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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
1章 百合営業作戦編
27/143

27話 赤点回避

「よっしゃ赤点回避ぃ!」


 明日から夏休みになるという日に私は思いっきり叫んだ。なぜなら期末テストで赤点を取らなかったから。


 もし赤点を取っていたら夏休みの内の1週間は補習になる。貴重な夏休みを補習なんかに使えるか! 結成1周年ライブもあるから絶対に赤点を取るなってマネージャーから口うるさく言われていたけどなんとかなったな。無理せず低偏差値の高校に入って正解だった!


「良かったね〜みやのん。……裏切り者」


 発言の前後の温度差がヤバいイチゴ。そう、イチゴは数学で赤点を取ってしまったらしい。まぁでも勉強できるってキャラじゃないし、アイドル的にはまぁナシでは無いんじゃない? とは本人には言えない。


「ど、どんまい! 冬休み前は頑張ろうな」

「うぅ〜、私の夏休みが〜!」


 それよりアイドル活動に支障が出ないのかが心配なんだけど。フルーツパフェってあんまり活動してないのか?


 まぁ人様のことを言える立場じゃないけど。1週間前にDoTubeにミュージックビデオが投稿されたっきりあまり活動はしていない。私がマネージャーに放課後デートはキツいって言ったせいかもしれないけど。


 ちなみにミュージックビデオの方はファンの中では好評だった。とりわけ最近ファンクラブに入った百合好きの人たちからは大絶賛。百合好きが百合好きを呼び、ファンクラブの加入者はそこそこ増えているらしい。だからこそ放課後デート作戦を無くしてもまぁいっか、ということになったのだろう。

 だから負担は減ったんだけどその代わりに新たな問題が発生した。それは……


「ずいぶん元気な声だね明日香。赤点回避、おめでとう」

「お、おう……」


 薫の接近を感じて目を明後日の方向に向ける。

 そう、新たな問題は私が薫の目を見て話すことができなくなってしまったことだ。これは百合営業的には痛手だろうけどこの1週間はなんとか誤魔化している。でもいつか限界がくるはず。それまでになんとか気持ちに結論を出したいんだけど……。


「薫さんはどうだったの〜?」

「私は全教科満点だったよ。基礎的な問題が多かったね」

「へぇ〜、ぶん殴りたーい」


 煽るつもりはないんだろうけど結果的にイチゴの神経を逆なでしまくっている薫。この2人の相性の悪さはとんでもないレベル。水と油とはよく言ったものだ。


「さて明日香、メッセージを見たかい?」

「へ? 見てないけど……」


 目を合わせずに答える。いつもはバッチリ目を合わせていたから薫からしたら不自然に思うかもしれないな。

 気になったからスマホを取り出してメッセージを開く。あ、マネージャーから来てるじゃん。


<赤点取ってないわよね? 百合営業作戦の目玉企画、お忍び旅行大作戦について伝えるから放課後事務所に来てね>

 ってマジかよ。目も合わせられない状況でお忍び旅行大作戦を? それはヤバいな……。


「なかなか楽しそうだね、明日香」

「そ、そうだな……」


 どうしよう……このままじゃマズい。なんとしても放課後までに気持ちの整理をつけないと!

 ……って思ってたんだけどたかが数時間で整理がつくほど思春期の気持ちは甘いものではなかった。完全に舐めてたわ。これは尾を引く問題になりそうだぞ……。


「明日香、いつまで座っているんだい? 事務所へ行くよ」

「お、おう」

「頑張ってね〜みやのん。よい夏休みを〜」


 ニコニコ笑顔で手を振るイチゴ。目が笑ってないぞ〜。可愛い顔が台無しだよ。まぁでも私も補習になってたらあんな顔になるかもな。

明日から更新を夜にします!

よろしくお願いします!

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