2つ目の解放
遂に勝負は決した。
ジャブリールは空中で切り裂かれ鮮血と共に大地に叩きつけられた。
「はあ、はあ……」
流石のシギアも疲弊した。
シギアは礼を言った。
「アリザイン、ありがとう」
「礼には及ばん」
ジャブリールは最後の言葉を発しようとしていた。
「殺人気道術を短期間でここまでマスターするとは、これが天界の勇者、がふっ!」
シギアは決して偉そうでなく答えた。
「別に大した努力はしてないさ、少し要領良くやっただけさ。俺は面倒くさがり屋だからな」
宝児とクリウは思った。
見せないけど陰ですごい努力を……
レオンハルトは安堵して言う。
「お前にしては謙虚だな」
シギアは切り返す。
「体痛いからそういう皮肉言わない様に」
シギアはジャブリールに詰め寄った。
「あんたには捕虜になってもらうぜ。おっと皆の怪我は」
クリウは答えた。
「わ、私は大丈夫、それよりミランディさんが1番ひどいわ」
シギアはミランディに駆け寄った。
そしてひざまずいて言った。
「すまない」
「えっ?」
ミランディはかなり意外そうな顔をしていた。
シギアの口からそんな言葉が出るとは思わなかった。
「これ傷薬だ。治癒魔法程効かないかもしれないけど」
シギアは包帯を出した。そして言った。
「変な事言ってごめん。君が傷つく事を一杯言った」
「……」
「もう、無理は決してしないでくれ。まして俺に認められたいとかそう言うのは」
「はい」
レオンハルトは言った。
「君は立派なパーティの1員だ」
クリウも言う。
「勇者よ」
「勇者、私が」
クリウは優しく微笑む。
「ええ」
「私が勇者、お父さんの教えに応える事が出来た!」
ミランディはほろりと涙した。
宝児は言った。
「シギアさん、僕にも手当てさせて下さい! ミランディさんは僕が」
「わかったよ」
クリウは言う。
「何か微妙に下心を感じる言い方」
「変な事するなよ」
「しません!」
宝児はひざまづいて言った。
「大丈夫ですか? もう2度とこんな無茶しないで下さい。僕がついてます。ミランディさんが心配で怖いのを振り切って来たんです」
シギアは言う。
「もう少しムード作りが出来ないのかあいつは」
クリウも苦笑した。
ミランディは微笑んだ。
「宝児さん、助けに来てくれてありがとうございます」
「い、いやあ」
シギアは呆れ気味だった。
「さっきまで大変だったろ。もう大丈夫なのか?」
しかし宝児は突然
「こ、怖かった」
と言って腰を抜かした。
「僕は何も知らなかった。戦場の本当の怖さを知りました。もう少しで逃げだしていた」
シギアは笑顔で言った。
「まあ、俺も生きてるのは実力でも何でもないんだがな」
レオンハルトも言った。
「今日珍しく謙虚なこいつと同じで俺も他の人達に生かされているだけさ」
「はい!」
宝児は笑顔になった。
こうして犠牲を払いながらラビレッタの町は解放され、夜は死者への黙とうとささやかな食事会が行われた。




