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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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照れ隠しの中の感情

「あーだめだめ」

 お前は相手にならない、と思われていると思ったのか宝児は苛立った。


「本気で来てください!」

 宝児はシギアに進言した。

 腹が立つ、軽くいなしやがって、と思っていた。


 シギアは目を下に向け、抑えた調子で言った。

「いや、様子を見てるんだ」


 いつもと調子は変わらない。

 受ける手にあまり力を入れてない様に見えた。


 しかし宝児にはそれが冷めた、自分等相手にならないと言うような 

 いつものシギア独特の態度に見えた。

 

 思わず叫んだ。

「僕は本気なんだ!」


 しかしシギアは小声で気づかれない様言った。

「頑張れ宝児」

「えっ? 何か言いました?」


 聞こえなかった宝児は勢いよく拳を繰り出していく。


 ドレッドは評した。

「なかなか腰の入ったパンチを打っているな」


 レオンハルトは反論した。

「ただ、少しブランクも感じる。動きに少し隙がある」


 ドレッドは推測した。

「この間出した彼の波動みたいな物ってこの空手の経験と関係あるんだろうか。それでそう言ったエネルギーを操るきっかけになったのか」


 その中で1人アレーナは何かを思いじっと見つめていた。


「はっはっ」

 少しいらいらしながら宝児は拳を連打した。


 汗が飛び散る。

 しかしレオンハルトの言う様に少し無駄な動きもある為、それが体力を削っていた。


「もっとこいそれじゃダメ! 敵を倒せないぞ!」

「くそばかにして!」

 宝児の意地に火がついた。


 シギアは挑発した。しかし実は内心すごい熱意で何かを見極める様に防御を続けていた。

 

 シギアは体力の続く限り何発でもやりたかった。

 宝児の力を引き出させたかった。彼の今後を思っての事だった。


 パーティの一員として出来る事を言葉や態度と裏腹に身につけさせたい、とシギアは思っていた。


 しかし全部受け止めたとは言えシギアは決して余裕の表情ではなかった。

 手が痛く、くっ!と言いたかった。


 表情に痛みを出さないようにするのも少し大変だった。

 楽じゃないなあ、とシギアは心の中で苦笑した。


 その内、シギアは防御をやめ上半身の軽い動きだけで防御をするようになった。


 ドレッドは嫌な気持ちで言った。

「あ、あれやられると受け止められるよりイライラするんだよな。馬鹿にされてるみたいで」


 宝児はますます苛立ち連続で拳を繰り出した。


「あいつ意地悪だな」

 ドレッドは再度不愉快に言った。


 しかしレオンハルトは反論した。

「いや、意地悪をしている表情とは違う」


 実はシギアは意地悪でなく、宝児を焚き付けるためと本当に手が痛く余裕がない事がそうした理由だった。


 レオンハルトは続けて説明した。

「もしかしてシギアはわざとのらくらと」


 渾身の突きを繰り出したが当たらなかった。

 宝児は悔しがった。


 シギアは唐突にささやくように言った。

「あの力を出すんだ」


「えっ?」

 これは不意を突かれた。

 シギアがそんな事を考えていたとは、と言う感じだ。


「あの時俺を助けてくれたあの力さ」

 シギアはその力を待っていた事を告げた。

 勇気と自信を持たせる為だった。


 クリウは気づいた。

「宝児君の体内に波動的パワーを感じる。人間の体内の気功の力ね」


 レオンハルトは感心した。

「そんなのわかるのか」


 クリウは説明した。

「ええ、空手の動きにパワーが連動し、少しずつ大きくなっている」


 さらにいきなりアレーナは言った。


「それだけじゃない。彼の体には水の聖霊が住んでいる」

「ええ⁉」


 これは一同驚いた。

 その頃シギアは少しきつい顔で声の調子を上げ力を込めた。


 シギアははあはあ言いながら何とか宝児に思い起こさせるようにした。

「来い! それともこれが限界か!」


 そうだ、あの力……と宝児は思い出し出来る限りあの時の気持ちになれるようにした。


 宝児は思った。

シギアさんは僕の力を出せる様にしてくれてるんだ、よし! 僕もその期待に応える!


「はあああ!」

 宝児は自身での渾身の突きを見舞った。


 しかし気合もむなしくパシと受け止められてしまった。


 シギアは諦めず励ました。

 手をひときわ前に出し足を揺らしたりして。


 これまでになく情熱的だった。

「まだ、もっと行けるはずだ」


 宝児はその言葉を受け止めた。

 いつも自分に荷物運びをさせたシギアの熱い面を垣間見ていた。


 激励を受けた宝児は、もっと強く!と念じた。

「うおお!」

 と叫んで拳を打った。


 しかしこれも受け止められてしまった。

 シギアにとってはこれくらいの突きなど屁でもない。


「まだ!」

 シギアは激励と防御を続けた。


 一言ずつ言い方に強さが増した。


 もっと宝児は行けるはずだと言う気持ちを込めて。

 しかしシギアもさすがに疲れていた。


 その時やる気と悔しさが交錯して、かつシギアの気持ちに答えるためにはじけた感情と共に目いっぱいの力を出し切り、宝児の体の謎のパワーがまるで蘇る様に動きだした。


 そして波動を帯びた拳がシギアのガードを崩した。


「おおお、出た」

 確かにあの時見せた技だ、少し小さいけど、とシギアは思った。


 アレーナは言う。

「まだよ、まだ彼は全部を出し切っていない。彼の体には水の聖霊が住んでいる」


 シギアはまだ納得してない。

「もう少し、あの時はもっとすごかったはずだ。あれは出せないか?」

 少し痛がりながら顔をしかめ何とか伝える感じだった。

「えっ?」


「俺はどこまでも付き合うよ」

 シギアの口調がいつになく柔らかかった


 しかしシギアは疲れながらも視線が真剣でしっかりしていた。

 瞳に強い意志を感じた。


 はっきり宝児の目と拳を見ていた。

 その中にある熱い心を。


 声を淡々と低く押し殺しあまり元気なげないつも通りクールさを装い、痛い事を見せない様にふるまってはいた、笑顔であった、が、シギアの手を見ると赤く腫れあがっている。


 シギアは優しさを見せるのが照れ臭かったのだ。シギアは我慢して手を見なかった。


「シギアさん……」

 宝児はそれを全てではないが感じ取っていた。


 自分に技を習得させる為受け役になってくれている、と。


 アレーナは不意に言った。

「宝児君! 念じて水の聖霊の力を解放して!」

「えっ?」


 アレーナは続けた。

「いいから体に力を!」


 これは宝児に取って意外だった。

「念じるんですね」

「もっと念じて!」


「何かよく分からないけど」

 宝児は目をつぶり力を抜き無心になり強く精神集中した。


「あなたには水の聖霊が住んでいる。そして気功の力もある。その2つを合わせるのよ! シギアを助けた時に発動したのは恐らくそのエネルギーよ」


 クリウは言った。

「もしかすると有機結合?」


 フィリオは聞いた

「有機結合?」


「さっきは体の気功の力だけだから力が足りなかった」


「それに水の聖霊の力を合わせるのよ」

「聖霊の力と気功の力を、合わせる⁉」


 宝児はカイングロからシギアを助けた時の事を思い出し、あの時の力を、と思った。

 必死に助けようとしたあの時の。


 すると胃の部分辺りから湧き上がる様に霊的な力があふれそれが気功波動の力と結びついた。

 宝児の体の周りを青白い光が包んだ。


「これに賭けろ!」

 シギアは宝児のまだ見ぬ力を受ける事に少なからず恐怖心を抱いていた。


「うおお!」


 宝児の叫びと共にまるで水と気功の波動が合わさった様なカイングロに浴びせた攻撃が出た。シギアは吹っ飛ばされた。


「うわ!」

「シギアさん!」


 宝児は駆け寄った。倒れたシギアは手を差し出した。

「や、やったじゃないか……」

 シギアは笑みを見せた。


「ぼ、僕出来ました?」




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