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犬猿アイドル百合営業中  作者: 三色ライト
1章 百合営業作戦編
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13話 成果発表

「まぁ冗談は置いておいて、とりあえず1週間の成果だけ伝えちゃうわね」


 そう言ってマネージャーはたくさんの雑誌を会議用のでっかい机に並べ始めた。言うまでもなく主に芸能スクープを報じる週刊誌が多い。

 もう百合営業を始めてから1週間が経つんだな。時の流れってものは早すぎるだろ。疲れる1週間だったけどここで効果が実感できたら嬉しいな。


「じゃあメインから行っちゃいましょうか。昨日発売された[週刊スーパーフライ]から見ていくわよ」


 なっ……! 本当にメインのメインじゃねぇか! 昔からアイドルを追いかけてきた週刊誌でスクープされたアイドルは数知れず。

 日本一の芸能スクープ誌と言っても過言じゃない[週刊スーパーフライ]に載ったらえらいことだぞ? あ、表紙のグラビア、アップるの藤ちゃんだ。可愛い〜。


 ……って違う違う、藤ちゃんは可愛いのは周知の事実。今は私たちの記事が載っているかどうかだ。


「マネージャーはもう中読んだの?」

「えぇ。8ページ、読んでみなさい」


 8ページ……ごくり、緊張してきたな。ただ週刊誌を読むだけなのに……。いや、まだまだ週刊誌はたくさんあるんだ。初めからこんなでどうする!


 勢いよくページをめくり8ページへ。そこには恒例企画となっているのだろう、[週刊アイドル情報]というコーナーが載っていた。

 なになに……トップニュースは[藤ちゃん、猫を飼う。]。へぇ〜そうなんだ。猫も藤ちゃんも可愛い〜♡


 ってそうじゃないって! 今は私たちの記事を探さないと。felizの記事はどこに載ってるんだ? ……あれ?


「載ってないじゃん!」


 読んで損した……とまでは言わない。藤ちゃん可愛かったし。でも今はそうじゃないだろ! なんでこれを読ましたんだ?


「明日香、教科書とかも読むの苦手でしょ。ちゃんと載ってるわよ」

「はぁ〜?」


 どこだよ、felizのフェの字もないじゃないか。……ん? 猫と遊ぶ藤ちゃんの写真の左下に欄外情報コーナーってのがあるぞ。嫌な予感がしてきたけどもしかして!


「あー! あった、載ってる! けど小さすぎだろ!」


 欄外コーナーのさらに1番下にちょろっとだけ書いてあるfelizの文字。よく見つけたな、マネージャー。


「felizはアップる達に比べたらそんなものってことよ。むしろ[週刊スーパーフライ]に載ったことを誇りに思うべきなのかもね」


 むぅ……しかも[中堅アイドルfeliz、メンバー同士で熱愛か?]っていう文字だけで写真も何も載ってないし。何なんだよちくしょう。あんなに頑張ってチュウチュウランドでイチャイチャしたってのに。からかわれ損かよ。


「まぁそんなに落ち込まないの。大手じゃなくて、他の中堅週刊誌にはそこそこ大きく載ってるわよ? ほら、[週刊シルバー]には写真付きよ?」


 本当だ。これは……私のほっぺたに付いたクリームを薫が指で舐めているところか。なんか熱愛報道にプラスしてエロ目的でも載せている気がするんだけど気のせいか? ぶっちゃけこの写真ちょっとエッチいぞ……。


「あとは[週刊ブロンズ]とかね」


 なんかどんどん週刊誌の格も落ちていっているような……。私たちのことが載るような雑誌はこれくらいのラインが今は限界ってことか。

 お、フルーツパフェの記事もあるじゃん。イチゴは載ってないけど。なになに……[朗報]おっぱいキャラのメロンちゃん、おっぱいがすごい!

 ……って週刊誌の格が下がった分記事の内容も下衆になっていくシステムなのか? ひどいぞこれは。ネットのまとめ記事と変わらないじゃん。むしろお金取る分それ以下かも……。


「……明日香、ライバルの記事を見るのはいいけどおっぱい見すぎ」


 うっ、ついついメロンちゃんのダイナマイトボディが目に留まっちゃう。これだけわかりやすい武器があると強いよね。頑張れ、イチゴ。

 結局私たちの記事が確認できたのは大手週刊誌で超小さく載っていたのが2つと中堅の週刊誌で6つ。それから始めて名前を聞いたような名も知れぬ雑誌に3つか。


「で、どうなの? ファンクラブの数とかは増えたわけ?」


 週刊誌に取り上げられるというのはあくまでファンを増やすための中間地点の目標であって最終目的地ではない。結局はどれだけ週刊誌に取り上げられようとファンが増えないと意味がないのだ。


「う〜ん、増えたといえば増えたわね。先週と比べて40人プラスよ」


 う〜ん……こんなこと言ったら新しくファンクラブに入ってくれた人たちに悪いけど、言ってしまえば微妙な数だな。最低でも3ケタくらいは一気に行くと思ってたのに。中堅アイドルが夢を見るには甘かったか……。

 その現実を伝えたマネージャーがメガネをクイっとあげる。げっ、なんかロクでもないことを言いそうな予感……。


「と、いうわけで百合営業続行よ」

「ですよね〜……」


 もう分かりきってたさそれくらい。私たち中堅アイドルが始めた計画ですぐに結果が出て終われるくらい楽な業界ではないってことくらいな。


 ただ百合営業続行という6文字が頭の中でぐるぐると回る。流石に放課後デートを毎日やるのはもうやめたいぞ……。体力の持っていかれ方が半端じゃないからな。あとでそれとなくマネージャーに伝えておこう。

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