3勇者、謎の行動
「うおおお‼」
シギアはアスタロトめがけて突撃した。
復讐の事しか頭になかった。
「ふん、馬鹿が」
とアスタロトはにやりと笑った。
しかし、しかしである。
突如イーンラは塞ぐようにシギアの前に立ちはだかった。
しかもにやりとしている。
意外な行動にシギアは言った。
「な、なんですか、女神様の命令に逆らうなと言う事ですか?」
「ふふ」
なんだこいつは
とアスタロトは訝し気に見た。
シギアは再度聞いた。
「女神様の命令に従う為ここからは進ませないとか?」
「まあ、そうだな」
余裕のある態度でイーンラは答える
シギアは心情を説明する。
「わかってます。でも俺は勇者失格でも怒りをあいつにぶつけたいんです。今聖剣の力を溜めて合わせなければいけない事もわかってます。
イーンラはにやりとしながら道を塞いでいる。
「駄目ですか」
そして言った。
「分かるぜ、その気持ち」
「え?」
戸惑うシギアにイーンラは続けた。
「俺も手を貸そう」
「え?」
「逆らおう女神様に」
「ええ?」
ゴッドタンも来た。
「俺も手を貸す」
「ええ?」
女神はイーンラ達の謎の言動に怒った。
「貴方達! どう言うつもりです!」
「ふっ! たまには命令違反もいいだろう」
「な?」
女神は面食らった。イーンラは続ける。
「こいつの気持ちにちょっと共感したんですよ」
フィーグスは言った。
「良いんですか」
「お前も付き合え」
とゴッドタンは言う。
そして3人は剣を構えアスタロトに向かって行く。
女神は止めた。
「何をやってるんです! チャンスをつぶす気ですか!」
シギアは言う。
「すみません俺のわがままで」
「命令でなく情で動くのも人間だ」
「ただの子供の我が儘とは思っていない」
そして3人で切りつけようと言う時、倒れていたミランディとアリザインが入って来た。
「2人共!」
「任せろ」
「時間稼ぎ位出来るわ」
ミランディは流麗な身のこなしで、アリザインは剣技でアスタロトをけん制する。
「雑魚が!」
しかし2人の動きを捉えきれないアスタロトは2人の合体奥義を食った。
そして
「俺も行く」
ゴットタンは斧の奥義を繰り出しアスタロトに浴びせる。
「何て重さと破壊力」
シギアは感嘆した。
しかし
「無駄だ、どんな攻撃であろうとも」
と平気なアスタロトだったが、そこをいきなりイーンラは回り込み羽交い絞めにした。
「えっ!」
イーンラはシギアに言った。
「やれ、お前の気持ちを」
シギアは戸惑いながら応えた。
「はい! う、うおお! デュバンとドレッドの仇!」
と言いシギアは切り刻む様にアスタロトを切った。
しかしアスタロトの傷はすぐふさがった。
今度はいきなりイーンラはシギアの腕を掴み後方に飛んで逃げた。
「これで気はすんだか?」
とイーンラは聞いた。
そして3勇者はシギアと自分達を光の壁で囲みシギアと宝児を外に出れなくした。
「今度こそ女神様の作戦を決行する番だ。もう外には出れない」
「5人の聖剣の力を溜めるぞ。壁の外には意識を向けるな」
「わ、わかりました」
それが3勇者がシギアに心を鬼にする事を教える為だった。




