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天から落ちた最強だが性格が悪い最低ランクの勇者が地上で独立部隊パーティーの一員に任命され帝国と戦う  作者: 元々島の人


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3勇者の実力

「良し、行くか」

  とイーンラはおもむろに唇を拭くと薄くにやりとし、アスタロトに相対しようと構えた。


 一体どれ程の力なのか。

 敵も味方もはらはらしながら見る。

 そしていきなりイーンラは竜族たちのブレスを目にも止まらぬスピードで潜り抜ける。

 早くもアスタロトの間合いに入った。


「なっ⁉」

 動揺するアスタロトに上段50度の角度で切りかかった。

 これは左腕で防がれたものの、アスタロトの腕が震えている。


 それだけで速さと威力が分かった。

 何よりもアスタロトの表情で。


 しかもイーンラはさっと同じ位のスピードでさっと後ろに退き、自分の間合いを確保した。

 無駄がなく余裕すら感じさせる。

 


 こいつ……

 アスタロトは初めて戦慄を覚えた。


 間合いを取ってからもイーンラはにやりと笑っている。

 しかしへらっとではなく相手を舐めている様子はない。

 それはシギア達にははったりや空元気には見えなかった。


 シギアは聖剣に力を込めながら思った。

 あ、あれが勇者の最上位ランクの力、す、凄い。俺よりずっと。

 俺も確かに(職員の陰口で)Aランクだと言われたけど、あの人達はそれからAランクとしての修行を積んでいるからなんだ。



 イーンラは動揺するアスタロトに畳みかけるように剣を繰り出す。

 相変わらず鉄の様な体と瘴気で守られている為傷はつかなかったが、明らかに表情は動揺している。

 更に隙を見てイーンラは何と竜族のブレスを剣でキャッチし投げつけるように燃えた剣で切りかかる。

 「ぐう!」


 まさか自分に近い実力の者がこの世にいたとは。

 何と初めてアスタロトの腕に傷が付き血が流れた。

 皆騒然とした。

 シギアは言う。

「あいつが血を!」


 宝児は喜んだ。

「すごい! それに竜族達の力を合わせれば勝てるかも」


 しかし女神は否定した。

「いいえ、勝てません」


「え?」

「どんな攻撃であっても悪魔王に傷はつけられても倒す事は出来ません。倒せるのはこの聖剣だけです。あるいは私のお父様か……」


「それじゃ僕やシギアさんがやるしかないと言う事ですか?」

 宝児は怯えた。見せない様にしても。

 シギアは言った。

「女神様、こいつにあまり重圧かけないで下さい」

「いいえ、宝児さんはそれを受け止め乗り越える力を持っています」


 宝児は弱音を吐いた。

「神と悪魔の戦いなんて、そこまでのレベルとは、逃げたくなってきた」

「ほら」


「大丈夫、精神を集中して下さい。レオンハルトさん達は祈りを続けて下さい」

「ふふ」

 とイーンラは笑みを浮かべた。


 アスタロトは苛立った。

「何がおかしい、怖さを隠したはったりか? それとも気が変になったか。それとも相手の力が分からんのか」


「ふ、犯罪者に怯える警察はいないだろう」

「何⁉ 本当の自信だと言いたいのか」


 怒ったアスタロトは瘴気を近くで繰り出したが、イーンラも黒い衝撃波で迎え撃った。

「何だと? 貴様瘴気が使えるのか?」

「同じ闇属性だが少し違うな」


「馬鹿め! 同じ闇属性で俺に打ち勝てる訳なかろう」

 しかし両者の技は互角だった。

 天界の戦士なのに闇属性をあれだけ使いこなすなんて

 シギアは驚きっぱなしだった。


 アスタロトは思った。

 こんな奴が天界にいたとは、勿論俺はどんな攻撃もやられんが。  

 フィーグスは言った。

「俺達も負けていられない!」


「おう!」

 ゴットタンも呼応した。


 イーンラは言った。

「稲妻と高速移動をかける」

「何?」


 通常の高速移動の数段のパワーアップをイーンラはした。

「ぬっ!」

 アスタロトは明らかに目で完全に追いきれなくなった。


「なにあれ⁉」

 シギアの問いに女神は答えた。


「スキルに別の属性をカードの様に出し掛け合わせ数段上の効果を得ます」

 そしてフィーグスも数段スピードが上がった使い魔の鳥で攻撃した。


「ぬ?」

「光と高速移動をかけたスキルを使い魔自身が詠唱し発動させたんだ」


「ぬっ⁉ 使い魔のスピードがはるかに上がっている。この高難度スキルを貴様も使えるのか」

「俺もだ」

 とゴッドタンは「重力」のかかった斧で攻撃した。


 宝児は女神に聞いた。

「でもあの3人の聖剣も使わなければ倒せないのに何故一緒に力を溜めずにあそこで戦っているんですか?」


「それは恐らく、注意を引きつける為。もし竜達が突破されたら無防備に剣に力を溜めている貴方たちがやられてしまいます。その為身を挺して敵を引き付けているのでしょう」


 そしてシギアと宝児の聖剣は力を溜め強い光を発し始めた。

「ぬっ⁉」


 これにアスタロトが気づいた。

「あれは俺が苦手な聖剣の光! まずい!」


 と言い攻撃目標を変えシギア達に瘴気を撃って来た。

「まずい!」

 と竜族は気づいたが遅かった。


 シギアと宝児を瘴気が襲ったが何とレオンハルトはかばった。

「あっ!」

「うう、お前達は集中するんだ。ここは俺がふさぐ」

「しかし!」


 そしてクリウ、アレーナ、マーティラスも立ちはだかりかばおうとした。


 しかしシギアは言った。

「よせ皆! これ以上犠牲にならないでくれ!」


 しかしクリウは言った。

「勇者パーティに入った時から死は覚悟の上よ」

 アレーナもうなずいた。


 マーティラスも言う。

「この命、友と神の為捨てる!」


 シギアは再度叫んだ。

「よせ皆!」

 そしてクリウ達も瘴気に襲われた。


「くそ!」

 遂にシギアは剣が溜まり切っていないのに駆け出して行った。


「僕も行きます!」

 と宝児も駆け出した。


 女神は

「いけません!」


 と止めたが既に遅く彼らは聞いていなかった。      

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