悪魔王巨大化 シギアの行動
アスタロトは負の力を全開し全身から放出し始めた。
「まだあいつ奥の手があると言うのか」
女神は言った。
「恐らく悪魔王が力を解放しているのでしょう、アスタロトはいくら強くても人間です。こんな力は持てないでしょう」
「メガスまで取り込んでしまうとは」
「今の内に!」
とフィーグスは切りかかったが膜に跳ね返されてしまった。
「このままでは奴の強大化を許してしまう!」
と今度はゴッドタンも切りかかったが跳ね返された。
悪魔王は言う。
「無駄だ。悪魔王の力とハーディング家の血は最高の相性を示している。それを取り込む事で最高の力を得たのだ」
「それでハーディング家をそそのかし協力したのか」
「それなら余計まずい。早く倒さなければ」
とイーンラも加わり
女神も
「私も力を抑えます」
と言い手を前に出しアスタロトのバリアを抑え外しにかかった。
しかしシギアと宝児はそれに加わらなかった。
「どうした?」
見ると2人はレオンハルト達にパワーを注入していた。
ゴッドタンは聞いた。
「何をやってる? 何故攻撃に加わらない」
2人は言った。
「皆を助ける方が先だからです」
「しかし! 今は!」
シギアは抑えて言った。
「皆が犠牲になり時間を稼いでくれたからここまで戦えたんです」
「いや、わかるが。今はそれよりも」
しかし2人は聞かない。
アスタロト=悪魔王はどんどん力を増し巨大化した。
悪魔王の顔と腕と翼、そして足は無くなり、かわりに腹がまるでボールの様に肥大し悪魔の顔が胸に現れた。
「ば、化け物め」
女神は弱音を吐いた。
「これでは私でも抑えられないかも」
シギアはまずいと思いながらも仲間の回復を止めなかった。
アリザインは言う。
「俺達の事はいい。お前も戦いに参加するんだ」
シギアは無言だった。
「はああ!」
ついに悪魔王は15メートル近い、空中に浮遊する姿となった。
フィーグスは言った。
「シギア、宝児君! 聖剣の力を合わせるんだ!」
「シギア!」
「後回しには出来ないですよ」
「分かった」
と言いイーンラはアスタロトに背を向けた。
「俺もやる」
と言いマーティラス達にエネルギーを分け与えた。
「そうか」
と言い2人も回復に参加した。
「ふーん、なめられたな」
と言い悪魔王は手で巨大な火球を即座に作りシギア達をわずかに外して投げつけた。
床に当たり激しい爆発を起こし穴を開けた。
「あ、ああ」
「この城ごと破壊出来る威力だ」
フイーグスとゴッドタンは青ざめた。
「威力だけではない」
と言い今度は氷の弾を左手で作りさらに右手で火球を作った。
「早い!」
「その通りだ。悪魔王とアスタロト、メガスの3者の力が合わされているのだ。元々私悪魔王は最も乗り移るに相応しく適合した人間の体を探していた。そしてここで2人分のハーディング家の人間の力が手に入った!」
第二の顔がメガスの声で話した。
「シュトウルムとハーディング家の恨みを思い知れ」
少しだけ時間差を置き悪魔王は火球と氷の弾を放った。
「ここは私が!」
女神は前面に出てバリアを張った。
「援護しろ!」
と竜族も火炎を放射した。
「くっくく」
と悪魔王は笑いながら見物している傭兵たちの力を吸い取り始めた。
「うわあ!」
そして押されながら防いでいた女神だったが遂に吹き飛ばされた。
しかしシギア達は勇者の結界でぎりぎり守られた。
レオンハルトは叫んだ。
「馬鹿! 早く反撃するんだ! 俺の事は構うな」
シギアは口を開いた。
「出来ない。人の命の方が大事だと言ったのは皆じゃないか」
「しかし」
「それを知れただけで下界へ来て良かった」
女神はもう一度バリアを張ったが弱気だった。
「もう何発、いや一発防げるか」
「攻撃は何発でも出せるぞ!」
と火炎や重力まで撃って来た。
「お前の気持ち、少しわかった」
「え?」
「人の命は何よりも大事だ」
「もうあと一発しか防げないかも知れないが」
「こうなったの俺のせいです」
と言いシギアはいきなり悪魔王に特攻した。
しかしまともに火の弾を食った。
その瞬間神は降臨した。
女神は言った。
「お父様!」
「まさかヘリウム神?」




