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神界のディナータイム

 神界。

 浮遊するテーブル上の水晶に映し出されるエヌトルフォのビジョンをイムスとライコが見守っていた。


「ふふ……ついにやったぞ」

「はぁ、やっと来ましたね」


 偶然にも覚醒前にセウィラヴィを訪れた国崎イムルを見て、神と天使はひと段落ついた事にほっとした。


「これで……世界を滅ぼすためのスキル覚醒を促せるというもの、計画はまた一歩前進したのだよ、セウィラヴィの占い師は私の仮想転生体じゃ、こいつが効率的にイムルを導くじゃろう」

「はぁ、でもこの子まだ覚醒してないですよね、スキルをやっぱり世界平和に使っちゃうんじゃないですかー?」


 ライコはどこか投げやりだ。


「なんじゃ、ここからが良いところなのに、乗ってこないのう」

「だってですよ、このイムルちゃんさぁ、ちっちゃいころは可愛かったけど……」

「ふむ」

「……学生になってから割とクズ男じゃないですか? アコちゃんのことを忘れて女の子ばっかり見て、頭の中は口説くことしか考えてないじゃない」

「ふむ、まぁ」

「最低」

「ふむ、まぁ、最低の方がよいじゃろ」

「えー何で? あーイムス様はイムル君に口説かれたら落ちちゃうタイプ? うふふ、男に免疫なさそうですもんね~、イムス様は」

「何の話をしとるのじゃ、どうせ世界を滅ぼすんだから最低なくらいがちょうどよいじゃろ」

「あ、そっちの話?」

「そっちもなにも、こっちがメインじゃろ!!」

「女の子口説くスキルで世界が滅ぼせますかね」

「そりゃあ……役に立つじゃろ……」

「え? どんな? 具体的に教えてくださいよ」

「例えば、ほら、このクラリエだ、こやつが現王子と婚約して子供を作ってみろ、それこそこの世界がもっと盤石になってしまう、そこをイムルが手を出して傷物にしてだな……」

「傷物って……」

「不味いか?」

「イムル君はどっちかっていうとサクラちゃんにご執心のようですが……」

「ああ、もういい! ごはんだ! ごはんの時間だ!」

「ハイハイ、分かりましたよー」


 未だイムルが覚醒していないこともあり、ライコにその点を盾に否定されるだけだということに気づいたイムスは話題を変えることにした。


(この〇音痴神め)


 ライコは心の中でつぶやいた。


「おい、今何か伏字で思考しなかったか?」

「伏字!? 分かるの!?」


――


「なんじゃこれは」

「カレーうどんです」


 イムスは目を見開いた。

 見渡す限り地平線の神界の空間にカレーうどんがシュールに湯気をあげている。


「カレーに……うどんとな!? こ、これは、合わないわけが無いではないか!!!」

「です」

「早速食せねば! ……と、これは麺類であったな」

「はい」

「以前ミートソーススパゲティなるものを食した時ソースが跳ねてしまってのう……まだ、その時のシミが羽衣から抜けんのじゃ……気を付けて食わねばのう」


(チッ……)


「うん? 今心の中で舌打ちしなかったか?」

「え?いいえ? 窒素酸化物に関して考えていました」

「それがどうかしたのか」

「人体に影響を及ぼす窒素酸化物の抑制を人類自身で制御できるのかと……」

「食事中にそんな話は聞きたくないわ、じゃあ食そうかの」


(フッ……)


「うん? 今心の中で笑わなかったなか?」

「フッ化水素です」

「また余計なことを考えておるのか、それよりお主は食わんのか?」

「私は頂きましたので……」

「ああ、もう我慢ならん」


10分後


(こ……これは……予想以上!! と、飛び散りすぎ!!! うひゃひゃひゃひゃ)


 案の定イムスの白いベールにカレーがびっちびっちに飛び散っていた。


「おい……貴様……!わしを笑ろうたな……」

「ひゃい!」


「どりゃああああああ!!!!」


 イムスはテーブルをひっくり返した。

 カレーうどんの丼がライコぶつかり、残りの汁がかかった。


「はーーーーーっはあっはぁ~~~~! 良かったではないか! そなたの一張羅もわしと同じ色に染まったのう、ははっはは~~」


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ これ先日クリーニングに出したばっかりなんですよ何さらしとるんですか!?」


「神を笑った神罰じゃ、ドアホ!」


「私はね! 心の中で笑ったんです! 何もイムス様を指さして大爆笑したわけではないでしょう! それに! 神がドアホなんて言葉使っていいのですか!? 神格がさがりますよ!」

「わしは良いんじゃドアホぉ! 汚い言葉を使わなくても万年天使の貴様には分からんだろうがの、この世界滅ぼしてみろってんじゃドアホ!」


「はい、コレで神格が3ポイント下がりました~~~」


「何度でも言ってやるわドアホ! ドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホドアホド……ゲフンゲフンッ……はぁはぁ」


「はぁいこれで33ポイントダウーン、イムス様~アウトぉ~~~」


「きぃいいいいいい」


イムスとライコは今日も仲良しなのであった。


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