シギアの内心
レオンハルトはジャブリールの戦い方を冷静に評した。
「あいつの戦い方は攻撃に偏っていて防御を無視しているそぶりがある。確かに速く強い攻撃だが、スタミナが持つのか」
宝児は思い付きの様に言った。
「もしかしてシギアさんを警戒して早く勝負を付けようとしてるのかも」
クリウも素人目ながら言った。
「でもあれだけ攻めるという事は余程スタミナに自信がありそうね。私にはよく分からないけど」
宝児は再度言った。
「ただシギアさんもきつそうです」
レオンハルトは答えた。
「うむ。もしかしてあばらが回復してないのか……それとも今日の戦いでどこか痛めたか」
レオンハルトの不安の面持ちは色々想像する程きつくなっていく。
クリウも同様にかなり不安な顔をしている。手を握り汗がにじんでいる。
「はーっぱっは! どうした勇者さん! そんな程度か⁉」
ジャブリールは笑いながら挑発して来た。
これに対しシギアは何も言いかえさないが相変わらずつらくきつそうな表情である。
今までの様に一定の余裕の様な物がない。
やっと防いでいるような感じだ。
一方ジャブリールの攻めは絶え間なく強いがかつ大味でもない。鋭利でもあり重くもある。
シギアは思っていた。
少し焦ってるようなそぶりもあるな。
それにさっきから一定の軌道で攻めているのが分かって来た。
決して単調ではないが。もう少しで見切れない事もない。
アリザインの動きの方が全く見えなかったさ。
しかし下半身のリズミカルな動きに目が行きそうに気を取られそうになった。
しかしそれも計算づくかもとシギアは読んでいた。
レオンハルトはシギアが体調悪いのを黙っているのではと心配した。
「あいつ相変わらず体調の事言わないから。こっちから聞いてもだ。それが責任感だと思ってるのかもしれない」
クリウも少し怒り悲しみ気味だった。
「ダンジョンの時体調悪かったら言ってってあれだけ忠告したのに。私が悪いのよ、完治したかどうかまで診るべきだった」
レオンハルトは答えた。
「ただ、完全に休めるまで時間も待ってくれなかった。あいつはそれだけかかる期待が大きくなっている。もしかして自分が最後の砦だと思って弱みを見せられないと思っているのかもしれない」
宝児は言う。
「今まで、キングへイルもジェネラル・マドンもあいつもシギアさんがいなかったらとても倒せなかった」
レオンハルトは冷静に唇をかんだ。
「俺達もただ見ているだけか。歯がゆい」
フィリオは言った。
「それだけでなく、シギアさんのご両親の事も心配してました。それも関係してるのかも」
「そうだったな」
フィリオは続けた。
「後、もしかして、シギアさんはミランディさんに言った事を気にしているのかも。シギアさんは少しですが遠くにいる相手の心の言葉が分かります」
ミランディははっとした。
「えっ、私の事で?」
レオンハルトは答えた。
「ああ、俺も少し責めたんだ」
レオンハルトは回想した。
レオンハルトはシギアに苦言していた。
「クリウや俺達ならお前の毒舌をいなす事が出来るがミラムロ君はお前と会って日が浅い。お互いによく知らない内に変な事をあまり言うな」
シギアは黙って聞いていた。
そして現実に戻る。
そして足払いも水平に近い80度の右打ちの切りも上段からの急降下するような刺突もさえわたった。
ジャブリールは笑った。
「ふふ、もう少しで」




