硬き防御と飛翔
「シギア!」
レオンハルトが叫んだように、シギアは矢の様に空を飛んで間一髪でカーレルを助け出した。
キングへイルはその様子を見てにやりとしながらも苛立ちで足を小刻みにならした。
こしゃくな、とまた違う、何だあの生き物は、と言う不気味さと不快感であった。
一方、シギアは対面したキングへイルを特段憎悪を込めたすごい顔で睨むと言うよりも、落ち着いた顔でけん制するような目つきで見ていた。
彼には心境の変化があった。
それは先日の川での戦いで皆に勝負より人の命の方が大事だと教えられたからかもしれない。
確かにシギアはキングへイルを倒す事よりまずカーレルを救う事が第一だった。
レオンハルトは危惧した。
「隊長は大丈夫なのか⁉」
「ああ……」
シギアは、何とか、と言う気持ちだった。
レオンハルトは傷に苦しみながら言った。
「クリウ、俺より先に隊長を見て差し上げてくれ」
「え、でも」
「俺は大丈夫だ。君も怪我がきついだろうが……」
クリウも傷をおしてカーレルの元へ向かった。
キングへイルはそれにあまり興味はなかった。
彼の心中はシギアを警戒する気持ちと変な物、である翼の生えた彼の姿を怪訝に思った。
さらにその程度の力で歯向かうつもりかと言う気持ちも込めて言った。
「まさか羽根が生えて飛ぶとはな。それが天界の勇者の力か。随分と奇妙なマジックを使うじゃないか」
キングへイルはわざと揶揄気味に言い挑発した。
シギアは挑発には乗らないようにした。
「挑発には乗らんか、さしずめ勇者より化け物の様な姿だが」
「……」
シギアは何も言いかえさなかった。
ところが、突如である。
宝児は叫んだ。
「おい! しっけいな事を言うな! 化け物とは何だ! シギアさんは天界の勇者だぞ!」
「何⁉」
いきなり横から予想外に水を差されてキングへイルは思わず宝児を睨んだ。
「ひっ!」
その眼力に宝児は怯えた。
言わなければ良い事を言った後悔の念があった。
「貴様、何のつもりだ……」
まずい! とそれを見たシギアは思った。
キングへイルはのしのしと宝児に迫った。
「水を差すな、この虫けらが」
宝児の事がかんにさわった。
「わ、わああ!」
宝児は恐怖で叫んだが逃げられなかった。
「くっ!」
シギアは宝児を助ける為猛スピードで前に移動しキングへイルに奥義で切りかかって食い止めようとした。
しかし、光る剣をキングへイルは片手1本で受け止める。
しかも、全力なのか不明である。
シギアは全力だったが。
宝児は防いでいるシギアに謝った。
「シギアさん! すみません!」
「いいから早く逃げるんだ!」
キングへイルの凄まじいパワーと奥義を地上に来て初めて受け止められたショックで、意地と恐怖心と危機感が止められた剣にこもった。
「う、うぐ!」
な、なんて力だこいつ、押し負けたら俺や皆がやられる、と思っていた。
「あ、あああが! ぐ、ぐう! うおおお」
怒り、危機感、負けん気、仲間を救いたい、それらの感情が1つになりシギアは地上に来てから最大限に剣に力を込めた。
筋肉はきしむ。
顔の神経がはりつめて顔が変形しそうだった。
それほどの緊張感だった。
これほど体も心も熱く、重く、かつ恐怖を感じたのはいつぶりだろう。
「うぐぐ!」
「ぬおお!」
キングへイルもまだ余裕はあっても負けたくない気持ちだった。
切っているのはシギアなのにまるで力比べだ。
そこへ、起き上がったレオンハルトが奥義で切りかかった。
不意打ちのキングへイルは防御出来ず鎧を無防備に切られた。
ところが鎧にはほとんど傷がない。
「くっ、奥義でさえ手ごたえが少ない」
キングへイルは突如乱入したレオンハルトを睨んだ。
「シギア、早く逃げろ!」
と彼が叫んだのもつかの間、太く重い拳でレオンハルトは殴り飛ばされてしまった。
「レオン!」
とシギアが叫んだのもつかの間、今度は背後から宝児の叫びが聞こえた。
「わわ、シギアさん!」
宝児の前に刺客が立ちふさがった。
40歳過ぎの鎧を着た侯爵の様な男で一見気品はあるが目は冷酷そう、頭は真ん中がはげ、長い顎にひげを蓄えている」
「君の相手は私がしよう」
「わわ」
刺客は「上品な殺意」でもあるかの様にレイピアを構えた。
そこへ刺客の足元に稲妻が落ちた。
「ぬっ!」
「宝児君! 逃げなさい!」
「アレーナさん」
シギアは何とか剣の力を外さず叫んだ。
「アレーナ、 何とかその刺客の相手をしてくれ!」
アレーナは言葉を発せず頷いた。
刺客は落ち着いて言った。
「ふん、貴女がこの私、ブルビ2世の相手か? まあ、せいぜい健闘を祈るがね」
突如キングへイルは叫んだ。
「他人の心配をしている場合か!」
「ぐあ!」
シギアは拳で吹っ飛ばされた。
「なんて奴だ……剣を、天界の奥義を手だけで」
かなりシギアは気持ちを叩き潰された。
挫折感を味わった。敗北感がそばに迫っていた。
「くっ、こうなったら!」
と言いシギアはまた飛翔した。
どんどんと25メートル、30、40メートルは上がった。
シギアの姿をキングへイルは見上げていた。
「行くぞ!」
と力を少し貯めた後、シギアはそこから一気にキングへイル目掛けて垂直に降下した。
「ま、まさかあの高さから切りかかる気か!」
ドレッドは言った。
落下重力ではなくシギアは垂直下に猛然と加速を付け降下した。
「ぬう? ふん」
キングへイルは来いと言う顔付きをしていた。
シギアは、初めてだ、奥義を手で受け止める相手なて……まだこんなのが帝国にうようよいるのか……俺は正直思いあがっていた……
急降下の凄まじいスピードの中は彼は思っていた。
今回、投稿時時間が足りず、後文章を推敲し筋でなく表現のみ追記しました。
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