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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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不敵な新人の謎

 新人加入日3日目となった。

 宝児はレオンハルトに聞いた。

「今日男性1人来るんですか。どんな人ですか」

「ああ、そいつは俺と顔見知りだ。完全な新人じゃなく別の舞台から異動してくる人だ」

「そうなんですか、てっきり新しく試験受けて入って来る人かと思ってたから。どんな人なんですか」

「ああ、本当に真面目で朴訥な男だよ。すごく目立っているわけでもないけど平均点を取り続けるタイプだ。人間関係でもトラブルを起こした事はないし礼儀とかもちゃんとしてる」


 アレーナは言った。

「それなら安心ね」


 宝児は言った。


「まあ、誰彼構わず突っかかる人が1名いますけどね」

「昨日もミランディさんに『新人はこれ持ってけ』と荷物持たせようとしてたのよ。私とクリウが止めたけど。彼女大分手合いの事で傷ついてたし、慰めるの大変よ」


 騎士達はシギアを呼び出し諭した。


「シギア、お前今度変な事新人に言って『辞める』なんて事になったら責任取ってもらうぞ。我々は費用をかけて有能な人を選んでるんだからな」


 別の騎士も言う。

「最悪、新人と一緒に練習させんぞ」


「はい……」

 シギアは反省ししゅんとした。

ミランディを馬鹿にしていた時の様ではなかった。


 そしてミランディも来た。


「おはようございます!」

 とても健康的な笑顔で来た。

 吹っ切れた様だ。


「おお、おはよう」

「皆さん、ご心配かけました」


 クリウと宝児は歓迎して言った。

「とんでもない!」


「悩みがあったら僕にぜひ相談して下さい」

 でれでれしながら宝児は言った。


 ドレッドは言った。

「な、何かあいつやけに親し気に話すな」


 アレーナは意味ありげにほほ笑む。

「うふっ」


「宝児さん、これからも宜しく」

「はい!」


 そしてミランディはシギアの方を笑顔で見た。


 騎士は集合をかけた。

「あーみんな、今日新人来るよ! 紹介するから」


 そこへレオンハルトと同じ位の背丈で少し筋肉は多く、目と口元が どこか鋭角的で挑発的で見下した様な眼光を持ちながらも顔が整い清潔感もある、騎士とは思えず茶色の乱れた髪を持った頬のややこけた端正な顔の青年が来た。


「ん?」


 宝児は思った。

 何かレオンハルトさんが言ったイメージと違うな。


 騎士は紹介した。

「今日から一緒になる異動して来たアリザイン君だ」

「宜しく」

 と不敵そうな笑いを見せながらアリザインは挨拶した。


 連れて来た騎士は言った。

「お前、何で髪型そんなにしたんだ? 明日までにちゃんとしてこいよ」


「ふっ」

 とアリザインが不敵に笑った。

 

 レオンハルトは違和感を感じ見ていた。

 何だ、あいつがあんな感じだなんて知らないぞ。


 宝児はレオンハルトに耳打ちした。

「何か聞いてたイメージと違いますね」


「じゃあ挨拶を」

 と騎士が言うとすたすたと歩き出しクリウの所に行った。

 クリウは「えっ」と言う感じでさすがに戸惑った。


 いきなりアリザインは不敵にもクリウを口説くようにファーストコンタクトした。


「ふっ、なかなか綺麗だね君は。髪型もイヤリングも良く似合うよ。法衣もね」

「ど、どうも」

 と言い終わる前にアリザインはクリウの顎を持った。


「ええ?」

 宝児はさすがに驚いた。


 アリザインはさらに続ける。

「顎を取られて戸惑いながら見上げる目がなかなか魅力的だ。戸惑う表情もね。今度茶でも飲もう」


「そ、そんな」

「ふふ、やはり戸惑いがいい」


 レオンハルトは怒ると言うより先程から違和感を感じ続けている。


 どうしたんだこいつ……よし、後で様子と秘密を探ろう……

 アレーナも何かに気づいた様だった。

 アリザインはけろっとしてレオンハルトに向き直った。


「やあ、久しぶりだなレオン、今日から宜しく頼むよ」

 レオンハルトはあっけに取られた。 

 クリウにあんな事を言って平然としているからだ。


 そしてアリザインはクリウに再び向き直った。

「さて、話の続きをしようか」


 しかしすぐ近くに睨んだシギアが来た。

 それに気づいたアリザインは振り返り嫌な物を見る目と見下す目の両方が入った目つきをした。


「何だ? 君が勇者シギア君か? 話は大分聞き及んでるよ」

「……」

「何か言いたいのか」


 騎士は来た。

「何をやってるんだ1体、アリザインお前どうしたんだ? いつもと違うぞ」


 レオンハルトも思った。

 俺はあいつと最近会ってないがあんな性格だと言う話は聞いてない。


 じっと見ていたアレーナは耳打ちした。

「レオン、あの人何か変じゃない?」


 シギアは抑えた目と声で言った。

 下から見上げる様な表情だった。


「あんた、おれと手合いしてくれ」

「いいだろう、ただし、素手でだ」

「ああ」


「何をやってるんだお前ら、やりたければ休憩時間にしろ!」


 そして休み時間、急遽2人は素手手合いをする事になった。


 そしてシギアは歩きながら昨日ミラムロと戦った時とは全く違う探りながらの疑惑の目を向けながら歩いた。


 アリザインはシギアを時々にやりと見ながら中央へ向かった。


 そして向かい合ったがシギアはなるべく感情を抑え激しく睨むと言うよりちょうどミラムロを審査した時の厳しい目と疑惑から相手を探る目つきをした。


 しかし彼は落ち着いていて上から下までじろじろ覗き込むような不器用な事はせず、目をちらちら最小限に動かすだけで相手を探っていた。


 アリザインはそれを知ってか知らずのようにニヤニヤしている。

 皆緊迫した目で見守る。

「はじめ!」


 その合図の次の瞬間、シギアは殆ど手も触れず投げ飛ばされた。





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