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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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211/225

勝利か人の命か

 ミンガードも救援に加わり、シギア達を守る壁となった。

 そして飛び出したシギアを諭した。


「よすんだ。皆のくれたチャンスを無駄にしては駄目だ」

「そうだ、ミンガード王子の言う通りだ」

 傷つきながらレオンハルトも呼応した。

 

 女神も言った。

「そうです! あなた達しかアスタロトを倒せる者はいないのです!」

 

 レオンハルトは再度言った。

「俺達の事はどうでもいい」


「良い訳がないだろう」

 シギアは熱く反論した。

 

 いや熱さだけでない。 

 レオンハルト達はもはや命を捨ててかかっている事が悲しかった。


 だからシギアはさらに声を大きくした。

「皆全員が犠牲になって仮にそれで掴んだ勝利なんて本当に価値があるのか⁉」


「戦争じゃそんな事当たり前の様にあるさ」

 ミンガードも言う。

「ヘリウムだけじゃない、シュトウルムも全ての国がだ」


「し、しかし!」


「もし負けたらどうするんだ?」

「……」


 レオンハルトは声を絞り厳しく言う。

「今まで死んだヘリウムの兵士達が全て無駄死にになるんだぞ。槍で刺され、剣で切られ火で燃やされゴーレムに殴られて肉片になった人もいる。それでも皆闘志を捨てなかったんだ」


 シギアは生々しさに言葉を失った。

「うっ」


 シギアはそれを想像して吐き気がした。同時にあるセリフを思い出した。


 それは砦の戦いで「貴様らはどうせ兵が1人位死んだって悲しまないんだろう」と言う言葉だった。

 あれがまた思い出して心に刺さった。


 おもむろにシギアはレオンハルトに聞いた。

「レオン、死ぬのは怖くないか?」

「えっ?」


「レオン、死ぬのは怖いと言ってくれ」

「……」


「相棒のお前が死ぬのが怖いのを隠してるのを見るのは辛いよ」 

「お、俺は」


「……」

「し、死にたくない」


「……」

「死にたくない!」


 そこへ瘴気が来て攻撃を受け言葉が半ばかき消された。

 

レオンハルトは嘆いた。

「こんな時に本音を思わず大声で言ってしまうとは! 情けない! 俺は根性なしだ!」


 シギアは言った。

「やっぱり俺は共に戦って来た仲間を見捨てる事は出来ない」


 シギアは続ける。

「洪水の時もそうだったけど皆は効率より無理でも目の前の人を助ける行動を取った。だから俺はあの日から自分を責めて変わろうとしたんだ。今の俺は人命を優先する人間になりたいと思ってなったんだ。皆のおかげで」


 しかし瘴気が飛んできてレオンハルトやクリウ、アレーナ、ミンガードを襲った。

 

 皆体を貫かれた。

「皆辛いって言ってくれ我慢しないで辛いんだ!」


 クリウ、アレーナ、ミンガードは言った。

「わ、私は怖いわ」

「私もよ」

「僕も、言ってはいけないが」


 レオンハルトは振り絞り言った。

「駄目だ。アスタロトはお前を迷わせ剣を使わせないため意図的に俺達を痛めつけているんだ。だからその手に乗るな」


「ふん!」

 と言いアスタロトはクリウ達の首を瘴気で絞めた。

「やばい!」

 とシギアと宝児は助けようとした。

 しかし女神は言った。


「いけません! 貴方たちがやけになればかばってくれた皆さんの厚意が全て無駄になり負けます!」

「それでも俺は!」

 しかし、パンと女神はシギアをビンダした。

「貴方しか皆の命は背負えないのです」


 ワンザは悔しかった。

「皆がこんなに苦しんでいるのに儂は何をやっているんだ……!」


「う、うう! 皆、許してくれ!」

 とシギアと宝児は力を溜めた。


   

 

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