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105話 明日香は癒し

「ふはっはっ! 面白い!」


 薫の宣戦布告により凍りつく場……と、思いきや紅玉姫は高らかに笑ってみせた。


「聞いたか? このfelizの泉薫とやらは妾たちに宣戦布告をしたらしい。加えて推しは自分自身だと豪語する。こんなに面白いアイドルが今までにいたかえ?」


 どうやら薫は紅玉姫のツボにハマったようだ。


「そういう言葉はまずウェザーガールズに勝ってから言ってね」


 詩奈乃ちゃんはにこやかに薫に告げるけど、その奥にはなんだか怖い表情が眠っているような気がした。

 藤ちゃんや林ちゃんも例外ではない。薫から受けた宣戦布告をよく思ってはいないらしい。まぁ……そりゃそうなんだけど。


「薫ちゃんとの話は小難しいアル。明日香ちゃんと話したいネ」

「えっ!? えっと……私は薫みたいに話せないですよ?」

「それがいいんだヨ。オフの時くらい楽しい話したいネ」


 楽しい話……楽しい話……ってなんだ!? 哲学的なグルグルにはまりそうになる。アップると楽しい話をするというハードルの高さがやばい。

 藤ちゃんや林ちゃん、詩奈乃ちゃんに紅玉姫。さらには薫まで私のおもしろ話を期待してガン見してくる。えっと……えっと……!


「わ、私実はアップるさんのCD全部3枚ずつ持ってます! だからサインください!」


 言ってから気がついた。意味わかんねぇと。

 3枚持ってるからサイン書いてください? 「だから」の使い方が間違いすぎてる!

 それにオフの時くらい楽しい話をしたいって言ってたのに結局アイドルとしての話にしてしまった。自分の無力を痛感してしまう……。


「あっはは☆。明日香ちゃん最高ネ〜」

「なんかもう全部吹っ飛んじゃった。サイン欲しいなら書いてあげるよ?」

「まごころなんて込めてあげないんだからね!」

「妾のサインは高いぞ?」


 あっ……なんか書いてくれる雰囲気だ。テキトーに言ってみたけどなんか得したな。


「じゃ、じゃあお願いします」


 私は白いモバイルバッテリーをアップるに渡した。するとにこやかに談笑しながらアップるがサインを書いてくれている。

 アップるはこう……素で仲がいいよな。百合営業している私たちとは違って、いつか普通にアップる内でカップルが誕生しそう。


 そうなったりしたら私はもう……倒れるんだろうな。もちろんいい意味で。

 この日もらったサイン入りモバイルバッテリーは宮野家の家宝になったという。

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