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最強の盾

「赤い旗と青い旗ねぇ……」


 ラルアハは剣の代わりに振るように手渡された旗を見た。

 ヘヴンリアの州旗は赤……というよりは橙という方が近いが、赤い旗として手渡された。

 一方青い旗はティアラの州旗だ、こちらは青い。


「何が悲しくて他州の州旗をふらにゃならんのだ」

「ははは……まぁいいから飛んで見ろ、そしてヘヴンリアの旗を振るのだ」


 ハリスが茶化した。

 ラルアハはしぶしぶ、予行練習ということで跳躍し、最高高度地点で厄災の向いている方角を確認すると旗を振ってみた。

 

 おお~~。


 何故かそれを見ている戦士たちから歓声があがる。

 洗練されたアルゼルート剣術士によって上空で振られる旗は何とも壮観な眺めであった。

 着地したラルアハは自身の部隊に練習するように指示を出すと難色を示した。


「これは、剣よりはるかに振りにくい分、少し練習がいるぞ……」

「いや、なかなか様になっていたぞ、どうだ、この戦場が終わったら私専属の旗手にしてやっても良いぞ」

「冗談きついぜ……」


 一時のブレイクタイムを経て、接近部隊は2度目の竜戦を迎えようとしていた。


――


 隊を2分したハリスは自らがいる部隊を先に突入させ、レイドアの向きを自身に固定させようとした。

 まず、魔術師団の防御陣で竜のブレスをはじけるかどうかの確認を自身で行うためだ。

 ハリスの部隊のみで態と厄災の向く逆の方向、東から周辺の地竜の討伐を行い、ターゲットが部隊の方向を向いたことを確認できたら防御陣展開を行う算段だ。

 作戦の運用が効果的かの確認を兼ねている。

 厄災がハリスの方向を向かなければそのまま突っ込む予定だ。


 ハリスの部隊も3名の死者が出ている。

 しかしながら、部隊は流れる様な捌きで地竜を対処している。

 流石はヘヴンリア一の部隊である。

 動きが洗練されている。

 

 アルゼルート部隊は地竜群の外周、敵の射程ギリギリに展開し、得意とするジャンプで戦況を確認した。

 ハリスが上空を見ると、常に誰かが旗を振っている状態が確認できた。

 情報伝達手段としては上々である。

 振られている旗は赤(西向き)まだ厄災はこちらを向いていない。


 開戦後5分。

 取り巻きの地竜はハリスの部隊目掛けて集合し、厄災本体への侵攻を阻止している。

 上空をみると、旗の色が青に変わり始めた。

 つまり竜が方向転換を開始し始めたということだ。

 ハリスは後退をはじめ、魔術師団に防御展開の指示を出した。

 囮団で使用する厄災用大盾をハリスの部隊で構え、魔術師団の防御陣を展開する。


「ハリス! そろそろ来るぞ!」


 ラルアハは叫んだ。

 その後ターゲットとならないよう、そのエリアから離脱した。


 ゴゴゴゴゴゴ……

 

 轟音と共に高熱のブレスが発動された。

 それは取り巻きの地竜を巻き込みながら防御陣が展開された大盾に衝突した。


 ギュアアアアアアアア――――――


 凄まじい音と火花が散り、図太い熱線が盾に弾かれ空中へと軌道を変えている。

 ハリスは自身のトクルを惜しげもなく魔術師へ供給し、防御陣の出力をより高めている。

 恐らく現時点でこの世界における最強の盾であろう。

 彼の顔は冷静にブレスの終わりを測っていた。


 フシュウ……


 ブレスが終わると、目の前で厄災が大きく開けた口を閉じようとしていたことを確認できた。

 今ここを突っ切れば厄災に届くかもしれない。

 そんな期待もあったが、防御陣展開の反動ですぐに動くことは難しかった。

 その代わりだ、といいたげにハリスは叫んだ。


「全軍突撃だぁ!」


 ドドドドドド……


 西側に待機していた戦士たちが一斉に進軍を開始した。

 東側に地竜を集中した分、西側の地竜の数が減っている。

 時間差攻撃としたことが功を奏したようだ。

 西側の侵攻が早い。

 ラルアハ達も負けじと旗を振り続けた。


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