴさせている。きっと答えないと失礼だから頑張ろうとはしてくれているんだろうけど、上手く言葉にできない……ってところかな?


「みかんちゃん……強引……誘って」

「な、なるほど」


 大体推測できた。おそらくみかんちゃんがりんごちゃんを見つけ、メンバーに強制的に入れたのだろう。断ることができないりんごちゃんは流されるがまま、アイドルになってしまったというわけか。


「ほ、本当は分かっているんです。私なんかがアイドルに……なるべきじゃないって。でも辞めるって伝える勇気も湧かないし、何よりみんなに迷惑がかかると思うと……」


 マイナスな言葉には饒舌になったりんごちゃん。その豹変ぶりにびっくりする。


「わ、私はそうは思わないけどなぁ。りんごちゃん可愛いし、自信がつけばきっといいアイドルになれるよ」


 同期同格のくせに少し上から目線で語ってしまった。でも事実、りんごちゃんは可愛い。ルックスで言えばフルーツパフェの中でも群を抜いている。


「…………」


 褒められた時にどんな言葉を返せばいいのかわからないというように、りんごちゃんは再び口を閉ざしてしまった。

 私は直感的にこれはまずいと思う。合同ライブを44000キャパでやるのなら一人一人が声を出して頑張らないといけない。それなのにりんごちゃんがここまで戦力にならないとなると、最悪ライブの失敗もあり得る。


 フルーツパフェのみんなはりんごちゃんをそのままにして1年間を過ごしてきたわけだ。なら……私がやるしかない。りんごちゃんを、どうにかして自信ある子にするんだ!

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