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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
1章 百合営業作戦編
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14話 お見舞い大作戦①

 ちょうど時間的にはお昼時。もうやることもないだろうし、そろそろ解散かな? 事務所の社食でお昼ご飯食べて行こうかな。


「んじゃお疲れ〜」

「ん? どこに行くの?」


 マネージャーから呼び止められる。何だろう……なんかちょーっとだけ嫌な予感がするぞ気のせいだよなきっと。


「どこって嫌だな〜、帰るんだよ」

「何言ってるのよ。今から百合営業、するのよ?」


 うわ出たよやっぱりロクなこと言わない気がしてたんだよな。なんかそんな雰囲気出してたもん。でも今日はそう上手くいかないぞマネージャー。なぜなら……


「いや、薫がいないじゃん」


 そう、肝心の薫がいないからな。相方がいなかったら百合なんて務まらないだろ? というわけで帰宅を……


「ちょ、待ちなさいって。いつからそんな帰りたがりになったのよ……。薫には悪いけどこれはチャンスなのよ?」

「……何のチャンス?」


 聞き返したら待ってましたと言わんばかりにメガネの縁を光らせたマネージャー。薫なしでどうやって百合営業しろと?


「ズバリ、緊急ミッション、お見舞い大作戦よ!」


 そ、そうきたか〜! 確かに病人である薫にとって今1番助かるであろうお見舞いは百合営業にはもってこい。


 しかも通常プログラムに「イチャイチャお家訪問大作戦」ってのがあったからそれもクリアできる。薫が風邪をひいたのは百合営業的にはプラスに働くのかよチクショウ!


「うえー……薫の家に行くの? 今から?」

「そうよ。それだけじゃなくお粥を作ってあげたり看病もするの。それをfelizの公式ブログに上げるわ」

「それなら今までのチュウチュウランドデートとか放課後デートとか、わざわざ週刊誌やらファンやらの目にとまるところでやらなくても良かったんじゃないの?」


 そうしたら目立つところでやらずに済んで恥ずかしさとかも幾分かマシになっただろうに。何でいまさら公式ブログが出てくるのさ。


「バカねぇ、公式ブログは既存のファンが見るもの。だから新規ファンは呼び込めないでしょ? 今まで頑張った百合営業で呼び込めた新しいファンを逃がさないようにするためにこの『イチャイチャお家訪問大作戦』は存在しているのよ? 家の中まで週刊誌の記者やファンを入れるわけにはいかないしね」


 な、なるほど……お偉いさん達が飲みの席で決めた割にはしっかりと作り込まれているんだな。まぁさすが超トップアイドルのアップるを輩出した事務所のお偉いさん達なだけはあるわけか。


 もうこれはどうしようもないな。私の負け。薫の家に行くしかなさそうだ。昔ふと気になって聞いたけど私と同じで上京してきて一人暮らしだったはず。じゃあお見舞いに行くのにいちいち気を遣ったりしなくて良さそうだな。


 というわけで私とマネージャーの2人で電車に乗り移動。降りたらすぐにスーパーに向かいある程度の食材といい感じに風邪に効きそうなものを買っていく。


「そういえば明日香って料理できるの?」

「まぁ……人並み程度ならできるかな」


 本当に人並み。1年近くの一人暮らしで培った料理スキルしか持っていないから最低限食べられる料理は作れますよ〜くらいのレベル。ハードルは上げないで欲しいかな。


「そ、そう。ならよかった〜」


 ちょっと焦っているようなマネージャー。もしかしてこの人……


「もしかしてマネージャーって料理苦手だったりするの?」

「うっ……そこに気がつくとはやるわね、明日香」


 えぇ……それ私も料理苦手だったらどうする気だったんだよ。病人の薫に食えないもの食べさせる気だったのか?


 訝しむ視線をマネージャーに送っていたら露骨に視線を逸らされた。こ、これはダメな大人ってやつだ!

 マネージャーに案内されて薫の家に到着する。ふぅん、どこにでもありそうな普通のアパートって感じだな。


「ってか薫に行くって言ってあるのか?」

「あ、忘れてた!」


 まったくこの人は……。別にいいマネージャーだとは思うんだけど時折「ん?」って思うような時があるんだよな。


「まぁまぁ、薫なら許してくれるわよ、きっと」


 まぁ怒りはしないだろうけど。苦言は言われるんだろうなぁきっと。

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