悪魔の使いと誘い
いきなり夜、宿に客が来たと知らせが入った。
「シギアさんと言う人と会いたいと言う人が」
「怪しすぎるだろ」
「怪し過ぎるからこそ俺1人で行く」
シギアは皆を外に出さず、自分だけで迎えた。
玄関に50代位のローブを来た男がいる。
「誰ですか」
「外でお話ししましょう」
シギアは言われるまま付いて行った。
すると庭には角や羽根、しっぽが生えた身長160程の悪魔らしき生物がいた。
「!」
「この悪魔は悪魔王様の手下です。そして私はシュトウルムの魔法使いデゾルデ」
シギアは剣を抜いた。
デゾルデは釈明した。
「ま、待って! 話だけでも聞いて! 私はシュトウルムの使いです。貴方に良い話を持って来ました」
「そんなの騙されるか」
「では論より証拠、私とこの悪魔の力を見せましょう」
とデゾルデは空間に向け手を伸ばし詠唱した。
すると見る見る内に空いた。
「あっ!」
「覗いてごらんなさい」
何とそこには天界の風景が広がっていた。
「こんなの偽物だ!」
しかし偽物と言うにはあまりにリアル過ぎた。
「貴方を天界に送ってあげましょう」
「な⁉️」
「貴方は早くご両親を助けたいのでしょう」
「そんな申し出受けるか」
「ただで良いです」
「そんなの信じられるか」
「約束を、2度とヘリウムの味方をして戦争に加わらないと約束すれば」
「そんな事」
「チャンスを逃して良いんですか」
「俺はこの国にとどまるんだ」
「口調が迷ってますよ」
「お前たちの申し出なんて」
「じゃあ他の人だったら受けるんですか」
「!」
「貴方は本当はこの国を捨て両親を助けたいんでしょ?」
「そんな事!」
「迷ってますね。貴方はお仲間に親の方が大事と言いましたよね」
「でも今は」
「今も変わってないんでしょ」
「……」
「どうなんですか」
「違う!」
「何が」
「俺は皆を救いたい」
「ご両親はいいんですか?」
「どっちも助けて見せる!」
「無理な事を、立場上うわべで断ってるんじゃないんですか、皆に裏切り者扱いされるのがやなんじゃないんですか、自分の悪い所を認めたくないんじゃないんですか」
シギアの心では仲間の存在が確かに変わっていた。




