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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
1章 百合営業作戦編
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5話 デート作戦②

 アトラクションが終わった後ゲートから出るとマネージャーがピースしているのが見えた。


「どうやら読み通り、週刊誌の記者たちが集まってきたようだね。何か記事になるものはないかと血眼になっているはずだよ。ほら、もっとイチャイチャしようか」

「……そうだな。どうする?」


 確かにいる。明らかにチュウチュウランドに来るような格好ではない成人男性が何人も。これはチャンスだな。

 でも熱愛報道的な何かをされるためにはもっとカップルらしいことをしないといけない。だって女同士でチュウチュウランドに来るなんて別に普通のことだから。手つなぎでもちょっと熱愛報道には弱いかな。


「そうだね……軽食でも食べようか。小腹も空いた頃だろう?」

「そうだな。行くか」


 少し歩いて薫が選んだのは食べ歩きできるようなワッフルケーキ。このテーマパークの看板キャラクターであるチュウチュウ君の形に焼かれたワッフルでよくネットに写真がアップされる人気メニューだ。それとドリンクにはイチゴミルクを選んだみたい。


 さて私は……と思ってメニューボードを見ているうちに薫に手を引っ張られた。


「えっ、何?」


 私も何か選ぼうと思ったんだけど……。、


「忘れたのかい? 今私たちは恋人なんだよ。だから……はむっ。ほら」

「えっ!」


 まず一口ワッフルを食べてから私に「あーん」ってしてくる薫。いやいやいや! だってこれ間接キス……


「ほら、イチゴミルクも」


 どっちも間接キスじゃん! っとツッコミたくなるところを何とか我慢する。ここで反対したら週刊誌に載ることはできない。

 ドクンドクンと心臓が鳴っているのが聴こえる。くそ、なんで薫なんかにこんなにドキドキしないといけないんだよ。

 ええい、どうにでもなれ!


「あむっ」

「うん、いい食べっぷりだ」


 薫の言う通り、思いっきりかぶりついてやった。これなら間接キスとかそういうのも超越して気にならないでしょ。


「あ、美味しい」


 思わず声が出るほど美味しかった。今までこういうところの食べ物で美味しいなんて思ったことなかったのに。テーマパークの食べ物で納得できる美味しさのものってあったんだ。

 かなり小さい声で呟いたつもりだったけど薫には聴こえていたようで少しニヤニヤしている。


「それは良かった。明日香が喜んでくれて嬉しいよ」


 ニヤニヤしながらワッフル並みに甘い言葉を吐く。何よ、そんなに美味しいって言ったことが面白いのか?

 それにしてもにやけすぎというか、私の顔に何か付いているみたいな笑い方だけど……


「ふふっ。大口で食べ過ぎたね。クリーム、付いているよ」


 スッと指で私の頬を撫でてきた! なんか背筋にゾクッときたんだけど。

 指にクリームを付けさせて悪いなと思ったからポケットからハンカチを取り出そうとした瞬間……


「あむっ」

「うぇっ!?」


 なんと薫は私のほっぺたに付いていたクリームを食べてしまった。う、嘘……そこまでする!? マネージャーが遠くの方で拍手をしているのが見える。なんで……どうしてここまでできるの、薫。


「ふふ。ひと口目より美味しくなっているのは何でかな?」

「し、知らない!」


 何よコイツ! 本当に何なの!? 人の気も知らないで変なことばっかりして!

 でも微かにシャッター音が聴こえてくる。もしかしたら上手く行っているのかも……。


 その後は気を遣われたのか薫は激しくないアトラクションばっかりをチョイスして乗った。私的には助かったけど、何か負けた気分……。

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