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103話 会食!

「お疲れ様〜。ナイス飲み合いっこだったわよ」


 どこかで監視していたのか、マネージャーが私たちを拍手で迎えてくれた。

 百合営業が終わり、くたくたになってホテルに帰ってきた。すぐにでも夜ご飯を食べてお風呂に入って寝たい。……のだが、マネージャー曰く、これからまだ用事があるそうな。

 だから私たちは今マネージャーについて行く形で歩いている。


「ほら、この部屋よ」


 ようやく止まったと思ったら最上階、それもスイートルームって書いてある。なに? 国賓にでも会うの?


 混乱する私に構う容赦もなく扉が開かれる。その瞬間部屋の中から光が漏れ出してきたように感じた。


「な、なんだ!?」

「落ち着いて明日香。気のせいだよ」

「えっ?」


 ゆっくり目を開けて確認すると、部屋の中にいたのは……


「あ、アップる!?」


 そう、なぜか今日一緒の新幹線で大阪入りしたアップるだった。


「マネージャー、今からやることって……」

「えぇ、アップると会食してもらうわ」

「oh……my god」


 立ちくらみがして倒れそうだ。推しと会食? 何そのボーナスステージ。


「felizちゃん早く〜」


 詩奈乃ちゃんの優しい呼びかけが耳をくすぐった。いるんだ、この中にアップるが……。


「もうこうなったら仕方ないね。行くよ、明日香」

「お、おう!」


 もうどうにでもなれだ。どうせICL決勝に進出したらアップると共演する。なら今のうちに耐性をつけておかないとな。


「何をモタモタとしていたの? 心配……はしてないけど! してないけど!」

「心配すぎてソワソワしてたネー」

「りん! 変なこと言わない!」


 仲良いかよ尊い。

 ってそんなオタクマインドになっている場合じゃなかった。私もアイドル、同等……はおこがましいけど、一応同じ職なんだ、胸を張っていくぞ! 胸ないけど!


「妾と同じ夕食につけることを誇りに思うと良いぞfelizとやら」

「ど、どうも……」


 紅玉姫だけはあんまり私たちを認めてくれている感じがしないな……。まぁ仕方のないことというか、むしろ4人中3人が歓迎してくれていること自体あり得ない幸運なんだけど。


 ようやく椅子に座ってみると、ズラリと並ぶはご馳走、ご馳走、ご馳走だった。……こんなに待遇違うの? まじ?


「好きなものを好きなだけ食べるといい。では私と花守は出て行くから、あとはお前たちで好きにしろ」

「ハーイ! お疲れ様ネ」

「「お疲れ様でした」」

「ご苦労じゃったな」


 マネージャーはグッと私たちに親指を立てて出ていった。何となくだが、『お前らトップアイドルのアップる様と飯食べられるんだから少しくらい吸収するか気に入ってもらえるようにしろよ』っていうメッセージがこもっていた気がする。


「ではみんな手を合わせてね。いただきます」

「い、いただきます」


 飯が喉を通るのか。今はそれだけが心配ごとだった。

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