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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
1章 百合営業作戦編
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20話 添い寝決定!?

 ……………………はっ! あまりの衝撃に脳が吹っ飛ぶところだった。危ない危ない。まさか薫がそんな冗談を言うなんてな。


「何を固まっているんだい? 一緒に寝ようよ、明日香」


 冗談じゃなかったのかよ嘘だろ……本気でそんなこと言ってるのか!?


「な、何言ってるんだよ! そんなこと……できるわけないだろ!」


 もちろん私は必死に抵抗する。しかし薫の方は堂々と確信を持ってベットに誘っていた。コイツ、誰でもベットに誘うビッチなのか? それとも熱で頭がおかしくなったのか?


「と、とりあえずこの話は後だ、シャワー借りるぞ!」

「あ、あぁ。ご自由に……」


 なんなんだよ、なんなんだよアイツは! 何であんなに平然と人をベットに誘えるんだよ! ……なんか手馴れていたよな、ベットに誘う薫。まさか何回もこういうことを経験してるのかな……。


 そう思ったとき、なぜか心臓がチクンと痛んだ。針で突かれたような、そんな鋭い痛み。その痛みを流したいからとシャワーの水圧を高める。痛みの水滴が足を伝って流れ落ち、排水溝へ流れゆく。この痛みが溜まったことを薫は知らないだろう。だって……私本人ですらよくわからないのだから。


 シャワーを浴び終え、歯を磨く。その間に気持ちを落ち着かせて状況を私なりに整理した。薫はたぶん熱で頭がやられているだけだ。いつも誰かを誘っているわけではない……はず。今日はもう床で寝るしかないのかな。明日になったら体がバキバキになってそうだけど仕方がない。

 よし、と意を決して洗面所から出る。


「シャワー、ありがとな」

「あぁ。私も歯を磨こうか」


 フラフラのくせして自分の力だけで立とうとする薫。危なっかしいったらありゃしない。見てられないから肩を組んで支えてあげる。


「優しいね、明日香は」

「誰でもこれくらいするだろ」


 フラフラしてる知り合いを目の前にして手を差し出さないとか、そんな人いるわけないと思うんだけど。

 でも薫には特別優しいように感じたらしく何度もありがとうと呟いた。少し不気味だけど悪い気はしない。


 洗面所まで連れて行ったらゆっくりと歯を磨き始めた。芸能人は歯が命。ちゃんと歯の健康も守っていかないとな。そういうプロ意識は熱があっても健在なところはすごい。ちょっもくらい疎かになってもいいような気もするのに。


「さて、帰りも頼むよ、明日香」

「へいへい」


 帰りも肩を貸してやってベットまで連れて行く。なんか看護みたいだな。アイドルで失敗したら看護学校にでも進むか? 案外向いているかもしれないし。

 ベットに薫を乗っけたら床で寝る覚悟を決めた……と思ったらいきなり腕を引っ張られた!


「うおっ!」


 もふっと柔らかな触り心地を全身に感じた。薫が私をベットに引き込んだんだ! そう理解した瞬間から冷や汗が止まらない。なんか怖いもん!


「悲鳴がアイドルらしくないよ明日香。もう少し可愛い声をあげないとね」

「そこじゃねぇ! 何すんだよ!」


 普通に危ない行為だし。ただからかいたかったとかくだらない理由だったら治った後にパンチしてやる。

 私を優しく受け止めた薫は私の怒りもよそに寝かしつけてきた。熱のせいか私にかかる力はとんでもなく弱っちいもの。抵抗すればまったくピクリともせずに跳ね返せるくらいの力だ。


「何してんの? マジで意味わからないんだけど」

「なんだか床で寝るとか言いかねない雰囲気を感じたからね。尽くしてくれた客人を床で寝させるわけにはいかないだろう?」


 そういうことか。薫なりの隣で寝ろっていう訴えだったのかよ。それにしてはずいぶんと不器用な訴え方だな……。


「床で寝るのは嫌だけど薫の隣ってわけにもいかないだろ」

「なぜだい? 私たちはチームだろう?」


 くっ……さっき私が使ったワードを使って否定しにくい空気にしやがって。やっぱり舌戦で薫を相手にしたら勝ち目はないか。


「でも……いいのか?」

「もちろんだとも。ほら、横に」


 ポンポンとベットを軽く叩く薫。マジか……もうこの流れを覆すことは私にはできない。あぁもうどうにでもなれ! 添い寝だ!

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