現れた真の敵
宝児は力尽きたミランディに駆け寄った。
「大丈夫ですかミランディさん!」
「宝児さん! 来てくれたんですね」
「早くクリウさんに手当てしてもらいましょう!」
クリウは前に出てザネリーを睨みつけた。
「手当ての邪魔はさせないわ」
ザネリーは鼻で笑った。
「ふん」
クリウは駆け寄り容体を見た。
「結構ひどい」
「大丈夫なんですか?」
「うん」
宝児はいきり立った。
「くそ、僕が相手に」
しかしシギアは前に出た。
「いや、俺が行く」
「シギアさん」
ザネリーは不敵に笑った。
意図が分からない。
「勇者が来たか。だがな」
「だが何だ」
「お前の相手は俺ではない」
そしてザネリーは部下の1人の所に言った。
そして何と頭を下げた。
「申し訳ありません。私には勝ち目が、ぐっ!」
突如部下の剣がザネリーを刺し貫いた。
皆騒然とした。
「えっ?」
「ぐ!」
ザネリーは目を見開いた。
「失敗者には死だ。こいつを撃て!」
と部下らしき男が言うと弓兵達は一斉にザネリーを撃った。
ザネリーは刺され血を流し倒れた。
「えっ⁉ どういう事だ一体?」
その男は叫んだ
「ふははは! 驚いたか! このエリアの支配者はこいつではない! この俺ジャブリール様が支配者だ!」
「えっ⁉」
「ザネリーはカモフラージュにすぎん」
と言い顔の覆いを外すとまるでなすびの様な輪郭と大きな下あごを持ち挑発的な目つきの足の非常に長い男が現れた。
前頭髪が非常に長くまるで鎌の様だ。
魔法使いは再度メガスの映像を見せた。
「メガス!」
「また会ったねシギア君。ジャブリール、遠慮はいらん、叩き潰せ」
「はっ!」
しかしシギアはさして動じなかった。
「いいだろう、誰が相手でも倒してやる」
メガスは言う。
「相変わらずの負けん気だな勇者よ」
そしてメガスは再度姿を消した。
そしてジャブリールは剣を構えた。そしてフェンシングの様な構えを見せ、足でダンスの様なステップを踏み始めた。
まるで踊りを表現しているようだ。
フィリオは言った。
「何あの構え? さらにあの足の動き」
レオンハルトは言った。
「まるで異国のダンスみたいだ」
シギアは睨みつけた。
「よし、行くか」
と緊張もせず言い、突如ジャブリールは足でステップしながらリズムを取り始めた。
レオンハルトは言った。
「気を付けろ」
「ああ」
シギアは警戒しながら構えた。
するとジャブリールはダンスさながらのステップでいきなり近づき戸惑うシギアに先制攻撃を見舞った。
「ひゅうう!」
そう叫ぶと切れのいい突きを見舞って来た。
シギアは上手くかわして見せたがあまり余裕はない様だった。
「ふふ!」
ジャブリールはまるで小動物をつついていたぶるような突きの連続を見舞った。
「くっ!」
不気味に感じながらシギアはかわした。
宝児はレオンハルトに聞いた。
「あの程度じゃシギアさんはやられない。そうですよね?」
「ああ、だがいつもより切れが悪く見える」
「シャーハハハ!」
速いフットワーク、そして矢継ぎ早の攻撃。これにシギアは戸惑った。
乱暴な演奏の旋律を思わせる攻めは突きだけでなく上から斜めから水平から変幻自在だった。
レオンハルトは懸念した。
「シギアは疲れてる。ここに来るまで大分奥義を使ったしな」
「そ、そうなんですか」
ジャブリールは攻めに攻めた。
ジャブリールは20度の水平切りに近い1撃、返しざま47度の反対側への斜め切り、そして角度60度の突き上げ及び振り上げ70度直下に司会右上からの剣で攻めて行った。
しかもフットワークは酔っ払いが躍る様だった。
シギアはタイミングがつかめず苦戦した。ジャブリールの足さばきがまるでダンスの様でリズムを狂わせられるのだ。
宝児は言った。
「あの足さばきに惑う!」
レオンハルトも心配した。
「シギアの奥義は1日何発位使えるんだろうか」




