こっちの世界
その日、ささやかな食事会が行われた。
レオンハルトの後輩たちは自分からレオンハルトの隣に来た。
「レオンハルトさん、本当にお疲れさまでした」
「今度の戦いでより一層貴方への尊敬が上がりました」
しかしレオンハルトにはお世辞に聞こえた。
「おいおいわざとらしいな! お前らが悪口言ってたの聞こえてたんだぞ!」
「げっ!」
「何がげっだよ」
しかし後輩たちは急に真面目になった。
「いえ、冗談でも何でもなく真面目に言いますが、今は本当にレオンハルトさんを尊敬してます」
「正直言いますと、ちょっと真面目過ぎる人だと言う意識がありました。でも今は真面目なレオンハルトさんを尊敬してます」
「あ、ああ、嬉しいよ」
「本当ですよ」
レオンハルトは肩の力を抜いた。
「まあ俺も融通効かないから、柔らかくなろうとは前から思ってるんだけどな」
宝児はミランディと話していた。
「ミランディさんの新しい技も『水の極意』と言うんですよね。僕の特技も水泳な上水の聖霊も宿ってるから水つながりで相性が合うかなーなんて」
シギアは呆れた。
「どういう強引な結びつけ方だよ」
クリウはアレーナと話した。
「アレーナは里帰りとかしないの」
「うん、一人前になるまでは戻るなって。休みの日もね」
「厳しいのね。私の母も医者で普段優しいんだけど、人の命を扱う意識に関して時々厳しい事言うわ。でもそれは真剣だからだと思う」
「クリウのお母さんは会った事ないけどきっとクリウの事も人の命の事もとても大事に考えてるよ。それが受け継がれてるから」
ところがそんな雰囲気の中突如雷が落ちた。
「何だ!」
アレーナは気が付いた。
「あれは自然の雷じゃない。魔法よ!」
皆は急いで外に出ると前に出現した事のある魔法使いと似ている小柄な魔法使いがいる。帽子で顔が良く見えない。
「誰だお前」
「私は帝国軍の魔法使い。貴様らに良い物を見せてやる」
するとこの前の様に映写の魔法でメガスが現れた。
「あっ!」
メガスが王宮の椅子に座ったまま余裕綽綽で笑いかけた。
「ふふふ、ヘリウム軍の諸君、よく町を奪還したね。だが我々も先日砦に乗り込んで来た君たちの兵達を敗走させたところだ。我が軍の優位は全く持って揺るがない。これからを楽しみにしたまえ」
シギアは悔しがった。
「くっ!」
アレーナは雷を放った。
「ぎゃあ!」
魔法使いは倒れた。
シギアは言った。
「くそ、いやな気分にさせやがって」
副隊長は言った。
「では7日後、本格的に砦の1つの攻略作戦を開始する事にする。皆死なないようにな」
そして皆で黙とうした。
シギアは部屋に戻り両親の写真を見た。
「会ってないのは俺が売られてからか。写真より大分苦労して老けたんだろうな。と言うより病気の方が大事か」
フィリオは言う。
「今入院中で大きな変化はないそうです。でも大丈夫なんですかシギアさん。戻られた方が」
「まあ、元々戻る方法ないんだけど。でもあったとしても今はもう戻らないよ。段々こっちの世界が大事になって来たから。俺がいないと勝てないとかそこまで思いあがる気はないけどね」
「シギアさん……」
そして夜はふけ、砦攻略の日が来た。




