傷ついた体で
サンショウウオを倒した一行はまた道を引き返す事にした。
道を出て左側つまり洞窟入り口から右側の先程行かなかった方の道を選ぶ事にした。
するとこちらの道には宝箱はなかったが割と直ぐに下の階への階段があった。
一行は慎重に降りた。
すると、地下2階は勿論松明だけでは全てを見渡す事は出来ない。 だがかなり開けた大きな間であった。
階段の後ろ側には何もない。
しかし前方にかなり大きく広く部屋が開けている。
シギアは見渡し言う。
「40メートルくらい前に伸びてそうだ。いやもっとかな。横には60メートル以上続いてそうだ」
ドレッドは不気味がった。
「地下1階と大分違うな」
宝児は言う。
「どちらにせよ不安になる構造ですね」
レオンハルトは悩み決定を任された。
「どう進もうか」
レオンハルトが決めた。
「左側の端に到達するまで行き、そこから壁に手を付ける感覚で前に進むと言う方法を取ろう。地味だが『端から攻略していく』と言う感じで」
ドレッドが賛成した。
「確実に実直な方法で行こう」
考えがまとまった一行はまず階段から左に行く事にした。
松明をぐわっと前に出しなるべく視界が前に伸びる様にしていた。
シギアは予測した。
「恐らく、横に150メートル、長くて180メートルくらいじゃないかね」
恐らくそれ位歩いただろう。
すると左端の壁についた。
レオンハルトは提案した。
「よし、ここから左側の壁に手を付けて前にずっと進むんだ」
そしてそれを約200メートル程つたって行った。
すると迷宮が四角形だとするとちょうど左端の角についた。
レオンハルトは確認した。
「ここまで順調だな。よしじゃあここから壁つたいに右へ進もう」
そして1行は一層ゆっくりゆっくりと進んだ。
すると15メートル程進んだ場所に1つ左折する道への角の入りがある。
さらにもう15メートル程先にまた左折する道の入り口があった。
シギアは聞いた。
「どっちに進もうか。後ろの曲がり角と次の曲がり角、それともどちらも行かず直進するか」
レオンハルトは決断し答えた。
「1つ目を曲がろう。俺達はこの洞窟の最深部だけでなく多くのアイテムを探すために来ているんだ。取り逃しがあるといけない」
そして一行は1本目の道を左折した。
そしてそこからは細い道であった。
そこを4分程歩くと何もない突き当りに当たった。
ドレッドは拍子抜けして言った。
「この通りは何もなしか」
レオンハルトは言った。
「まあ、何もなかったのが分かっただけでいいよ」
とその瞬間、物音がした。
水が漏れるような音だった。
「こ、この音、さっきも聞いたような」
突如、床からまるで水上に上がる様に動く死体が上昇し現れた。
全身が鋼鉄で出来たような色である。
「で、出た!」
宝児は怯えた。
レオンハルトは不気味がった。
「この迷宮の怪物は床から液体化して出てくるのか」
宝児は気づいた。
「こいつ何か頑丈そうですね」
アレーナは知識を引っ張り出した。
「魔物辞典を見ると、名前は『鋼鉄ゾンビ』。攻撃はさっきのサンショウウオより少し強くて防御は外見通り頑丈だって」
ドレッドは気づいた。
「動きは鈍そうだな」
アレーナは作戦提案した。
「地道にダメージを与えましょう!」
アレーナは小型と中型の2発の雷を撃った。生物でないため今一つ効いているのか分かりにくい。
「効いてないかな」
レオンハルトはフォローした。
「いや、生物でないから反応が薄いだけで確かに手ごたえはある」
シギアは聞いた。
「ここは一気に決めるか?」
レオンハルトは判断した。
「いや、まだ先があるので力を温存しよう。奥義と強力な魔法は使わない。あと毒に気を付けろ」
そしてシギアとレオンハルトは2発ずつ、ドレッド1発の攻撃でゾンビは倒れた。
シギアは判断した。
「こいつは攻撃は大した事ない。盾で防げるレベルだ」
レオンハルトは言った。
「じゃあ、戻ろう」
そして次の曲道に入った。
すると今度は早いタイミングでまたも水面から上がる様に新しい怪物が現れた。
宝児はまた驚いた。
「また床から!」
今度は木の操り人形の様な2メートルほどであった。
またも鋼鉄で出来たような外見の怪物だった。
アレーナは辞典を読んだ。
「こいつ、『鋼鉄パペット』力はないけどエナジードレインを使ってくるわ」
「あっ!」
エナジードレインでシギアの体力は奪われた
「くっ!」
シギアは膝をついた。
さらに今度はマジックドレインでアレーナの魔力を奪った。
「しまった」
シギアは危惧した。
「早く決着つけないとまずいぜ!」
と言いシギアは切りかかったがいつもの動きがない。
「どうしたんだ? エナジードレインが効いているのか」
「べ、別に」
「遠くから攻撃します」
コアの弓矢が決まった。
アレーナは
「節約も大事だけど早く倒さないと結局エネルギーを奪われる!」
コアとアレーナの攻撃の後、シギア、レオンハルト、ドレッドの3人は慎重にかつ素早く攻めた。
そしてエナジードレインを食らわない内に倒す事が出来た。
「ふう、うっ!」
「どうしたシギア」
レオンハルトは心配した。
そこへ鋼鉄人形が宝箱を落とした。
シギアは言った。
「おっラッキーだ」
「私が調べます」
とグライが調べた。すると
「これ、爆弾がしかけられています!」
「何⁉」
「逃げないと!」
一行は全速力で反対方向に逃げた。
爆弾が作動する。
激しい爆風が起き、皆少し食ってしまった。
クリウは傷ついた。
「いた……」
レオンハルトは案じた。
「大丈夫かクリウ、うっ」
ドレッドは聞いた。
「大丈夫か2人とも」
レオンハルトは答えた。
「俺もクリウも先日の傷が開いてしまった」
クリウは何かに気が付いた。
「ん?」
「どうした」
クリウはアレーナを問い詰めた。
「アレーナ、ちょっと足見せて」
「何でもないわ」
「いいから!」
クリウは装束をめくった。
そこには切られた傷が深く大きくなりふさがった状態だった。
「この前の刺客との戦いで? 何で黙ってたの⁉」
「ごめんなさい。みんなどこかしら怪我してるみたいだし、私だけ言うわけにはいかなかった」
クリウはアリーナの隠した事を辛く感じた。
「でも」
アレーナは理由を説明した。
「帝国との戦いの日を遅らせたくなかった。私は城下町でいつも水質調査の人たちをはじめ帝国の侵攻におびえてる人たちを大勢見て来た。だから一刻も早く戦いを終わらせたかった」
ドレッドが言った。
「みんな責任感が強すぎるのか」
少しため息をついた。
レオンハルトは疑心の目でじろっとシギアを見た。
「ん?」
「な、何」
「お前さっきからやけに痛がってないか」
「いや」
シギアは否定したがレオンハルトはシギアのあばらを触った。
「あっ」
「どうしたの」
「あばらにひびが入ってるぞ!」
「ええ!」
「くっ!」
レオンハルトは問い詰めた。
「何で黙ってたんだ」
「キングへイルとの戦いでちょっとな」
「何で言わなかったんだ」
クリウも怒った。
「副隊長だってみんなを頼れと言ったじゃない!」
宝児は気持ちを察した。
「朝特訓してたのは元気だと思わせるため」
シギアはすまなそうに答えた。
「俺は今まで自分の不注意で色んな人を傷つけたり死なせたりした。城下町での戦いやバククさん、溺れた人、だからその人たちへの償いもあるからさ」
「……」
クリウは泣きそうだった。
「何でみんな自分の辛い所を見せようとしないの?」
シギアは答えた。
「人間は自分の弱い所を見せたがらない、いや認めたくないんだ。認めると自分が小さくなったみたいで目をそむけるのさ」
しかしレオンハルトはシギアの気持ちを察して否定した。
「お前は皆に知らせたくなかったからじゃないのか」
「……」
クリウはふいに言った。
「帰りましょう」
シギアは宝児に振った。
「リーダーどうする」
「僕に振るんですか⁉」
「決めてくれ」
宝児は熟考して答えた。
「……撤退しましょう」
シギアは言った。
「じゃあ俺進むわ」
「何でですか⁉」
「俺はあまのじゃくだからな」
レオンハルトは続いた。
「俺も行く。俺もこいつとあまのじゃくなのだけは似ているからな」
「だけはって何だだけはって」
クリウは止めた。
「無茶しないで!」
シギアは答えた。
「勇者学校で叩き込まれた。他の人の前で勇者は絶対弱音吐くなって。でないと皆の希望が無くなるからさ」




