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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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ドレッドの畏怖と奮闘

 ドレッドは委縮気味だった。


 こいつはキングへイルと同等かそれ以上……シギアがいないのに勝てると言うのか。


 ドレッドの大剣を持つ手が汗でにじむ。

 勝てるのか、いや相手になるのか。

 最悪、1分と持たないかもしれない。


 それに気づいたかジェネラル・マドンはにやりとした。

「たった2人だけで来るとは随分我々も舐められたものだな。それとも何か? 隠れた仲間が奇襲でも仕掛けるのかな?」


「私達だけよ。我が軍は例え1人でも速く敵の親玉の所までたどり着くための戦略よ」

 アレーナは毅然と言った。


「ふん、辿り着けたとしても人数不足でやられては何の意味もないがね。その間の抜けた戦略は隊長さんが考えたのかな」


「私達は貴方を倒して見せる」

「その根拠は何だ」


「1人1人の力と合わせた力ね。3人寄れば文殊の知恵かと」

「ふん、聞き飽きた子供が言うような諺だな」


 ドレッドも言う。

「何とでも言え。俺はお前に勝つ」


 アレーナは驚き聞き違えかと思った。

「えっ『俺』?「俺達』じゃないの?」


 ドレッドは間違えていなかった。

「相手は1人、しかも俺と同じ騎士だ。幾ら相手が強いと言っても俺は1騎打ちをする」


「そんな……」

 なるべく弱さを見せない様に努めるアレーナも不安そうだった。

 しかしそれでも見せるのを最小限にとどめた。


「もし負けたら後は頼む」

「もし危なかったら容赦なく助けに入るわ」


 アレーナは分からない様にごくりと唾を飲みながらも力強い口調でドレッドが頼れるように、後に控えている事を強調するように切り返した。


 マドンはその様子を見て馬鹿にしていた。

「君が私と一騎討ち? 舐められたものだな。ふん、いいだろう」


 騎士道精神を背にしたからか少し先程よりドレッドは堂々となった。強がりもあるが。

「舐めちゃいないさ。ただ騎士道精神を貫くだけさ」


 マドンは自分が負けると思っていなさそうだった。

「少しは骨があるようだが、骨があるかどうか確かめさせてもらおう」


 マドンはずいと前に出た。

 そして大きな目から強い視線も前に送って来た。


 ドレッドの体を緊迫感と認めたくない恐怖が包む。

 アレーナはいつでも手助け出来るよう手をならしていた。


 そして両者は向き合った。

 一見すると両者互角の様な雰囲気にも見える。

 アレーナと吹く風のみが観客だった。


 先制攻撃はドレッドだった。

 連続突きに似合わぬ大剣で突きを連続で見舞う。


 刺突で相手の出方を見て優位に持って行きたかった。


 マドンはにやりとしていた。

 大剣の刺突同士がぶつかり合う。


 切っ先がぶつかり合う音が響く。


 凄まじいドレッドの打突が周りの空気を消しきる様に散らばる。

 先の鋭い点すんでのところでわずかにずれた。

 ドレッドは次にもう少し間合いの大きい攻めに出た。

 

 下から斜め60度に突き上げる軌道。斜め下に切りつける軌道。


 そして様子見に過ぎないマドンの剣を迎え撃つ。


 突き出した剣を最小限の動きで引っ込めさらに速く剣を切った。


 客観的に見ればどう見ても防御側であってもマドンの方が上に見えた。


 アレーナはハラハラを見せない様にしながら体が小刻みに震えた。


 ドレッドは手首の力を生かし20度の上方から素早く切りつけた。

 必死の表情まだ。


「ぬう!」

 と言いながらドレッドは受け今度は横から切りつけた。

 また70度近い角度から斜め上切りを放った。


 手首の力を溜めて切りかかり押し引きで切ろうとした。


 股の開きを最小限に抑えた。

 短い間合いと間隔で2連突きを見舞った。


 それは馬力と相手に向かって行く闘争心の結晶だった。




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