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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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戦場を走る者

 しかし、数人でかかられたシギアに一瞬の隙が出来た。

 空いた背後から高速で切りかかられた。

 迫る兵は叫ぶ。


「死ね!」

「!」


 その時だった。

 鉛の弾が飛んだのは。

 離れた場所にいたエイスラーの懐から何と銃が出された。


「えっ!?」とシギアは目を疑った。

 そして「ドン!」とその世界に初めて響いたであろう重い銃声が響いた。


 シギアの背後の兵は撃たれ無言で倒れた。

「何だあれは?」

 帝国兵は震撼した。


 シギアはエイスラーの銃を見て驚いた。

「それがヘリウムの新武器、試作型拳銃なのか」


 エイスラーはかちゃりと厳重に懐に入れた。

「ああ、何発も連発する事は許されていない」

 秘密兵器であるため、かなり懐の深くに入れていた。


「すまない。俺のせいで」

 シギアは謝った。


 さらに、エイスラーは別の兵の攻撃で剣が飛ばされると今度は鞭を出した。


 これもシギアは驚いた。

「えっ!」


 鞭でも1振り、2振りと華麗なさばきで敵兵を薙ぎ払った。


 その鞭裁きはあまりに速く、剣のように鋭く1直線に伸びかつ上下に高速の波のように揺れ動くあまりに高レベルな技の軌道を下級兵では全く読む事が出来ない。


 打たれ、締め上げられあげくなげられた。兵は気を失った。


「すごい、剣や銃だけでなく鞭も1流だな」

シギアも感心した。


 各所で押せ押せの勢いでヘリウム兵は突撃していく。

 死を覚悟しながら。


「俺を踏み台にしてでも敵を討て!」

 と中堅騎士は若手に葉っぱをかけた。


 その中で宝児は走り抜けながら目を背けるしかない人の死ぬ、切られ倒れて行く姿をいやと言う程見せられた。


「こ、これが戦いか……残酷すぎて吐きそうだ」


 宝児は思った。


 この世界に来てから1番怖い。僕は空手やってたけどそんなの関係ない、命の奪い合いや死体がこんなに苦しい怖い事だって当たり前だけど初めて知った。


 何て僕は平和な生活をしていたんだ。色々不満があったとはいえ!水泳の試合出られなくてもいいから帰りたい!何故城の人は僕に期待し、女神様は僕を選んだんだ、出来る事はないだろう!


 と必死で逃げ駆け抜けたその後ろから敵の剣の影が近づいた。


 宝児は後ろを振り向こうとしたがそれより早く切られそうになった。


「あっ!」

 宝児は顔面蒼白になった。

 眼前に剣と兵の影が迫る。しかし


「危ない!」

 と現れたシギアが敵を切った。


「わああ!」

 切られる1瞬前だった事に宝児は震えた。


 シギアはわめく宝児を何とかなだめ落ち着かせ安心させようとした。


「大丈夫だ、後ろの敵は切った。どうしたんだ?」

「こ、怖いです、怖いですよ!」


「そうか」


 きつく言う訳でも呆れてる訳でも激を飛ばすわけでもない、どこか優しい表情でシギアは言った。


 人目をはばからず宝児は本心を言った。

「帰りたいです」


 恥も外聞もなく彼は自分の弱さを全てさらけ出した。もう仲間の事も考えられない。

そんな心境だった。


「……」

 シギアは黙っていた。


 宝児の弱みを理解したのか情けないと思ったのかそれともどやしたいのを耐えたのか。


 一方レオンハルトは指差すように剣を突き出し剣先に左手を添え前方を射る様に構えた状態から一気に力を解放し前方1直線に特化した威力で貫き攻撃する形の奥義を放った。


 貫く体勢で滑る様に体を無駄に動かさずに直線状の敵を一気に刺し切る、彼の得意技の1つだ。


「あいつの前に直線的に立つな」


 先輩帝国兵の命により帝国兵は陣形を変えた。


 そこへシギアが現れた。

「よし、それなら俺が扇形の軌跡を持つ技を出す。行くぞ!」


 シギアは腰に剣をあてがい力を込めて構えため込むと剣に光が集まった。


 そこから一気に引き抜いた

「一気に片付けてやる!」


 シギアが剣を横方向にふるうとその通り扇状の衝撃波が飛び前方に広がった敵たちを倒した。


「えいっ!」

 一方宝児は水の杖から水魔法を放った。

しかしはたから見ても弱い魔力だった。


 それが前方の兵士に当たったが相手はまるで素人に殴られたような反応で、少しぐらっときただけで致命傷は与えられずまだ敵は進んで来る。


「わわっ!」

 また宝児は迫る兵に慌てた。


「危ない!」

 と言いやっつけ損ねた兵をシギアは倒した。


 宝児は怖がりながら礼を言った。

「すみません。アレーナさんと特訓したんですが」

「まあ、数日間じゃな」


「僕が『水の聖霊』を使いこなせれば、あ、そうそうミランディさんがどこにも見当たらないんですよここまで」


「えっ?」

「見落としかもしれませんが」


 シギアも心配した。

「彼女は鎧着てないし女だから目立つだろう。すぐ見つかるはずなんだが見つからなかったか、大丈夫だろうか」


 その頃、ミランディは運も手伝い敵を上手く潜り抜けていた。


 走りながら先日のシギアの言った事を思い出していた。


 あの人は嫌いなんじゃない、好きでもないし良い人でもない、でも見返したい、認められたいと思う、ライバルとも師匠とも言えない人。


 私には上手く説明できない誇りがある。シギアさんと会ってそれがよく分かった。

 それに宝児さん、いつも私を励ましてくれた。


 しかし走り抜けた町はずれに幹部クラスたちはいた。

「はっ!」

 いきなり出くわすとはミランディは予期していなかった。


 男はネズミが紛れ込んだかのような態度をした。

「ほう、民間人の女かと思っていたが、剣を持っている所からどうやら違うらしいな」


 30代の黒味のかった肌と冷静な余裕を持ちながらどこか鋭さを目の奥に持った、周囲を部下五人に囲まれた男がいた。部下たちは皆にやにやしている。


「ふふ、この帝国幹部の1人ザネリーに用かな。

「くっ!」


 ミランディは反射的に腰の剣に手をかけ身構えた。


 彼女は思った。

 私もヘリウムの勇者パーティの1人、ここで引くわけには。




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