訓練の終わりに
「増援! こんな時に」
皆はただでさえピンチなのにそれに加えて、と言う心境だった。
これが体力だけでなくメンタル、判断力にも影響を及ぼした。
増援召喚モンスターは大うさぎと食肉植物の2体だった。
大うさぎは全長は2メートルと60センチ程。
大きい上に割と憎めない表情をしていて体格もやや太めであるが、その分攻撃が重そうで足にも筋肉が多そうだ。
その為瞬発力がありそうに見える。獲物を待ち構えていそうに見える。草食動物だけれど。
食肉植物は全高2メートル30センチほどで恐らく相手を食べるであろう花と口が人間の顔と同じで中心の高い位置にあり草が八方に伸びている。
勿論移動する事は通常ないのだが召喚されてそこに根があるような感じになっている。
「でもドラゴンに比べると弱そうですが」
宝児は少しタカをくくった。
「まあうさぎは肉食動物じゃないし、おとなしいイメージもあるし」
シギアは少し同調した。
レオンハルトは努めて敵を侮らない様にした。
「ただ、瞬発力がありそうだし、攻撃を素早く避けそうだ。顔つきだけでなく全身から判断しよう」
アレーナは冷静に言う。
「そうね、魔物図鑑を見るとそんなに大した事ないデータね」
「じゃあ、スピードの速いレオンハルトさんがうさぎをお願いします。攻撃四スピード5防御1で」
と言う宝児の指示通りレオンハルトは剣で切りかかったが、素早く後ろにステップしてよけられてしまった。
「あ、は、速い。ではシギアさん続けての攻撃を」
宝児は、うさぎはあまり力なさそうだし防御が低くても大丈夫だろう、とまたタカをくくっていた。
シギアは切りかかった。
しかし、どうもうさぎに対して手ごたえが今1つだった。
「避けてダメージを抑えるのが上手いみたいだな。体に柔軟性があると言うか。」
「意外な難敵?」
その時だった。
突如食肉植物が隙をつき予期しないタイミングでシギアに甘い息を吹きかけた。
「あっ!」
宝児は思わず叫んだ。
「ぐぐ!」
シギアは睡眠息の効果に耐えられず、その場にざっくりと倒れ伏してしまった。
「シギアさんが眠らされた!」
隊長は内心思っていた。
「植物は動物と違い思っている事が分かりにくい。それが悪く出たな。狙っていたが」
これはかなり皆に、特に宝児に動揺を与えた。
これで焦った。
「あいつを先に倒さないと! レオンハルトさんお願いします」
「わかった!」
と少し動揺しながら言い切りかかったが何とカウンターでまた息を食ってしまった。
「あ、」
ドレッドは危惧した。
「また睡眠息か」
「う、うぐ体が、毒が」
「ええ⁉」
それは毒の息だった。
苦しむレオンハルトに隊長は言った。
「それは本当の毒ではないが、毒に体が回ったのと同じ苦しみを感じる。毒は解毒魔法や毒消しでないと消せない」
クリウは叫んだ。
「私は解毒魔法使えるわ!」
「クリウさんお願いします! 後ドレッドさんうさぎを攻撃3スピード6防御1で、あとコアさん援護を!」
ドレッドは勢いよく、しかしかわされない様に切りかかり何とか当たった。
さらにコアの弓矢でうさぎは倒れた。
ところが
「うわっ!」
その後ドレッドはドラゴンの火炎を隙をつかれ食ってしまった。
「あっ!」
隊長は微笑んだ。
「ふふ、植物とうさぎに気を取られすぎたな。ドラゴンを忘れてはいかん」
「そうだ、もとはと言えばドラゴンが目的だったんだ。うーん、どうすればよかったんだ。僕の指示が悪いせいで……ああ、僕は駄目な奴だ駄目な奴だ」
宝児はしばらく考え込んでしまった。
真剣に悩む彼の姿に皆声をかけられなくなってしまった。
宝児は思った。
前衛2人が戦闘不能、1人は大ダメージ……どうすればいいんだ。僕の判断力が悪いせいだ。そして油断したからだ。もしかして隊長はわざと油断させるために弱いモンスターを。
「すみません! すみません!」
宝児は謝った。
それは水泳部でいつも先輩に平謝りしている時と同じ言い方だった。
「おいおい考え込むな、今出来る事をやるんだ!」
とドレッドは葉っぱをかけた。
「う、うう!」
「宝児君!」
「宝児君!」
女性2人も叱咤激励した。
しかしそれでも結局僕はあまり変わってない! と宝児は苦悩した。
「う、うう! 僕は」
まだ宝児はどうしていいか分からなかった。
しかしレオンハルトは励ました。
「もう少しだ!」
シギアも半分寝言で励ました。
「戦場では敵は待ってくれないぞ、うーむにゃむにゃ」
そしてそれが心に響き宝児は拳を震わせた。
今の僕はいい人たちに囲まれて昔とは環境も違うんだ。シギアさんもああ見えて時々僕を励ましてくれている……
「よ、よし!」
思い切った戦法を! と宝児は思った。
「アレーナさん、前衛に出て下さい!」
「ええ⁉」
「でレオンハルトさんとドレッドさんは下がって手当をします」
アレーナは前に出た。
そして攻撃魔法を放った。
これが効きドラゴンは苦しんだが逆にアレーナを襲って来た。
「ぐっ!」
アレーナは上手く防ごうとしたもののダメージを受けた。
「まだよ……」
アレーナのマントは実は柔らかく丈夫な材質で出来ている。
クリウはレオンハルトに治療を続けた。
コアの弓とアレーナの雷で食肉植物は倒れた。
「やった!」
アレーナは聞いた。
「この次は?」
「じゃあ、アレーナさんの最大魔法で攻撃を!」
「わかった!」
特大の雷魔法を発すると巨大な稲妻がハイスピードでドラゴンにさく裂しこれに苦しんだ。
さらに宝児は立て続けに言った。
「じゃあクリウさん、さっき使った攻撃白魔法を!」
「えっ⁉ あれ?」
クリウは戸惑ったが宝児は説得した。
「ドラゴンは手強いです! かなり強力な攻撃でないと倒せないみたいだから普段攻撃しないクリウさんにも攻撃してもらいたいんです!」
クリウは構え大きな白い玉を発射した。
凄いパワーの塊であった。射程距離は短くても届きさえすれば大きな効果を発揮する。
これはかなりドラゴンにきいた。
ただクリウもかなり疲れ、膝を落とした。
攻撃魔法を連発できるアレーナと比べ、クリウは攻撃魔法にとても力を使う。
1日1発がせいぜいだが、今日はもう2発目だ。
その時ドラゴンが尻尾で寝ているシギアを攻撃した。
衝撃でシギアは起きた。
「がっ!」
僕もこれを狙ってました、と宝児は思った。
そして
「レオンハルトさんお願いします! 一気に強い攻撃で!」
「わかった、奥義で決める!」
「はい! 奥義で!」
レオンハルトは立ち上がり奥義を放つ。これがドラゴンに大ダメージを与えた。
そしてシギアも立った。
「よし、俺も奥義だ」
「お願いします!」
シギアも剣が光りそのまま空中高くジャンプした。
するとジャンプしたシギアに黒い天使の羽根が生えた。それは実体にも幻にも見えた。
皆驚いたが宝児は特に
「シギアさんが飛んだ! なにあれ⁉ 初めて見た‼」
シギアは8メートル以上飛び上がり少しの間空中でストップし、急降下する勢いで渾身の力で切りかかった。
落下スピードは恐らく140キロはあるのではないか。
「グ、オオ……」
直撃を受けドラゴンはうめいた。
さらにシギアは切ったところから十字にのこぎりの様にぐさぐさ切り裂くとドラゴンは傷の大きさに耐え切れず巨体を遂にどっさり音を立て地に沈めた。
これが決めてになった。
「やった!」
皆喝采した。
レオンハルトはこれまでになく掛値なしでシギアを褒めた。
お世辞でも何でもなかった。
それは強さだけでなくシギアが皆の為に大きな力を出してくれたのが嬉しかった。
「やったぞシギア!」
「いや、お前の奥義も」
シギアも嫌味なく言った。
クリウはそれを見て笑顔になった。
「そうだな、それだけでない皆の力だ」
「隊長」
「宝児君もよく頑張ったな」
「すみませんミスばかりで」
あまり頑張ったと言うより本気でマイナス面ばかりを反省していた。
真面目過ぎるが故の苦悩だろう。
シギアはどこか宝児の性格を理解しわざと違う話題を振った。
「おいおいお前ドラゴンの攻撃で俺を起こしたのか?」
「実は」
笑顔とあたふたが混じった。悪いジョークを言われたような顔を宝児はした。
「全く真面目なのに無茶苦茶するよな」
「頭が混乱してました」
隊長はまとめた。
「じゃあ、休んだら食事にしよう」
ところがそこへ笑い声が聞こえた。
「誰だ!」
それはキングへイルだった。
「お揃いだな」
隊長は言った。
「キングへイル……!」
キングへイルは刺客らしき人物も連れてきていた。
登場人物の人気調査を行いたいのですが今後の展開に生かす事も含めご協力お願い致します。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1159965/blogkey/2666705/
アンケートの件の活動報告への返信で下記の番号またはキャラ名をお答え下さい。
・応募はお一人様一回とさせていただきます。
・なお規約により過度の活動報告のやり取り及び誘発する行為は規制があるという事ですので、可能ならばメッセージやツイッターのリプにお願いします。
https://twitter.com/Rz2hulDy8QK5Kzu/status/1316623835974705152
①シギア
②宝児
③クリウ
④レオンハルト
⑤アレーナ
⑥ドレッド
⑦フィリオ
⑧その他
御手数をおかけしますが是非ご協力下さい。




