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一時帰還

 レイドアと接近部隊の混戦はしばらくの間続いていた。

 あれからレイドアは後方からの攻撃を確認すると、その巨体を後方に向けてブレスを放とうとしたが、それを契機にハリスが一度レイドアに攻撃をかけてからはターゲットをハリスに固定しており、彼の接近を阻止するためにブレスを放っている。

 彼が持つ神器が自身に致命傷を負わせるものであることを身をもって知ったからであろう。

 一方他の戦士たちはレイドアに取りつき、その体をよじ登り間接等に剣をさすことを試みるもその硬い皮膚に弾かれ有効なダメージを与えられていない状況であった。

 レイドアは動きが鈍いがその巨体を利用した衝突や尻尾を振って叩かれるだけでも人間にとっては大ダメージとなる。

 泥仕合であった。

 一時間は立ったであろうか、戦士たちに疲労が見え始めた。

 この流れの中でラルアハは赤旗と青旗をクロスさせた。

 撤退時間の合図だ。

 この日に得たものは、ハリスにターゲットを集中させれば他の戦士はレイドアに接敵できた、ということくらいであろうか、その代わりに攻撃力が大幅に落ちること、ブレス防御用にトクル消費が激しい事もあり、継戦の観点からは最善策とは言えなさそうだ。

 そして日も暮れる。

 拠点への帰還だ。


「ハリス、お前がレイドアを引き付けているなら逆に俺の神器でアイツを切れるか試してみたいのだが」

「そうだな、今のところ普通の対竜武器の効果では心もとないな、必要トクル10,000以上の神器の力は少しでも欲しい」


 ラルアハの所持トクル量は67,000前後となっていた。

 この戦闘で5,000以上のトクルを消費したのであった。


――


 ハリス達が拠点へ帰還すると衛生管理を兼務しているシスターたちが真っ先に負傷兵の受け入れに出向いた。

 決起集会を行った会場では大規模な炊き出しが行われており、そこから良い匂いが漂ってくる。

 先に弓兵部隊がそこで祝杯をあげていた。

 疲労の蓄積した接近部隊とは対照的だ。


「はは……やれやれ、まいったな、こんな形で弓兵と明暗が分かれたとは」


 ハリスは苦笑いをした。

 それを見たラルアハも同じ顔をした。


「父上! 無事だったのですね」


 ラルアハを確認したイムルが駆け寄ってくる。


「お、イムルじゃないか、お前の方はお手柄だったみたいだな」

「いえ、私の力ではなく、クラリエ殿やフォーア殿の力です……それよりも、レイドアの力が凄まじかったと聞きました、皆は無事なのですか?」

「いや……アルゼルートも被害を被ったよ……、ドゼア、メゼアがやつのブレスに飲まれた……」

「そ……そんな……」


 イムルはラルアハからもう少し状況を聞き出したかったが、ハリスの存在に気づき、姿勢を正した。


「大変失礼しました、ハリス様、私はアルゼルート第一公子のイムルと申します」


 ハリスに対してエヌトルフォ王都流の敬礼を行った。


「イムル君、大丈夫だよ、それに君はまだ学生の身分だろ、別に王都の風習に倣う必要もない、ラルアハから君らの事はよく聞いているよ」

「光栄です」

「それより君たちは食事中ではないのか? 戦士は食べることも仕事の内だぞ」

「はい、もう頂きました、それより負傷兵の方々の回復のために薬を手配したいのです」

「薬?」

「はい、クラリエ殿が開発したぬり薬です、外傷に塗ることでその回復力を極限まで高めることが可能です」

「ああ、クラリエ殿は元々薬学が専門でしたな、……戦場で大きな戦果を出しているため忘れていたよ」

「はい、では一刻でも早くこの薬を届けたいので、失礼します!」


 イムルは走ってその場を離れていった。


「まったく、なんていう子供たちなんだ……」

「私にもわかりません……」


 十分な戦果をあげられず帰還したハリスとラルアハであったが、戦果をあげたイムルが自身の部隊のために走り去る姿を見て、2人は複雑な心境であった。


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