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128話 キスの行方は

 霧島さんからのまさかのキス指名は流石に私を凍りつかせた。

 何で? 何で私? 普通にリキュールレディのメンバー繋がりで伊佐美さんとキスするものだと思ったけど予想を裏切ってきた!


「えっと……なぜに私を?」


 一応公式設定上、私には彼女(薫)がいるんだけど。そういうのを気にしない人なのか、それとも酒でバグっているのか、はたまた私たちの百合営業なんて知らないのか……。


「そりゃあお前の唇がプルンプルン⤴︎してるからなぁ!」


 あ、これ酔ってバグってるパターンのやつだ。

 霧島さんは確実にぐるんぐるんとした視界で私を見つめている事だろう。だって目が合ったり合わなかったりまちまちだし。

 どうしようと助けを求めるように薫の方を見ると、何やら不機嫌そうな顔だ。え? 私1人の力で切り抜けろ的なそういうやつ?


 伊佐美さんの方を見ても「頑張ってね〜」みたいな顔だ。この人も酔っている。優しい優しい伊佐美お姉さんはとうの昔にどこかへ行ってしまった。私たちの前にいるのは元ヤン酔いどれ霧島さんとただの酔いどれ伊佐美さんだけだ。


「ほれ、あんまり視聴者を焦らすんじゃねぇよ。キスくらいなんだぁ! アタシは人生でシラフでした事ねぇけどお前たちは散々チュッチュしてんだろうが!?」

「し、してませんけど!?」


 何その偏見! 散々はしてない。まぁ……2回はしてるけど。

 なんかヒックヒックと泣き出してしまった霧島さん。情緒が不安定すぎる。


「はいもう待てませーん。キスしまーす」


 そう言って霧島さんがチューの口で迫ってきた! これはまずい! キス不可避な状況だ。これはfeliz的にはどうなのだろうか。霧島さんとキスして、またバズることに賭けるのか拒否して薫との絆で売っていくのか。どちらがいいのだろうか。

 無い頭をフル回転させて考える。でも結局考えがまとまることなく霧島さんはもう目の前にまで迫ってきていた。


 あ……ダメだ。私はここでキスされるんだ。

 そう覚悟をして目をつぶった。




 …………………ん? キス、されないぞ? と思って目を開けると、なんと霧島さんの襟を掴んで薫が強引に自分の唇へ霧島さんを誘導していた。


「な、何すんだ!」


 突き放した霧島さん。それに対して薫は氷よりも冷たい視線で霧島さんを一瞥する。


「ごめんなさい。ただ、明日香は私の大切な彼女です。あなたのキスで汚されるのは本意では無い」


 ピシッとガラスにヒビが入ったのがわかる。しかしその空気も……


「オロロロロロロッッ」


 唐突な伊佐美さんの嘔吐により全部流されたのだった。

 こうして、カオスなコラボ生配信に幕が下ろされた。なんだか後味が悪いままに。

明日の更新はお休みさせていただきます。


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