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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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解かれた催眠術

「エイスラーが! 特殊捜査員!」


 レオンハルトは彼を疑いの目で見ていた為、彼の正体のみならず目の前で起きた事に目を丸くし、自分の無知を恥じた。


 ずっと見張っていた自分。

 自分の疑念の目が正しいと思って見ていた未熟さ。


 修練中こっちを見ていたエイスラーはどんなにか嫌な気持ちだったろうと感じた。


 わざと怪しまれる雰囲気を出していた事も知らない自分を。

 そして失礼だったと罪の意識も感じた。


「おのれええ!」


 と叫び突如起き上がったまだ動く力があった暗殺団の1人が向かって来ると、エイスラーはほとんど動かず心も動さず、剣の1振りで1瞬の内に倒した。


 1閃、暗殺者は肩から腰まで斜めに1直線に切られた。

「あ、が」


 暗殺者は自分が何故切られたのもよく分からないまま血を流し倒れた。


 レオンハルトは驚いた。

「つ、強い、剣を持ってるとは言え」


 メガスは突如現れたエイスラーをうっとおしそうに見た。


 しかしただのハエの群れに少し上級のハエが入って来たような、基本的に見下した態度だったが。


「マルラボ! この男の相手をしろ。私は勇者にとどめを刺す」

「はっ!」


 命令を受けたマルラボは火球をエイスラーに撃ったが上手くかわして見せた。


 1方シギアはまだメガスに金縛りを受けていた。

 あまりの圧力と呼吸困難に悶えた。

「う、ぐがあああ」


 シギアの苦しみは1層ひどくなった。

 万力で体を締め上げられ高圧電流を流されているような感覚だった。


 メガスは楽しそうに眺め言った。

「降参したらどうだい」

「だ、誰がだ!」


 鉄線の様に人間の皮膚より明らかに硬い物に抵抗すれば皮膚が切れる、そんな強者の視点から見れば愚かとしか言えないような無茶をシギアはしていた。


 メガスはシギアのしぶとさにうっとおしさとあきれを両方込めた言い方をシギアにした。


 皮肉のようにため息をついた。

「しつこいね君も」


「ここでやられるわけにはいかない!」

 シギアは上腕筋が圧で破壊されそうなほど両腕に力を込め外そうとした。


 あまりの気合にシギアの顔に血管が何本も浮かび上がった。


 またメガスは見下しとあきれを込め言った。

「よくやるね君も。普通の戦士ならとっくに潰されて死んでいる。侮れんかな」


 生命力の強い虫に感心しているような自分が圧倒優位的前提の皮肉だった。


 まるでメガスは巨人が手で小人を、もっと言えばおもちゃを握りつぶそうとする感覚だった。


「くそっ!」

 レオンハルトは助けに向かった。

 しかしメガスは見逃さなかった。

「貴様もだ」


「ぐあああ!」

 レオンハルトも金縛りで捕まってしまった。


 さらにエイスラーと戦いながらマルラボはレオンハルトに火球を放ち直撃した。

 シギアは叫んだ。

「レオン!」


 焦げてしまった様にレオンハルトは高熱の火球を受け気絶寸前になりぐったりした。


「まだだ!」

しかしレオンハルトは傷を負いながらもまだ抗って見せた。


「レオンハルト、シギア……」

アリザインは二人のすさまじい精神力を見て自分がふがいなかった。

その位心が強ければ催眠術等に、と。


 シギアは見えない鎖を引きちぎろうと全身に力を込めていた。


 念を引きちぎるのは物理的に不可能かもしれない、それでも全てを込めていた。

「俺がここで諦めたら皆が救われない! アリザインも元に戻れない」


 その様子をどうしていいか分からずアリザインは苦悩した。

俺は何も出来ないのか!俺は正しい事の為に子供の頃から殺人気道術を学んだ。それなのに相手がメガスとは言え脅しに屈して! 


 俺の父も祖父も決して殺人気道術の暗部を離さなかった。父も祖父も一族も人を殺していた。

でも俺には身が汚れない様にしてくれたんだ!


 アリザインは祖父と父が話し合っている場面を回想した。


 祖父は言った。

「あいつが殺人気道術を悪用したりしたら、いや利用されたりして悪事に加担させられたら。いくら我々が殺人気道術一族の闇を隠してもあいつは最悪の人生を歩む」


 しかし父は言った。

「あいつは大丈夫です。俺達が守るだけでなく必ず強い自分でいてくれます! だから教えるんです。俺は例え殺人気道術が暗殺拳だったとしてもあいつはそうしないと信じています!」


 回想したアリザインは言った。

「そうだ! 殺人気道術は人を守る武術だ! 俺が変えようと思ったんだ! 悪人に利用されるなど!」


 一方シギアは脱出に全ての力を込めていた。


「血管が切れて血が噴き出しても、いや死んでも構わない! この金縛りだけは外してやる! 屈する訳には行かない! 俺はもうヘリウムを守る勇者なんだ。だからヘリウムを脅かすものには誰にも負けられない!」


 アリザインは感化された。

「あいつ……」


 そして自分の拳を見つめ決意した。今までメガスに屈し一族の秘密に怯えた自分を破壊しようとした。


「俺は! 俺は!」

 アリザインは心の何かがはじける音を感じた。

 水滴が落ちた。


 そして叫んだ。

「俺はもう誰にも屈しない! 相手が誰であろうと、人に利用される弱い心など捨ててやる! 俺はヘリウム騎士団だ! 今までの自分を隠した生き方など捨ててやる。俺は自分の力を正しい事に使うんだ。シギアがした様に!」


 メガスはアリザインの異変に気付いた。

「ぬうっ!」


 アリザインは叫ぶ。

「うおおおお!」


 アリザインの体から何かが抜けた。


 マルラボは驚嘆した。

「馬鹿な、催眠術が解けた!」

 絶対にありえない物を見るような顔をしあたふたしていた。


 アリザインは宣言した。

「メガス! 俺は貴様などに屈さんぞ! 俺の一族の名で汚されてもいい! 俺は正しい者の為に戦う!」


 メガスはシギア達の前で初めて余裕をなくしアリザインに睨みつけた。

「ぬうう……」

「今日限り貴様には屈しない」


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