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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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厚い防御膜

 こいつ、何か狙っている!


 とシギアは勘づいた。

 しかし、それが何かははっきりしない。


 シギアは思った。大分、こいつの動きが読めて来た。

 あと少しでつかめる。


 しかしジャブリールはなぜかにやりとした。

 まるで相手の心を見透かすようだった。


 再度シギアは思った。

 何だこいつ、余裕だけでなく何かを狙っている?


 ジャブリールは小動物を突くような速い刺突から、様々な太刀筋を交えた剣を出してくるが、その軌道が大体掴めた。


 しかし、何故こいつは防御が薄いんだ。

 これだけのスピードとスタミナ、いやそれだけじゃない、ペースやテンポの持って行き方もだ。


 ジャブリールはピアノを演奏するような奇怪なステップを踏みながら蹴りを時折フェイントでけん制の様に出してくる。


 シギアは気を取られたが戦いなれている為フェイントにも弱い訳ではないが、なんせ動きが読みにくい。

 しかし、攻められた状態から遂に隙を掴んだ。

「隙ありだ!」


 剣の刺突が遂にジャブリールの腹を捕らえた、かに見えた。

 しかしシギアの手が動かず震えた。


 ジャブリールは笑った。


「くっくっく」

「えっ?」

 剣は胸の手前で止まってしまった。


 ジャブリールはにやりとした。


 レオンハルトと宝児はざわめいた。

「何だ?」

「どうしたんだ?」


「くっ、もう1発だ!」

 手許が狂ったかと思ったシギアは仕切り直してもう一太刀浴びせた。


 ところが体に当たる前に何かで防がれたように止まってしまった。

「どうしたんだシギア!」


「おかしい。剣があいつの体に届かない。どういう事なんだ」


 ジャブリールはたっぷり力を溜め大きな口を開け笑った。


「くっくく、はーっはは! 俺は今まで特定の軌道で剣を動かす事で周囲の大気を操っていたのよ。そしてあそこにいる魔法使いがそれを凝固させ、剣を通さないバリアを作ったんだ」


 そう言って手下の魔法使いを指さした。

「バリア?」

 シギアは疑念を感じた。


 ジャブリールは大声でまくしたてる。

「そうだ、俺の大気を操作し結合する能力と魔法使いの凝固の魔法を合わせたんだ! 言っておくがあの魔法使いを倒しても効果は消えんぞ」


「くそ! そう言う事か!」

 気流が渦巻き固まった様なバリアにジャブリールは包まれている。


 シギアは無防備になったジャブリールにがむしゃらに剣攻撃を繰り出したが当たらず全て防がれてしまった。


 レオンハルトは言った。

「あいつは攻撃の時剣を動かし気流をコントロールしていたんだ! だからあいつは攻撃主体の剣攻撃をしたんだ。特定の軌道を描くために楽器を奏でる様に」


 宝児とレオンハルトは加勢しようとした。

「シギアさん! 僕も!」

「俺もだ!」


 しかしシギアは手で待ったをした。


 ジャブリールは皮肉を言った。

「仲間の力を借りた方が良いんじゃないのか」


 シギアは苦しみながら言った。

「くそ! 『勇者の波動』だ。魔法の効き目を消してやる!」


 『勇者の波動』がシャワーの様にジャブリールの全身に浴びせられた。

 しかしジャブリールは目を手で押さえまぶしがっただけでバリアは消えない。


「なぜだ!」

「はは! これは気功術と魔法の合体だ。よって魔法の様に効果は消せん」

 戸惑ったシギアは動揺でうかつにも隙を突かれついに剣で胸を切られた

「ぐあ!」


 血が噴き出しながら倒れる寸前で何とかこらえ踏みとどまった。

「くっ!」


「シギア!」

 クリウは駆け寄って回復させようとした。


 しかしジャブリールは立ちはだかり言う。

「邪魔はさせんぞ!」


 しかしシギアは腰に剣を当て構えた。

 そして剣にエネルギ-を溜めた。


「はああ!」

「ぬ?」


 剣のエネルギーが柄から先端に伝わりサークル状のピンクのエネルギーが発生しシギア自身も光った。


 シギアの目が光る。持つ手も光る。歯を食いしばった。

「うおおお! 食らえ!」

 光をまとった剣を腰から水平に力の限り振りぬいた。


 先程出した、半径4メートル、縦幅1メートル50センチ程の扇形の光の波動がジャブリールに襲い掛かったがこれも防がれた。


 シギアは追い詰められた。

「もう奥義を使うエネルギーはあまりない」


 力を振り絞りシギアは

「ならこれでどうだ?」

「ぬ?」


「奥義の別の形態だ!」

 どうなるのかと皆息をのんだ。今度は構えが違う。

 シギアは再度腰を落として剣を当てがい、両手で剣を持ち前に突き出し光を放った。

 すると光が無数の線状になり糸の様にジャブリールに向かった。あらゆる方向角度から襲った。


「何だ」

「エネルギーが糸の様に」

「ジャブリールを包む」


「これは相手の体をじわじわとむしばむ1種の毒を打ち込む技だ。液体の様に体の各所に伝わるから避けられんぞ」


 ジャブリールに線状エネルギーが巻き付いたかに思えた。

「くっくく!」


 シギアは疑問に感じた。

「何だ?」


 宝児は叫んだ

「あっ線状、液体状の光のエネルギーがバリアの膜の中で固まってる! 届いてないって事か!」





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