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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
2章 1周年記念ライブ編
47/143

47話 継続☆

 自己紹介を終えると、当然のように待ち構えていたのは無言の時間だった。

 ただ一人、みかんちゃんだけはペラペラと話しているけど、他の子たちはみかんちゃんに話しかけられるまで黙っている。


 気まずいな……なんか距離があるというか、なんというか。

 教室では普通に話せるイチゴとも、なぜかこの事務所という空間では話しにくい。小学生のころ、学校では友達の子と、スーパーでたまたま会うとなんとなく気まずい。それとよく似ている気がする。


 そのまま1時間半が経過して、救いのようにマネージャーがドアを開けた。


「仲良くなったかしら……って、何よこの部屋の空気! 重た!」


 マネージャーは部屋に入るや否やすぐに手を仰いでどよんとした空気を払った。


「マネージャー、ほぼほぼ初対面なのに、2時間も放置するのはリスキーだったね。結局、ほとんど話さずに終えてしまったよ」

「え〜! 困るわよもう!」

「アイスブレイクを設けなかったマネージャーたちにも非はあると思うよ。もう少しサポートして欲しいものだね」


 薫は珍しくマネージャーに対してマシンガンのように苦言を言い放った。下手したらマネージャーより頭が回るから、マネージャーも舌を巻くことしかできていない。


「ま、まぁ今日は初顔合わせということで、明日以降また仲良くなる……というのでいかがでしょう?」


 フルーツパフェのマネージャーが仲裁に入る形で声を発した。今日はこれでおしまいかな。


「まぁそうね。急いでも仕方ない……。あ、明日香と薫は残ってね。felizはまだやることがあるから」

「え? いいけど」


 何だろ。と思っているうちにフルーツパフェはぞろぞろと小会議室から出て行った。

 本当に合同ライブなんてできるのかと不安になるけど、とりあえず今は希望を持ってやるしかないな。


「さて、座ってくれる? これから例の件について伝えておくわ」

「例の件?」

「えぇ。百合営業の件よ」


 あぁ……まだやるんだっけ。

 私としては続くのはありがたいけど、私はガチで、薫はビジネスとして続けるのだとするとそれはそれで何か引っかかる。


「このライブ期間中でも百合営業をする、という認識で間違ってないかい?」

「えぇ。ただ、前回ほど露骨にはやらないわ。ライブの方が優先度は高いわけだしね。それを伝えたかったのよ」


 もうちょっとソフトな感じでやるってことでいいのかな? ライブ中に触れ合いを多くする……みたいな。あれ? これ私耐えられるかな。心配になってきた……。


「それともう一つ伝えにきたわ。早速今日から動いてもらいたいんだけどね」

「ふむ……何だい?」


 薫の問いに、マネージャーはわざと間を作るように黙った。そして目を開き、言葉を紡ぐ。


「あなた達には……新曲を作ってもらいたいのよ」

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